65ドルは大金なのよ



 私が蟻に噛まれた時に利用する医者は、予約が要らなくていいのだけれど、保険のカードが使えない。このカードが使えると医療費の請求が医療機関から保険会社に直接送られ、私たちは支払いをせずにすむ。蟻の医者の場合は、こちらが医者に支払いをして後日保険会社に請求しなくてはならない。立て替えて払うのが嫌でぶつくさ言う訳じゃない。ちゃんと払ってくれればね。

前回の蟻の治療代65ドルが払ってもらえなかったのだ。薬代はすぐに来たのに。で、おとうは私がもらった領収書を保険会社に送って払うように請求した。ところが何も言ってこない。文句を言おうにも英語なのだ。「泣き寝入りかな。それが一番楽だ。」とおとう。私は言った。「いいよ。でも65ドルってデカイよねえ。」この後半の一言が余分だったと思う。おとうは「そーだよなあ。3回中華にいけるよなあ。」とつぶやいた。結局おとうは保険会社に電話をしたのだ。そして、2回目に送った領収書が届いていないこと、医療機関にディアグノーシス・コードなるものを問い合わせれば支払えるかもしれないということを聞き出した。早速医療機関に電話をして ディアグノーシス・コードをコピーして送ってくれるように頼んだのだ。

「65ドルだもんなあ。中華3回だもんなあ。」おとうは言った。うんうん、もし払ってもらえたら、みんなでアイスクリームが4種類ある中華のバフェに行こうね!3回行こうね!