パンよりお皿が欲しかった
Ryan*sというレストランがある。昼はバフェで、チップをいれて30ドルほどで一家6人が食べ放題だ。日曜の昼時は教会帰りの家族連れでとんでもないほどごった返している。
がきんちょはこのレストランがえらく気に入っている。6人用のテーブルは数が少ないので混雑している時は待たされるのがわかっているから本当は行きたくない。ところががきんちょは「待てるから、いい子にしていられるから…!」という。みーは涙を浮かべて「Ryan*sがいい!」という。泣く子には勝てないのだ。
バフェのメニューはローストビーフや、フライドチキン、スパゲッティーやラザーニア、分厚いポテトチップスに溶けたチーズを付けて食べる“ナッチョチーズ”、とにかく盛りだくさん。がきんちょはアイスクリームやトッピングのグミやM&M*sに目がない。
おとうはこの日、胃の調子がよくないと言っていた。バフェで食事をするというのに胃がおかしいというのは確かにおもしろくないだろう。妻や子がガバガバ食べるのをおとうはレタスを齧って見ていた。私はウェーターにおかわりようのお皿を頼んだ。が、届いたのはパンだった。このレストランのホームメードロールはとてもおいしい。でも私は"Clean plates"を頼んだのだ。バターロールのようなパンはここではロールと呼び、めったにブレッドとは言わない。なのにどーしてプレートとブレッドを聞き間違えるのさ!
大喜びしたのはおとうである。「これで3ヶ月は笑えるぞ!」と言って笑っている。何というひどい仕打ちであろうか!私はおとうの失敗を笑ったことなんてないぞ!少なくともこんなに遠慮のない笑い方はしなかったはずだ!
何を隠そう1ヶ月ほど前。おとうはフライドチキンを食べたいと言った。で、おとうとちーが車で5分ほどのところにできたケンタッキー・フライドチキンに買いにいくことになった。私はその間にほかの料理をすることにした。フライドチキンは味付けの仕方やサイドディッシュの注文が面倒で、おとうのためにメモを作って説明しておいた。だから30分もすれば帰ってくると思っていたのに、おとうたちはなかなか帰ってこなかった。1時間過ぎて帰ってきたおとうはものすごく機嫌が悪く、「もう2度と行かないぞ!ケンタッキーのケの字も言ってくれるな!」と言った。ちーにも口止めをしたようなので、真相は謎のままだけれど、きっと嫌な事があったのだろうと、私はそれから1度もその話題を口にしていない。妻のそーゆー思いやりをおとうはどう思っているのだか!
ヤケぎみに私はがきんちょの残したフライドチキンを食べた。お腹がいっぱいになったところで先のウェイターはおとうのそばに来てたずねた。「おかわり用のお皿はいかがですか?」ウェイターはお皿を4枚置いて去った。こういうのを主婦根性と呼んでは多くの主婦の皆様に申し訳ないと思うのだが、私はお腹がいっぱいなのにお皿を持ってサラダを取りに行ってしまったのよ。
笑いたければ笑うが良い!あたしゃしっかり食べるから、胃の痛い誰かさんには真似できないでしょーよ!ゆったりとした気持ちで味わってこそのお料理なのに!でも、こんな事にめげていられない!主婦は懲りないの!