ミーティング その2
新学期が始まってまだ何日もしないというのに、ちーはべそをかきはじめた。宿題が終わらないのだ。学校から帰ってずーっと部屋にこもって頑張っているのに、とにかく宿題が多い。
日本にいたころ、アメリカの子は宿題もあまりなく、自由な雰囲気でのびのび学校生活を送っていると思っていた。教科書も貸与制で学校に置きっぱなしだからリュックは軽いし…。ところがどっこい。学校は規律が厳しいし、宿題がどっさり。教科書が貸与されるのは本当だけれど、宿題をするためにその立派な重―い教科書を持って帰らなくちゃいけないのよ。リュックの重さを計ったら、10kを超えていた。ちーは2日目から肩凝りと頭痛に悩まされている。
Accelerated Classesのミーティングがあったのはちーがべそをかいたその日だった。ミーティングで隣りに座ったケイラのお母さんに、宿題が多すぎるし難しすぎると言ってちーが泣いていることを話した。すると彼女は「昨日ケイラも宿題が終わらなかったのよ。しかたないから、そのまま学校へいったんだけれど…。」 と教えてくれた。
ミーティングでミセス・ライアソンは「宿題は手伝わなくて結構です。手を引いてください。」と言った。すると、参加した親は息を呑み、口々に驚きの声をあげた。「家に帰って3時間もかかって宿題をしている」「食事の時間になっても終わらないんだ」などなど。先生は言った。「自分で予定をたて、効率よくする工夫をし、集中して勉強することを身につけて欲しいんです。親にして欲しいのは宿題があるかどうかたずねることと、もしテレビをみていたら、今何をした方が良いか考えるように言うことだけです。慣れればそんなに時間はかからなくなるでしょう。でも、今のみなさんの反応は教師としてとてもうれしく思いますよ。」それから親は「昨日の宿題のリーディングは実にいい話だった。」などという話をした。ほかの家でも親まで頑張って宿題をしなきゃいけなかったのよ。ちーだけじゃないんだ!その話をするとちーはやっと笑顔を見せた。
それにしても、こーゆークラス分けのこと、誰も教えてくれなかったなあ。少しでも予備知識があると助かったのに!あれ?そう言えば毎年年度始めに小冊子をくれたなあ。もしかするとあれに書いてあるのかもしれないぞ。自慢じゃないけど、読んだことがないのよ。だってページを開くと細かい字がびっしりあってめまいがするんだもの。私ってほんと、困った親だわねー!ま、ちーが少し気を取り直してくれたのだから、それでいいよね!