おとうの車は壊れるのさ



ある日おとうから電話が入った。お昼ご飯はもう用意ができている、と言う頃である。「調子はどうだ?」こっちはいいけど、何かあったんかいな。「車がうごかないんだ。まいったなー。」毎朝、おとうのでかける用意ができる頃を見計らって、私がエンジンをかける。最近、エンジンのかかりがイマイチ元気なく思えていた。何度かおとうにそう言っていたのだけれど…。

おとうはひとまず迎えに来るように言った。「ブースターケーブルを買って、夕方人がいなくなったところで充電してみよう。」他の車が邪魔と言うより、見られるのが恥ずかしいと言うのが夕方にする第一の理由だ。おとうらしい。が、少し涼しくなったとはいえ、まだ30度を超える暑さだ。夕方に異存はない。「しばらくこっちに乗るからな。」とおとうはDodge "Grand" Caravanで会社へ行った。「壊れないように日本車にしたのに、どーして俺が乗る車ばかり壊れるんだよ!」おとうはご機嫌ななめだ。そう言えば私が乗るようになってからDodge "Grand" Caravanは故障らしい故障をしていない。夕飯を済ませて家族総出で繰り出す。何も家族揃って行くこたあない!とは思うけれど、11歳だか13歳だかにならない子供だけでいるのは法律でいけないことになっている。家での留守番も年齢に達しない子の場合はベビーシッターを頼まなくちゃいけないのだ。見つかると逮捕されることもある。だから家族総出で会社へ行く。

7時半になるというのに、アメリカにも会社人間は結構いるものだ。駐車場には車がたくさんある。ちーは「みんな何時まで仕事してるのよ?」と驚く。おとうは「たいてい5時ころには帰るんだけどなー」とつぶやく。やましいことがないなら堂々と答えて欲しい。

バッテリーを充電してWal-Martへ行く。まっすぐ家に帰っては十分に充電ができない。エンジンをかけっぱなしにしたレガシーを私が見張っている間に、おとうはのんがずっと念仏のように言い続けていた20インチの自転車(マウンテンバイク)を買ってきた。(79ドル99セント+税) 少しでも充電したいからと私が先導しておとうはライトをつけずに走った。

無事に家に着いただけでもいいと思わなくてはいけないだろう。翌朝、レガシーは動かなかったのだ。