しゃぶしゃぶのうどんは手打ちにかぎる
スライサーを買ってから、我が家の食卓に「しゃぶしゃぶ」が顔を出すようになった。牛肉は安く手に入るけれど、その外のものはなかなか集まらないのが現状だ。たとえばシャブシャブの最後をしめくくる「うどん」。太めの乾麺は日本食料品店に行けばあるのだけれど、(素麺は中華食品店にある。)それでも1回分が6ドル近くもするので、しかたなく手打ちうどんを作ることにしている。
おとうの実家あたりでは何かというと「うどん」を作って食べる習慣があって、義母は私たちが行くと必ず手打ちのうどんをごちそうしてくれる。義母がいとも簡単に手打ちうどんを作る様子を見ていたので、私も適当に楽しんで作っている。小麦粉はオールパーパスを使う。義母もおおざっぱに、水の分量も量らず作っていたので、私もテキトー。義母は塩すら入れずに作る。ものの本によると粘りやコシを出すために塩は必要。とあるが、義母のは塩無しでものすごくおいしい。駆け出しの私はちょっといれることにしている。
一まとめにできたらビニールの袋に二重にしていれる。がきんちょがかわるがわる踏んでくれる。「ばあばのよりちょっと柔らかいね」などと言いながら。ビニール袋がやぶれていないか、目を光らせていないと取り返しがつかなくなる。30分ほど寝かせて伸ばす。めん棒がないので以前はすりこ木で伸ばしていたけれど、今は2段ベッドの柵を作ったときの棒(直径2.5cmくらい)を使っている。みーが結構上手に伸ばすので驚いてしまう。
伸ばして折りたたんで包丁で切る。太さがマチマチなのこそ手打ちの醍醐味!と勝手に決めつけて、ダイナミックに切る。たっぷりのお湯で茹で上げて、出来上がり。
おとうが"グルメ#とは程遠い人なのが良かったと思う。鍋だって普通のだし、ポン酢も味噌ダレも適当に作ったもので文句を言わない。(ほめもしないけど。)時間はかかるが、楽しくておいしくて一石二鳥だ。こういう面倒なことは、お金を出せばすべて材料が手に入る日本にいたら、私はしなかっただろう。そう考えると本当に素晴らしい体験をしているんだと思う。不便が心地よいこの頃である。