台所通信6 まだまだ懲りないケーキ作りの話

 こっちへ引っ越してすぐ、スポンジケーキを焼いて失敗したことがある。ガチガチ・ボソボソになってしまったのだ。考えられる原因としては、
1小麦粉のちがい。
2卵の大きさ、あるいは気泡力の違い。
といったところか。
 ケーキ用の小麦粉は大きく分けて2種類ある。All PurposeとSelf Risingだ。後者は膨張剤がはいっているが、スポンジ・ケーキの場合普通は膨張剤を用いないため、この時はAll Purposeを使った。このAll Purposeというのは、曲者である。名前を信じててんぷらを揚げた時、ガチンガチンになった事があるのだ。スポンジ・ケーキにもSelf Risingを使えば良かったのかもしれない。それから卵は「何でもダイナミックなアメリカ」という印象に反してLサイズといえどもこぶりである。1コ50グラムとNutrition Factsにある。日本ではLサイズは60グラムだったはずだ。それに泡立てて感じたのだけれど、泡が心持ち軽いのだ。オムレツを作るとわかるけど、色も日本の卵より白っぽい。卵をもうひとついれりゃ良かったかもしれない。
 何度か試すうち、究極のスポンジは18センチのケーキ型で、Self Rising Flourを使い、卵はLを4つ使うといいと判明した。これでお金が取れるくらいのスポンジが出来る!
 「日本ではアメリカ独特の”甘くて苦くてどっしりしてて、ちょっぴりしょっぱいチョコレートケーキが作れない」と嘆いた友人がいるが、チョコレートが違うだけじゃなくて、粉も卵も違うのだ。そう砂糖も日本で一般的な「上白糖」というのは見かけない。グラニュー糖とブラウンシュガーと粉砂糖だけだ。私は日本でも三温糖を使っていたから普通はブラウンシュガーでいいけれど、色をつけたくないものにはグラニュー糖を使わなくちゃいけない。これがちょっとしつこい甘さに思える。「所変われば品変わる」とはいうけれど、工夫する度にカロリーオーバーになってしまって困った、困った。