万能!スライサー
明日は離日と言う日に、スライサーなるものを買った。ドイツ製、手動、高い。しかし、しゃぶしゃぶを食べた後もなおも「しゃぶしゃぶ」いっていたおとうは英断を下し、買ったのだった。これで、野菜やパンはもちろん、肉が切れる。うまくすりゃあ、しゃぶしゃぶがアメリカで食べられる。
テリヤキはすっかり英語になり、トーフも通用する名前であるが、スキヤキを知っている人はほとんどいない。私は日本にいる時、アメリカ人の知っている日本語ベストスリーはフジヤマ、ゲイシャ、スキヤキだとどこかで聞いたことがあるが、これまで会った人はベストスリーのうち一つとして知っている言葉はなかった。たいてい知っている日本語としてあげるのは「コニチワ」で、意外に多いのが「ソイソース」なんですな。日本じゃそういう呼び方はしていない、われわれは「ショウユ」と呼んでいるというと、ものすごく驚くのだ。こっちの方が驚いてしまう。
さて、スキヤキが思ったほどアメリカでポピュラーになっていないのはどうしてだろう?やはり肉を薄く切る習慣がないからじゃなかろうか。アメリカにはもちろんお年寄りがいるのよ。入れ歯をした人だって多いはずよ。そういう人たちだって肉が主なタンパク源で、それなら薄切り肉がよかろうと思うのに、実際食べるのは厚切りなのよ。グローサリーに"Thin slice"とかいてある肉があるけれど、厚さは1cm近くもある。スキヤキで使う肉はベーコンのような薄さで、しゃぶしゃぶにいたってはもっと、透けるように薄いと知ったら、目を回してしまうに違いない。
早速牛肉の固まりを買って来た。本当は豚肉を買いたかったんだけれど、切るのに良い固まりはすごく高かったのだ。初日はひとまず安い牛肉で我慢しよう。薄く上手に切るにはやはり表面を凍らせて固めるのが良いそうな。で、冷凍庫にしばらく入れたあとで、おとうが切りはじめた。ショウガ焼きによさそうな厚さにも、おとうの好きなしゃぶしゃぶの厚さもきれいに出来た。これで、料理のレパートリーも増えるってものよ。私がよろこんでいると、おとうが言った。「こんな良く切れるんじゃ、手を洗ってから切りゃ良かったな。ま、早めに食ってくれや」キッタナイー!