夜のチョコレートに御用心!



ある晩のこと、みーはお腹が痛いだの何だのと言って、寝付けないようすだった。しかたなく私がそばで寝かしつけることにした。もうすぐ眠る、というその時におとうが「かーちゃん!!」と叫んだ。みーはびくっとしてすっかり目を覚ましてしまった。ほかのがきんちょも「なーに?」「どーしたの?」とノコノコやって来た。だいたい、たいした用もないのに叫ぶのはやめてくれ。しかも妻を「かーちゃん」と呼んでくれるな。

それからどーしたことかみんな目をランランと光らせて、眠る気配がないのだ。ちーが言う。「お茶をいっぱい飲んだんだけど、カフェインがはいっていたのかな?」うんにゃ、あれは麦茶よ。ああー!!チョコレートだ!

その日、一時帰国を控えてがきんちょとお土産を買いに行った。がきんちょは友達にチョコレートをあげたいと言った。オレンジ色の紙に包んであるのをかおが見つけた。大きさもオレンジくらい。箱には中がオレンジのように房に分かれていると説明がしてある。面白そう。こういう面白いものを探すのはかおの得意とするところである。本能的に嗅ぎ分けているとさえ思うほど。一家に一人はこういうのがいるといい。でも二人はいらない。あれ買え、これ買え、とうるさいから。「ねえ、ウチの分も買おうよ、ねっ!」がきんちょの大合唱を待つまでもなく、私も欲しい。「そりゃあ、味見をしてないのをお土産にはできないものね。」ともっともらしく言って、母はカゴに入れたのよ。

夕食後、おとうはこのチョコレートを見つけて「今夜のデザートにしよう」と言った。誰も反対するものはいなかった。Whack and unwrapと書いてある。一人一回ずつ叩いて発見者のかおが紙をはがす。オレンジの房の模様まである!口に入れるとオレンジの風味とチョコレートの甘さが広がる。アメリカのチョコレートは嘘のように甘くてくどいのだが、これは旨い。みんなであっという間に平らげてしまった。

チョコレートの原料のカカオには、入っているよね、カフェインが。11時になっても傍らで遊んでいるみーを見て、痛感した。これからは夜のデザートにチョコレートは禁止だぞ!