不精者のスイカ割り
おとうがスイカを買ってきた。車で2分ほどのところにがきんちょが「おばあちゃんのお店」と呼ぶ八百屋さんがある。エアコンのないお店なので、夏はめまいがするほど暑く、冬は頭がズキズキするほど寒い。お客さんもあまりいない様子であるが、生のピーナッツ(注)や果物(特にプラムは絶品)はグローサリーなぞ足元にも及ばない。おとうはそこで今年初めてのスイカを買ってきたのだ。
みーほどの重さのスイカが4ドル。ここいらのスイカは楕円形をしているのが普通なのだが、おとうが買ってきたのは日本のみたいにまーるいヤツである。「一番いい音がしたんだ」そうな。「おーい!スイカ割りをするぞー!」おとうはがきんちょを呼んだ。「どこでするの?」がきんちょが聞く。バックヤードはぽぽこのうxxが拾ってないし、第一芝には蟻がいる。カーポートは2台の車を動かすのが面倒くさい。おとうは叫んだ。「新聞紙をもってこい!」そしてカーペットの上にひきはじめた。何と家の中でするつもりなのだ。私は急いで大きなごみ袋を持って行った。「せめてこれをひいた上でしてちょうだいな。」おとうが「素振りをして身体を鍛える」といって買ったはずの木刀がはじめて役に立った。かおがたたくと水が出てきた。少しひびが入ったのだ。ちーがひびを大きくして、のんが割り、おとうが空手チョップで駄目押し。
今までスイカ割りのスイカがおいしいのは、外で食べるからに違いないと思っていた。でも、家の中で食べてもおいしいところをみると、包丁を使わないのがいいんじゃないかな。それともおとうの"耳#がよかっただけなのか?とにかくとってもおいしかった。今度は外で近所のがきんちょも一緒にしたいなあ。
注;サウスカロライナ名物は茹でたピーナッツ。WAL-MARTの店先ではほっかほかのBoiled peanutsが売られている。同じアメリカ人でもほかの地方から来た人には珍しいらしく、"結構旨い!#と言う人と「やっぱりローストじゃなきゃ」と言う人と評価は二分する。おとうは子供のころ家でピーナッツを茹でて食べていたとかで、大好物の一つだ。私も最近になって「結構旨い」と思うようになってきた。ほんのわずか歯ごたえが残っているように茹であげるのがコツである。