テイラーのパーティー



のんの友達のテイラーの家では、宗教上の理由からクリスマスはもとより、自分たちの誕生日すらお祝いをしない。誕生日会に呼ばれても行かない。ところが、ある日テイラーからパーティーの招待状が届いたのである。

「スクールイヤーが終わったお祝い!」とあった。女の子だけのパーティーなんだそうな。招待されたのはのんとみー。土曜日の12時からだ。補習校を早退して参加することにした。前もって、お化粧をしたり、ビーズでブレスレットを作ると聞いていた。誕生日ならプレゼントを持っていけばいいのだけれど、こういう時はどうしたらいいのだろう。テイラーのお母さんに聞いてみたら「特に持ってくるものはない」という。昼食も飲み物も用意してくれるという。おとうは「二人で10ドルも包んでいきゃあいい。」と言う。そうしよう。お花を買って添えてもいい。

その朝、ちーかお用に補習校のお弁当を作っているとのんが「ケーキ作ってくれた?」と聞く。なんのこっちゃ?「のんのんがねテイラーのお母さんにケーキでも持って行こうか?って聞いたらね、ケーキは大好きよって言ってたの」だって。そういう話はせめて前の日にしてほしいもんだ。「グローサリーで買っていけば?」おとうは言うけれど、わざわざまずいケーキにお金を出すのはいやじゃ!と言うわけで、忙しい朝、母はケーキを焼くことになった。

前の日から焼いておくのならチョコレートケーキでもいいのだけれど、その日に食べるのなら違う方がいい。せっかくだ、抹茶ケーキにしよう。 パーティー用に小さなカップケーキ。我が家用に大きな長方形の型。

小麦粉400g、抹茶50g、砂糖360g、卵9個、マーガリン220g、牛乳少々。がきんちょが食べるからチョコチップもどっさり200g近く入った。カップケーキと長方形を一緒にオーブンにぶっこんだので、15分ほどでカップケーキを取り出す。長方形の方はそのまま焼き続ける。

ものすごい雷の中パーティーは始まった。テイラーの家は芋洗い状態でどこにでもがきんちょが転がっている。私は早々に退散した。12時に始まったはずのパーティーだが、3時になってものんみーは帰ってこない。テイラーの家の前には数台の車が止めたままだ。迎えに行かないと帰ってこないんだろうな。私が迎えに行くとテイラーが「プレゼントをいっぱいもらったの。それを開けるからもうちょっとだけいいでしょ?」という。テイラーの部屋は足の踏み場もなくなっていて、弟のライアンの部屋でプレゼントを開けた。出てくるのはバービー人形ばかり。たまりかねてテイラーが叫んだ。NO MORE BARBIE!

私たちはテイラーのお母さんにお礼を言って帰ることにした。「とっても楽しかった。」と彼女は言ったけれど、目の下にはクマができていた。家に帰るとすぐにテイラーから電話があった。「もう少し遊べない?」どこも元気なのはがきんちょばかりなのだった。