ちーの誕生日 その2



壊れたケージのセロテープを食い破ってバニキュラは出て行ったのだ。まずいことに子供部屋も勉強部屋もベッドルームもドアは開けっ放しだ。おまけにジイジイが送ってくれたお菓子も段ボールにどっさりぶち込んだまま。どこへ行ったのだろう?

家族総出でバニキュラ探しだ。ただしみーは寝ている。みーは恐い時いつも「寝る」のだ。いや寝たふりをしていると言った方がいいだろう。映画の"Independence Day"を見に行った時もそうだった。寝ているはずなのに恐い場面になるとみーの身体が固くなったり、びくっとしたのだから。で、バニキュラは家族5人で探したけれど見つからない。ぬいぐるみのふりをしておもちゃばこに入っているかもしれない。毛布の山に潜んで眠りこけているかもしれない。お菓子の山に埋もれてほくそえんでいるかもしれない。懐中電灯で隅々まで探す。「汚ねえなあ。少しは掃除しろよ!」おとうが叫ぶ。まずいところを見られてしまった。ベッドの下にキャンディーの包み紙。食器だなと壁の隙間にはガムの包み紙。「誰だ?隠れて食ってるのは!」と問い詰めたい気持ちを抑える。今はバニキュラを探さねば。

「バニキュラはこっちへ行ったんだよ。」とかお。どうして?「だって証拠があるもん。」バニキュラのケージに敷き詰めていたチップが落ちているのだ。かおは時々こんな風に鋭いのよ。ホワイトボードの後ろを通って子供部屋か勉強部屋へ行ったらしい。壁に沿って行ったとなると子供部屋が怪しい。1時間ほど過ぎたところで、私は食事の支度に取り掛かった。「おいしそうな匂いに誘われて出てくるかもしれないよ。」実は補習校へ持っていくお弁当を作らなくっちゃいけなかったのさ。

匂いに誘われたのかどうか知らないけれど、バニキュラは子供部屋で姿をあらわした。おとうのことをじーっと睨み付けていたそうな。ケージを掃除する時にバニキュラを入れておくボールをかぶせて捕まえた。よかった!でも、もうしっかり疲れてしまった。この日はこれから補習校と誕生日会だっていうのに。

補習校にがきんちょをおいてケージを買いに行った。なんでウチがケージを買うはめになるのか?とにかくこのままでは安眠できない。バニキュラをどんどん肥満させるわけにもいかない。ケージは必要なのだ。