ちらしずし
2年生の日本についての勉強はあっというまに終わった。
金曜日、重箱にちらしずしを詰めて持って行った。使い捨ての皿と割り箸、スプーンをそえて。お煎餅と味付け海苔も。
かおは最初ずいぶんと心配していたものだ。だいたいのり(sea weed)と聞いただけで、みんな"Yuck!"というのだ。かんぴょうや椎茸の入った寿司を食べてくれるだろうか?「みんなゴミ箱に捨てちゃったら、悲しいよ!」かおはそうつぶやいた。普通の焼き海苔じゃなくて「味付け海苔」がいいと言ったのもかおだった。「あの味は多分嫌いじゃないと思うな」
ちらしずしは鶏肉とかんぴょう、しいたけ、ニンジンを煮て寿司めしと混ぜ、上にたまごとでんぶときぬさやを飾った。日本にいれば、もっといろんなものを入れられたろうけれど・・・。本当はみんなが食べるところを覗いてみたかった。でも、かおの話だけでがまんがまん。
まず、先生が「食べられないと思ったら、食べずに返しなさい。"Yuck"と言ったら、色を変えますよ!」と言ったそうな。(色を変えるというのは・・・・。低学年はみんなそれぞれ生活態度のチャートを持っていて、叱られるたびに色が変えられるのだ。いい子でいると黄色。この2週間黄色を7個以上集めないと年度末のパーティーに出席できない約束になっていて、「色を変える」というのはすごく効果的な脅し文句なのだ。)しいたけをつまんで"Yuck!"と言いかけたブローディーはあわてて"Yummy!"(おいしそう!)と言い直したって。かおの心配をよそに、みんな「おいしい!」と言ってくれたそうな。おかわりもして、重箱は空っぽだった。でんぶが砂糖じゃなくて魚だと知って、みんなびっくりしていたとか。その後ランチに行って、いつもは喜ぶホットドッグにも「日本の料理がいい!」と大合唱だったそうだ。
さて、かおのクラスはこうして正真正銘日本のものが味わえたけれど、ほかのクラスは米とニンジンとブロッコリーが一緒にいためてある(?)のを食べていた。味見をさせられたかおは、「日本人はこう言うのは食べないよ!」と言い、みんな大笑いしたという。私も某レストランで"Japanese stir fry"というのを食べたことがあるが、「どこがJapanese"なのさ」という代物で、味もそっけないものだった。だいたい「醤油が味付けのベースになっているものを"Japanese"と呼べばいいや!」というような雰囲気なので、ここいらでは日本料理が好きな人はごく少数である。ちなみに日本料理の店でも、そういう多くのアメリカ人向けにわざわざ合わせているところもあるのだ。
こんなことなら、ほかのクラスにも持ってけばよかったな、ちらしずし!