主婦はつらいよ2
朝から疲れていた。教会で外国人のための英語教室がはじまるからぜひ来るように、と言われてさぼれない状況にあった。英語教室には生徒が正味二人、おとうと私だった。あと一人いたが、彼は生っ粋のアメリカ人、英語教室など必要なわけがない。英語教室といっても、実際にはキリスト教の基礎をみっちりたたき込まれるのである。メインサービスに入るまでに疲れてしまった。
着替えに帰って、中華を食べにいって、がきんちょの服と母の長袖のパジャマ(これがなかなか見つからないのよ。理由はいつか教えてあげるね。)トイレット・ペーパーを買って帰ると、もう4時半だ。これで1日も終わりだな、と思ったのが浅はかだった。ベッキーが手を振っている。ゴミ捨てにいってくるから(ここじゃ、ゴミの収集は契約制で、契約してない家は自分で捨てにいくのだ。)帰ったら遊ぼうね!といっている。がきんちょはベッキーの帰りを待てずにスケートをするから車を動かせという。おとうは?もちろんパソコンにかかりっきりだ。パソコンに接続するマイクを買ってきたから当分何を言っても聞こえまい。
車を動かすと母は晩ご飯の支度だ。疲れていると、何を作っていいのかなかなか決まらない。それに本当は食料品の買いだしにいきたかった。でも、フロント・ヤードでがきんちょを遊ばせたままには出来ない。おまけに2年生のハンナが来ている。彼女はスケートがあまり出来ない。危なっかしくってほっとけない。気温の割に日ざしが強くて、ひなたで遊んでいるとのどが乾くのだ。何度もジュースを運んで、あー母はくたびれたよ。ご飯を仕掛けて、昨日高速を30分近く飛ばしたところにある韓国食料品店で買った”すしあげ”を煮る。明日の朝ご飯にしよう!今夜?やはり昨日買って塩を振っておいた鮭をおとうに焼いてもらおう。
6時を過ぎたところでちーが「ハンナがうちで一緒にご飯を食べたいって。」と言ってきた。魚だ、といっても、なんといっても、日本食は食べたことがある、食べたい、と言う。鮭はとっても高かったから、2切れしかないのよ。7人分のおかずにはなんない!それでもこっちの子は"I don't care."って言うのさ。しゃーない、いそいでいなり寿司を作り始める。コンピューターにのめり込んでいるおとうを怒鳴り付けて魚を焼かせた。おとうはわかめサラダを半分近くつまみ食いしてしまった。なんてーヤツだ!おまけに「ピーナッツ茹でとけ」だと。
なんとか7時前に支度を終えてサパー・タイム。ハンナはちゃんと食べてくれた。日本食が好きだって、本当だったんだ。帰るときちーに、また食べに来たい、と言ったそうな。よしよし、またおいで。
疲れて、おまけに急いだときのキッチンって後片づけも大変だ。おとうはのんきにテレビを見てる。アメリカのキッチンになくてはならない食器洗い機は去年の11月から壊れている。「アメリカのだんなだったら、こういう時手伝うんだよ、きっと」と言ったら、おとうがやってきた。・・・・・・なーんだ、ピーナッツを食べに来たのか・・・・・・・・
本当は、食事の前にのんがブランコ・セットからおっこちる、というアクシデントがあったのだけど、それは別の機会に御紹介しましょう。だって、本当に疲れちゃったんだもの。あしたは食料品の買いだしと、ゴミ捨て(うちも契約してないのよね)にいかなくっちゃ。
のんた