台所通信 3

 我が家はここでも和食が中心である。日本を出るとき、鰹節を6本持ってきた。ぎこぎこ削ってはだしを取る。手間はかかるが、うまい、と私は思う。里芋は"Taro root"と言って、たいていのスーパーに置いてある。いつも、れんこんとごぼうとこんにゃくがあればいいのに・・・・!とぼやきながら煮物を作っている。魚はほとんど「ない!」というに等しいから、肉が中心の献立になってしまうのも不満ではある。。だから、子供に「今日のおかずはなあに?」と聞かれるのが一番イヤだ。「肉よ。肉。肉しかないの!」と、まあ、こんな具合。
 ここでは牛肉が一番安い。100グラム80円も出せばサーロインステーキ用が買える。ところがおとうは牛肉より豚肉の方が好きなのだ。鶏肉も"Boneless skinnless breasts"が成人病予備軍にはいいかも知れない。豚肉と鶏肉は日本で買うのとあまり変わらず、割高に思える。日本のようなスライスはないから、冷凍庫で少し凍らせてから薄く切るしかない。不器用な私には固まりの肉をどかんと料理する方がてっとり早い。
 野菜はこれまた大変。こっちの人は野菜をあまり食べない。学校のランチメニューを見ても、野菜が見当たらない日が珍しくない。あっても生野菜がほとんどである。太りたくない先生は人参スティックがランチだったりするそうな。レタスやサラダ菜の類はそれなりに新鮮で種類も豊富なのだが、子供の好きなほうれん草は鮮度が悪すぎて、なかなか買えない。野菜も果物も品種改良をしていないのだろうか、懐かしい匂いがする。にんじんもにんじんくさい!いちごもトマトもかたくて、酸っぱい。子供が砂糖をかけていちごを食べているのを見て、子供のころを思い出した。
 最近は日本でも価格破壊とやらでいろんなものの値が下がったそうな。でも子供の誕生日に200ml入りが300円以上する生クリームを買っていた私は、ここで236mlの生クリームが2本で99セントだったのを見て、これまでの価値観が根元から破壊されたように感じた。価格の違いは外食でも際だっている。
 食べ放題、セルフサービスのbuffetはその最たるものだ。良く利用する中華料理店では、家族6人で税金とチップをいれて25ドル程度で昼食が食べられる。うちのがきんちょはアメリカっぽい料理を出すレストランのbuffetが大好きである。アイスクリームがもちろん食べ放題だし、そのトッピングが彼らには魅力なのだ。食べ放題というとたくさん取りすぎるのが、私にとっては大問題なのだけれど、たくさん取ったつもりでも、他のお客サンとくらべるととても遠慮深く感じる。日本ではいくらかかるだろう。とにかくほとんど外食とは縁がなかった。したくても出来なかったのだ。マクドナルドはどうだ?今は12ドルくらいでハンバーガー6コとドリンク、食べ切れないほどのポテトがくる。
 アメリカだーい好き!!!主婦の実感である。