台所通信 2
さてさて、アメリカというと何でも手作りをするんだと思っていた。おとうは大工道具が安くて種類も豊富なのによろこんでいた。自分で家を作る、というテレビ番組だってあった。だから、学校のクラスでちょくちょく開かれるパーティーにもホームメードのケーキやらクッキーが出ると思っていたのだ。でも、ほとんどが買ってきたものだった。めんどくさがりの私はお菓子だって本当は作るのが苦手だ。すべてどんぶり勘定だから、毎回出来あがりの状態が違う。家族だけでたべるのならそれでもいいけれど、クラス中に持って行くとなると、ちと気が引ける。が、前にも書いたとおり、こっちのは甘すぎて買っていくのはなおさら嫌だ。だから、作って持って行くことになる。子供が3人も学校にいってるとなると、そういう機会は決して少なくない。その度に、先生やお母さんたちは声を揃えたように言うのだ。「私、ケーキやクッキーを作るのって大嫌い。だってキッチンが汚れるんですもの。」そういえば、こっちの家のキッチンは大抵ぴっかぴかだ。我が家のキッチン? 手づくりが嫌われるのもごもっとも、ですな。
ホームメードが廃れる中でそれでもここいらの代表的なケーキといえばブラウニーである。チョコレートのどっしりとしたケーキで、くるみなどの木ノ実がたくさんはいっている。甘さは想像を絶する。鼻から脳天を直撃する感じだ。そして、不思議にもしょっぱい。バターに含まれている塩分のせいかとおもっていた。しかし、レシピをみてびっくり!
チョコレート4oz、バター1/2カップ、バニラ小さじ1、卵4コ、砂糖1と3/4カップ、小麦粉1カップ、木ノ実。そして、塩小さじ1/2。
家にあるお菓子のレシピをみると、塩があった、あった、やたらと出てくる。しかも、少々なんてもんじゃなく、小さじ1杯なんてえのがある。もちろんチーズ・スティックのような塩味のものじゃなくてね。ケーキを作ったことのある人はお気づきでしょうか?砂糖の多さも並大抵ではないでしょ?チョコレートが入ってなおかつこれだけぶっこむのよ!それに、バニラが小さじ1杯も入るのですよ!あたしゃ、チョコレートケーキのときはバニラはいれないよ!それも小さじ1杯なんて!こっちのケーキは確かに香料がどっさり入ってるとはおもっていた。なかには石鹸を食べたのかと思わせるようなのもあったっけ。
実を言うと、こっちのバターやマーガリンはくさいのだ。何とも言えず、くさい。子供たちは「 きゃーっ、くっさーい!」といいながら食べる。いつのまにかトーストにはシナモンシュガーがなくてはならなくなってしまった。それだけくさいから、さすがの私も香料を多くいれるようになった。でもバニラ5滴くらい、ね!
どなたか脳天直撃のブラウニー、作ってみてはいかがかな?