台所通信 1
 アメリカではとにかく脂肪が悪者にされていて、ローファットやファットフリーが食品全般に顔を出す。肉、ハムなどの肉加工品はもちろん、調味料、クッキーやポテト・チップスなどのスナック類、乳製品等など。人のことは言えないのだけれど、アメリカには大きな人がたくさんいて、大きさの程度も驚く程だ。そして、肥満の原因が何よりも脂肪の取りすぎにあると考えているようである。確かに、ハンバーガー、ピザ等、アメリカで好まれている食品にはたくさんの脂肪が含まれていて、啓蒙の必要はありそうだ。でも、糖分の取りすぎにはまったく関心がない。ここらで好まれているアイス・ティーはとっても甘い。友人によると、2リットルの紅茶に2カップの砂糖をいれるとうまい、ということだった。レストランでは、こういうアイス・ティーやコーラなどのソフト・ドリンクがおかわり自由で、実際がぼがぼと飲まれている。また、アメリカの食事に欠かせないデザートのケーキはそりゃもう頭がガンガンするくらい甘いのだ。引っ越してすぐの頃、どぎついほどに飾られたケーキをみて欲しがっていた子供たちも、あまりの甘さに今は決してねだらない。
 食事の仕上げにそんなケーキを食べ、ドリンクをがぶ飲みする。ひと事ながら心配になってしまう。え?自分の脂肪はどうしたか、って?そりゃ、大問題ですな。
 アメリカの食事はしょっぱくて辛い。夏はとにかく暑いからしょうがないかもしれないけれど、それが、甘いデザートとドリンクがぶ飲みを招く。
 辛いのはこどもに食べさせるのでなければ、さほど気にならない。が、塩分は困る。おとうは昔、血圧がとても高かったのだ。今はコレステロール値も高く、立派な成人病予備軍なのである。なのに、フライド・チキンやピザ、何でもしょっぱい。フライド・ポテトにはケチャップをつけたがる。だから、家でたべるときくらい健康的にしなくっちゃと思う。
 このあいだはホットドッグを食べようということになった。パンとソーセージを買いに車をぶっ飛ばす。一番塩分の低いものを選ぶ。食品にはパッケージに1回分が、一日に必要とされる2000キロカロリーの何%にあたるかが表示してある。それを参考にして買い物をするのだが、たとえば、ハムの薄切り2枚で35%なんて実際には食べる気がうせてしまう。今は10%というハムを見つけたからいいけれど。さて、ホットドッグの話に戻ろう。ソーセージはやはり塩分が高い。お祭りなんぞで食べると異様にしょっぱいもの。35%くらいのものが多い。でも、こぶりだからちーとのんは2本食べるに違いない。ホットドッグだけで一日の塩分許容量の70%などとらせてなるものか。やっと見つけたのは13%。それでも2本で26%、パンにだってサラダにだって塩分ははいってるぞ。でもまあしゃあない、買って帰ろう。  誤算はつきものである。のんは3本たべてしまったのだ。おとうは言った。「当分、ホットドッグはやめとこう」