お引越し by Noriko


 引っ越し屋は予定から50分遅れでやってきた。

 南部人はのんびりした人が多いので、その手の人が何人きても仕事ははかどらないと思っていた。で、食器棚のお箸もナイフやフォークもそれぞれ輪ゴムで留め、ジップロックに入れて引き出しにしまっておいた。それでも「これはなんだ?」なんていちいち聞かれていらいらするんじゃないかと覚悟しておいた。それらは杞憂に終わった。引っ越し屋はたった二人で、黙々と仕事をした。実質4時間の労働。はっきり言って「おいおい、そんないいかげんな入れかたでいいんかい?」と口を挟みたかったのだが、やめておいた。英語だし。最後の最後までこーゆーのは寂しいもんだ。でも、たまに大きな音を聞いたときには何度もAre you OK?と聞きはしたのだけれど。

 パッキングが終わって食器棚やらリビングボードの引出しには私が入れたジップロックがそのまま。クッションに紙の一枚も入れといてくれんかい!と心の中でどなったのだった。

 いいもんね、いくつ壊れるか楽しみにしとくもんね。後でごっそり弁償してもらおうっと!