オーバー・ヒート

 ある日、教会をサボることにした。家族を教会に送り、時間を見計らって迎えに行く。教会の駐車場でエアコンをつけて待っていると、チャイムの音。見ると温度計の絵が点灯している。水温計を見るとHigh 直前。エアコンを切る。チャイムが鳴り続く。チャイムのテンポが上がる。水温計はHigh を越えている。オーバー・ートだ! 昨日は、摂氏で37度。今日も既に32度ある。炎天下、オーバー・ヒート。

 幸い、場所は教会の駐車場。ノンタに誰か車に詳しい人を探してもらっている間にボンネットをあける。オーバーフロー・タンクから湯気がでている。自分でマニュアルを読みはじめる。エアコンを切ってエンジンを止めないでニュートラルに入れてアイドリングする。ここまでは、合っている。それから、暖房を最大にする。 なんのこっちゃ? と思っているうちに、沸騰が始まり、やかんオヤジになった! 段々ひどくなる。エンジンを切る。手遅れか? やかんオヤジは火山になった。クーラントの噴火である。茫然としている所に、援軍がきた。

A: "When was this happen?"
S: "Right after I parked here."
A: "Any trouble during your driving?"
S: "No."

B: "Oh, it's a 3.3 litter engine. Nice car."
S: "Yes, but no cooling system."
C: "Do you need gas?"
S: "No."

D: "How long do you have the car?"
S: "One year."
S: "Is the fan belt broken?"
A: "There is no fan belt."

 私は口を滑らせて馬鹿な質問をしてしまった。でも、この時は気付かなかった。しばらくして、Bが言った。
B: "The engine is sideways. Do you know that?"

 見ると確かにエンジンは横向きである。そうだ、思い出した! エンジンが横を向いているからベルトではファンは回せない!(角度が90度違うのだ) 電動しかありえない。ファンベルトは、初めからない。これは、車の常識問題である。気が動転したとは言え、愚問をしてしまった。何とか名誉挽回のチャンスはないものか。Aは続けた。

 「もし水漏れがなければ、水温計を注意深く見ながら10マイル位なら運転できる。これは、横置きエンジンだからファンベルトはない。電動ファンだ。サーモスタットでコントロールする。サーモスタットはここにある。まず、ヒューズが怪しい。おお、こんな大きなヒューズは見た事ない。大丈夫だ。とすると電流か。テスターがないから計れない。まずは水漏れのチェックだ。水を足してみよう。」何という知識。おじさんはプロか? 私には手も足も出せない。ついでに口も。英語だし。

 少しずつ水を足す。水温計は少しづつ下がっていく。しかし、ファンが回らない。これじゃあ、またいつオーバーヒートするかわからない。家まで帰れても修理センターまでどう行けばいいのか。今日は日曜日で休みである。くそーっ、Dodge めが! やかんオヤジになってやる!