Emergency Center



痛みに弱い方、気の弱い方は読まない方がいいかも。

3月3日のひな祭りの日の4時半頃、7才になったばかりのカオがバルコニーで転んで手を切った。その慌て方が異常だった。嫌がるのを無理やり傷口を洗った。何か膨らんでいる。げげげげげげげげ!! 手のひらの肉が傷口からはみ出している!!! 取り敢えず手を消毒したが、さてどうすべきか?

本人は医者は嫌だと、かたくなに拒否する。頑固はこういう時困る。しばらく様子を見ていたが傷の中に何か残ったりしているとまずいので医者に行くことに決めた。あいにく日曜日。日曜でなくともアポイントが取れない時は救急センターだ、という丁度遊びに来ていた台湾出身一家の指示にしたがって、Medical Center にあるEmergency Center に行った。こっちに来て医者には何回か行ったことがあるのだが、肉がえぐり取られたシーンをついつい想像してしまうので、カオの誕生日が思い出せない、SS#(Social Security Number ) を間違える、地に足がつかない、自分の手が痛い様な気がする、座ってられない、喉が渇く。

アメリカでは、医者のいる部屋に患者が行くのではない。患者の治療部屋がアサインされ、そこに医者が来るのである。(こんな事を説明している場合じゃないけど。)最初に来た看護婦?(いつもDoctor が来る前に予診がある)が開口一番、Pretty bad! と言った。麻酔して傷をきれいにして縫わなきゃだめだと言う。麻酔も縫うも英語でなんて言うか知らないけれど何故か意味はわかってしまう。麻酔の説明を始めた。Tiny needle を皮膚の下に刺すと30秒は burn するが2分で痛みを感じなくなる。Shot とは違う。泣いてもいいが手は動かしてはいけない。これをカオに説明してこれからすることを納得させろ、だって!

納得は難しい、うちのガキは頑固だから。
父:注射じゃないけど痛くなくなる薬をいれるけどいいか?
カオ:塗るの?刺すの?
父:刺すけど針は小さいよ。
カオ:じゃあ、見せてよ。
看護婦に大きさを聞くと Half インチだと言う。大きいなと思いつつも見せてもらった。
カオ:イヤだ。
看護婦がもっと大きい針を出した。
父:どっちの針がいい?
カオ:どっちもイヤだ!
うーん、こりゃー説得は難しいと思っていると、母がうまいこといいくるめた。

ドクターが来て自分の名前を言ってから傷をいじって傷を確認する。どうやら予診が正しいようだ。医者が手順を説明する。看護婦が腕を押さえ私は肩を押さえる。どう見ても注射器のなかに結構多い量の薬を入れて傷口を刺す。すこしづつ場所を変えて、一回、2回と刺して行く。何回刺すか聞いてない! 薬を全部入れるなら30秒以上かかる! 肩を押さえる手が思わず震える。幸い1/3位まで入れたところで終わった。この間カオは泣き叫んでいたが、ちょっとしたら泣かなくなった。麻酔が効いて来たようだ。

さていよいよ傷の処置が始まる。はみ出ている肉を切り取り、傷を洗う。中に異物があるかどうか確認する。

父: Is anything inside?
Doc: I am checking, now.
なかなか、No と言わない。
傷がきれいになったところで縫う。痛いのは大嫌いだが手術は結構好きだ。TLC (The Learning Channel) というチャンネルがあって、そこで深夜にOperation の実演を放映しているのだ。私はもう2回見ている。この間は、癌組織を取り出す手術だった。そこで腹の中を縫ったのと同じ様に傷口を縫っていく。ピンセットとはさみの中間みたいので糸をつまみ、糸を直接刺すのだ。上から下へ、下から上へ。ぎゅっと、引っ張ると傷口が閉じ血があふれる。縛る時は、はさみの先に糸を絡めて器用に縛る。そしてチョキンと切る。TLC で傷口を縫う時は糸ではなくてステイプラーだった。それに比べれば糸でよかった。

父:Nothing was inside?
Doc: No, I did not see anything.
ちょっと安心するが、見えなかったわけで無いとは言っていない ところに注意すべきと思う。

父:Is this a protein string?
Doc: No, nylon string.
これで抜糸が必要なのがわかる。

4針縫った。その後、家での傷の手当方法を説明する。
Nurse: Clean the wound with hydrogen peroxxx twice a day.
えーっと、Hydrogen xxxってオキシドールののことだとピンとくる。
Nurse: Use this medicine after cleaning. This is over the counter.
Prescription is not required. You can buy at drug store. Do not wet the wound for two days.

こんなに言われちゃ覚えきれない! が安心、説明書が別途用意されていた。7から10日間で抜糸だそうだ。ほんとかどうか知らないがNo pain だそうだ。

今回に際して運のよかったのは、Operation の実演を見ていたこととFlu の時に一通りOver the counter で何が売っているのかを見ていたことだった。それにもまして台湾出身家族が遊びに来ていたことだった。残りのガキの面倒を見ていてくれて助かった。それにその奥さん(Emergency Center 経験4回)が診療室までついて来てくれてたことだ。この奥さん日本語はわからないので英語で一生懸命カオに大丈夫だと説明してくれた。Emergency でない時も言葉が少なめな日本人。こういう時にかけるべき言葉がなかなか出ない。恥ずかしいことだが両親の合計よりもたくさんカオに話しかけていた。感謝、感謝、感謝。

さて、看護婦は、抜糸は Next Sunday でも構わないと言っていたがいつのことだ?