右折の恐怖1
キープ・ライトなら右折は簡単のはずだがドッコイ落とし穴がある。狭い道から広い道への右折、あるいは赤信号での右折は特に注意が必要である。
赤信号での右折は、日本では許されていないがアメリカでは許されている。赤でも曲がって良い。止まらなくてもいい、等と拡大解釈を知らず知らずのうちにしてしまうのは恐いことだ。赤でも必ず一時停止をして、他の交通の妨げにならない場合には、右折をしても良いことになっている。もちろん、No turn on redが書いてれば右折してはいけない。
ある日、スーパーから出て右折する際にそこの信号は赤だった。2車線の道は45マイル制限で昼時だったのでそれほど混んではいない。だいぶ先の右手の方で工事をしているので右車線には車はいない。みんな左車線を走っているのだ。右折のチャンスだ。左手に見える車も左車線を走っている。よし右折しよう。
それでもなんとなく不安がよぎったのでできるだけゆっくりと右折を開始した。半分ほど右折したところで、急ブレーキの音が激しく鳴り始めた。何が起こっているのか分からない。車を停めて音がしている方を見ると、一台の車が白煙を上げながら突っ込んで来た。映画のようにバックギアに入れて避けるような事はできなかった。ほんの一瞬のことだし、緊迫感もなかったし、何やってんだ、という気持ちで見ているしかなかった。その車は、ボンネットから50センチくらいのところで止まった。運転手はひどく興奮していた。あたりはタイヤの焦げる匂いで充満した。もしドアにでも突っ込まれたら私は痛かったに違いない。
後で考えるに、左車線をかなり高速で走って来たその運転手は工事によるノロノロを避ける為、空いている右車線に入ったようだ。そこへノロノロと出てきた車を発見して急ブレーキをかけたに違いない。誰が悪いのか知らないが、狭い道からいきなり高速道路に出るのと同じくらい危険である。