パンク



 エンジンが直った三日後のことだった。いつものように土曜日の朝はガキどもを日本語補習校に連れて行かなければならない。補習校は、サウス・カロライナ大学(USC)の構内にある。駐車場の空いているスペースに止めようとした時、コンクリートの鉄筋が目に入った。それを避けたはずなのに、プシューっという音が聞こえた。どうもコンクリートの割れた角にタイヤの側面がこすれたようだ。右前のタイヤがパンクしてしまった。

 顔がひきつる。何と運の悪いことだ。今度はパンクか! AAAのロード・サービスに入会はしてないが、新車のオーナーなのでクライスラー・ロード・サービスがある。これは新車の特権だ! 故障の修理が無料だけではなく、パンクの時も何かサービスがあったはずだ。電話すればタイヤを交換してくれるに違いない。車に入れてあったクライスラー・ロード・サービスのマニュアルを読む。

 えーっと、パンクは英語では、Flat Tire か。なになに、用意してあるスペアー・タイヤの交換をプロがヘルプしてくれる、か! 微妙な表現だな、まったく。で、車体番号とナンバーを控えて、住所はと、、、。あれ、住所がわからない! ここはどこだ?

 しかし考えてみれば、日本のJAFのようには迅速であるはずがない。自分でやろう! ということでオーナーズ・マニュアルを読みはじめた。なんとタイヤ交換は結構面白い仕組みになっている。工具が不要だ。ジャッキを止めてある棒がそのままレンチになる。スペヤー・タイヤは車体の下にぶる下がっている。いちいちマニュアルを確認してやるのだが、直射日光が強く、とにかく暑い!! 頭がもうろうとする。タイヤが重い。腰が痛い。でも頑張ったおかげで40分位でタイヤが交換できた! よかった。

 校舎で待っていた家族を呼んで、さっさと家に帰った。車についている温度計は摂氏38度だった。