ドライブ・スルー
ついに来る時が来てしまった。夕方K-Mart からの帰り、車の中は腹をすかしたガキんちょのハンバーガーという叫びがいつの間にかハンガーバーになっていた。時間も遅いのでドライブスルーにすることに1対5で決定した。
あれは1987年の5月だったと思う。生まれて初めてマクドナルドに入ったのは、アメリカはオハイオ州でのことだった。英語もそうだがそれ以前にシステムがわからなくて、後ろに長い行列を作ってしまった。あれから8年間の努力の結果、今ここでドライブスルーに挑戦するにまで成長したのだ。ドライブスルーは、日本でも2回しかやったことはない。
じゃー、何をたのむかは俺が決めると言って、事前に グリルド・チキンバーガー・ミールとチーズバーガーに決めて準備に万全を期した。車を止める。
M: May I help you?
S: Yes, two grilled chicken burger meals with sprites and four cheese burgers.
と最後のS の発音を強く言うのがこつである。
M: I can't hear you. Speak ペラペラ。
どうも聞こえなかったらしい。ガクッ。発音練習のつもりで大声で言う。
M: Anything else?
S: That's all.
M: ペラペラ、Thank you.
通じた。車を進めてお金を払う。お釣りをもらうと同時に窓口の窓がピシャッと閉められてしまった。お金だけ取られて何ももらえないこの不安な時間。もしかすると、つぎの窓口でピックアップするのかもとの疑念が頭をよぎる。するすると車を前に出す、しまった出口になった。
あわててバックする。まずい、次の車がドライブスルーに入ってきた。バックを急ぐ。間一髪、窓口争いで勝った。 丁度その時、窓が開いてハンバーガーが出てきた。窓口の人は、不思議そうな顔をしていた。
当分ドライブスルーはやめておこう。