ワシントンDCへのドライブ



クリスマスの日に、Washington, D.C への旅は始まった。今回はSmithsonian Museum を中心に考えていたので特に準備もしてない。数日前に買った、Washinton, D.C with Kids というガイド・ブックもほとんど読んでない。ホテルの住所とインターネットで入手したホテルへのDirection、それに10年前に買ったアメリカ全州の地図が頼りだ。片道480マイル、ざっと10時間を予定する。暗くなる前に着けば良い。ただそれだけだった。

クリスマスにサンタさんから貰ったプレゼントを持って行くかどうかでぐずったヤツがいたので、出発がやや遅れ、家をようやく8時ちょっと前に出て、ひたすらI-20を東に走る。外はマイナス3度、それでも日ざしが強いためFree Way には湯気が立ちのぼる。ずーっと、ひろびろとした風景が続く。

「ねえ、おかあさん、どこに行くの?」とミーが聞く。全然分かっていないのが一人いた。
「今どこ?」ノンが聞く。
「まだ、サウス・カロライナだよ」
「サウスカロライナの次ぎはどこ?」
「ノース・カロライナだよ」
「その次はワシントン?」
「違うよ、バージニアだよ」
「じゃあ今日、ワシントンに着く?」
「着かないよ、今日はワシントンに行く川を渡らないっでホテルに泊まるから」
「えーっ?」
「あっ、知っている。Potomac River でしょ?」とチーが口を挟む。
おお!、いつのまに覚えたのだ? どうやらSocial Studies で覚えたらしい。これじゃあ、下手なことは言えないぞ。

「どこに行くの?」と「いまどこ?」を何回となく聞きながら、やっと昼どきだ。昼は、マクドナルドかキング・バーガーだ。"To go" でなく"Eat here" の時間を見込んである。がしかし、ノース・カロライナでI-95 を降りたマクドナルドとキング・バーガーはいづれも休みだった。まさかと思い、次の大きそうなExit まで行ってみるが、やはり休み。クリスマスの日だからに違いない。ワッフル・ハウスはやっていたが超満員。しかたなく、すいてそうなレストランに入る。しかしそれは罠だった。ここで待たされ、1時間半も時間を消費した。これでは、ホテルに着くのは夜になってしまう。

幸いの交通量の少なさをついて、ぎりぎりまで飛ばし続けた甲斐もなく、太陽はだんだん低くなり、日没前30分にヘッド・ライトを点けるというサウス・カロライナの規則に従うと、オート・クルージングは自動的に解除され、アクセルの面倒もみなければならない。あたりは暗くなり、目は鳥目のようになり、交通量は多くなるが、何故か回りの車のスピードは全然落ちない。車線も増える。出口を間違ったら、そこは未知の世界だし、そうかと言って、急な車線変更は不可能な程、車が多い。まずいことに左に降りる出口もある。左か右か、明日はドッチだ? などとドッジに乗ってあしたのジョーのジョークを言っている場合ではなかった。

キャー、という悲鳴と衝撃を感じたのはほぼ同時だった。後方確認が出来なかった為に右出口への車線変更が遅れて、ちょっと高くなっている分離帯を左前輪が踏んだのである。しまったとは思ったが、急ハンドルよりはましだと思ってわざとやったのだ。が、車は猟銃を持ったパジェロではなかった。今年は燃料漏れのリコールとオーバーヒートの経験をもつドッジ、グランドキャラバンであった。クラッシュはしなかったが、ごつんと腹を打った。

おまけに、こだわった出口は間違っていて、Potomac River を越えてしまい、いきなりWashington D.C の夜景のドライブとなってしまった。夜景は綺麗だが車がたくさん飛ばしており、田舎から来たおじさんにはそれを楽しむ余裕がない。果たしてホテルに生きてたどり着けるだろうか?