はらぺこあおむし
ドッディーとの聖書口座は続いている。私はほとんど唯一の生徒だったのだけれど、今回は7人目の子を産んで2ヵ月たったマギーが久しぶりに参加した。彼女はミクロネシアから来ていて、英語は立派なものである。
今日のテキストはバベルの塔。
みんながまだ同じ言葉を話していたころ。町に塔を建てようという事になった。天まで届く塔を建てれば後世に名が残るというものだ。れんがで塔を建て始めた人間を見て神は人間の言葉をバラバラにして通じなくしてしまった。(ドッディーも言わなかったけれど本当はヘブル語で混乱という意味の言葉が「バーラール」で、バベルと駄洒落になっているのだ。)意思の疎通が出来なくなった人間は塔を作れなくなり、世界中に散って行ったという話である。
ドッディーは「塔を作ろうとしなければ世界は今もひとつの言葉でみんな理解し合えて楽だったのに。私たちももっと理解し合えたはずよ。残念ネー!」と言った。確かに英語で苦労している私には願ってもないことかもしれないのだけれど・・・。
エリック・カールという人の絵本に「はらぺこあおむし」というのがある。その絵本は日本でも出版されていて、児童館や幼稚園には必ずといっていいほど置いてある。だからほとんどの子供が1度は見たことがあるという有名な絵本である。お腹をすかせたあおむしがいろいろな食べ物をかじっていくのだが、かじったところに穴が開けてあって、仕掛け絵本の先駆けといえようか。
のんの幼稚園で先生が「はらぺこあおむし」を読んでくれたそうである。(もちろん英語版よ。)その後でのんが「ウチに日本語のはらぺこあおむしがあるのよ!」と言ったら、「ぜひ見せて欲しい!」ということになり、翌日さっそく日本語版を持って行った。
さて、かおはスペイン語のクラスで大きな絵本を作った。クラス中が協力して絵を描いて「はらぺこあおむし」のスペイン語版を作ったのだ。順番に一晩だけ家に持って帰れる。昨日はかおの番で、何度も描き直した跡の残る力作を読んで聞かせてくれた。
今日、幼稚園へのんを迎えに行ったとき、Kー4の担任のミセス・スミスが「のんは今日Kー4のクラスに来て日本語のはらぺこあおむしを読んでくれたのよ!」とうれしそうに話してくれた。だから、わたしも「昨夜、かおはスペイン語で読んでくれたのよ!」と言った。
はらぺこあおむしが何カ国語に訳されているのか知らないけれど、違う言葉を見たり聞いたりするって、とても楽しいものである。ウチの子にかぎらずアメリカの子供たちにとっても、外国語に実際に触れるっていうのは、貴重な体験なのだ。違う言葉と違う文化を持つもの同志が理解し合うのは難しい。でも、違いを通して学び合い、少しずつでも理解していくのは素晴らしいことだ。やっぱり、いろんな言葉がある方がいいと思うな。だって、同じ言葉を使っていても必ずしも理解しているとは限らないんだものね。