子供も大変なのだ



 外国人のための聖書講座は細々と続いている。おとうと私が主な生徒だ。その間、子供たちは日曜学校に行く。というより、日曜学校の間に大人の講座がいろいろ用意されているのだ。ところが、みーは名前を登録したものの、母と離れられず、聖書講座で暇を潰すことになる。3才半のみーに1時間半大人しくしてろ、といっても無理である。ぐずったり、騒いだりはしないけど、母は勉強に集中できない。「先生に失礼だ。」おとうは言う。確かに。

 そういう訳で、今回母がみーのクラスにつき合うことになった。最初に就学前の幼児の集まり。のんも一緒になった。先生が歌で神様について教え込む。それから、だれそれに赤ちゃんが産まれた、何とかくんが腕の骨を折った、などといってそれを子供に祈らせる。手をくんでうつむいた子供がもにょもにょっと何かを言った。最後のAmenだけが聞き取れた。

 次に3ー4才児と5ー6才児に分かれる。今日は「水の中にさかな、空に鳥」の勉強なんだそうな。粘土遊びで母の方が一生懸命になってしまった。さかなとサメとがちょうと鶏。隣にかわいい男の子が来たので恐竜の赤ちゃんをサービスした。粘土遊びが終わるといよいよ今日の主題、聖書の勉強だ。

 「神様は太陽を造りました。昼です。そして月を造りました。夜です。」先生はそう言いながら空と海の描いてある布に太陽と月の絵を貼り付けていく。のんはこのあいだそれを日曜学校で習ってきたが、家に帰って「昼にだって月がみえるときがあるじゃない!」とぶつぶつ文句を言っていた。そりゃそうだ。先生はさかなや鳥、蝶やヒトデを次々に取り出し、子供に貼らせる。みーの番。クジラだ。みーはちゃんと海にクジラを貼り付けた。隣の男の子はヒトデだ。"A star"といって、彼は空高くヒトデを貼り付けた。海から200マイルも離れた所に住んでりゃ、しゃーないかもね。英語でヒトデは"starfish"だし、たいして変わらないさ!?

 勉強したことを塗り絵で復習すると、おやつタイム。アシスタントのおねーさんが用意しておいてくれたのは、さかなの形のクラッカーとジュースだ。あっというまに平らげる子供たち。おかわりをねだる子もいる。先生がみーに尋ねた。"Do you want some more?" みーがすかさず答えた。"Yes, please." いつのまにこんな受け答えを覚えたんだ? 母はぶっ飛んでしまった。

 聖書講座は生徒がおとう一人だったそうだ。だから1日中機嫌が悪かった。来週はおとうがみーにつき合うことになるんだろうな。