追突事故目撃
I-95はシーズン中は混雑する。制限時速70マイルのところでもキャンピング・カーなどがいたりしてすぐにつっかえる。混雑時の車間は数メートルしかないケースがほとんどである。それでもキロでいえば100キロは出しているから、ほとんど空気抵抗を減らすレーサーの運転か、牽引車の感覚の運転になる。
みんな真剣に運転しているかというとそうではない。老眼なのにハンドルに地図を置いて、見ながら運転している人。助手席の方に完全に向いて、話ながら運転している人。後ろの子供に気を取られながら運転している人。居眠り運転の人。こういうのに混じって、日本の厳しい教習所でたたき上げられた当方としては、当然防衛運転にならざるを得ない。遅いのをぐっとこらえてキープ・ライトを守り、車間をあける。
あと14、5マイルでいろいろフロリダに入ろうとしていたその時、前のキャンピング・カーがブレーキを踏んだ。ブレーキ・ランプは右が切れている。このキャンピング・カーのおかげで前が全然見えず、60マイルしか出せないこともあっていらいらしていた。流れがちょっとは良い追い越し車線に入ろうと、タイミンングを計っていたその時である。
追い越し車線の数台前で追突が起きた。1台、2台、3台、4台、、、玉突きである。3台目の車が一番ひどくぶつかり、ボンネットがグシャっとなった。4台目はギリギリで3台目を避けた。5台目は左によけた。全部で数秒間だったが全てを見てしまった。3台目の助手席はエヤーバッグが開き、おばさんがぼうぜんとしていた。一番先頭で追突された車の助手席に載っていたおじさんが出てきて、大げさな身振りで怒鳴っている。What's going on, there! と言っているのだとノンタの解説つきである。つぶれたボンネットのおばさんが出てきた。これは喧嘩になりそうだ。
幸い右車線は動いている。ストップしないですり抜けることができた。しかし、鼓動が速くなっている。おじさんの怒鳴り声のせいではなく、追い越し車線に入っていたら、巻き込まれたかも知れないからだ。玉突きの被害者には申し訳ないが、100%自業自得である。それ以後、数時間緊張して運転して、無事にホテルに到着した。