電車にのって感じた「今」
今回の帰国にあたってレンタカーを借りることも考えなくはなかったのだけれど、せっかくだから不便を承知で電車に乗って動こうとおとうが言った。本心はレンタル代が高いのと、運転がめんどくさいからに違いない、と私は思う。でも、実際アメリカでは、(特にサウスカロライナでは)電車に乗るというのは大変貴重な経験で、日本育ちのがきんちょは友達に随分うらやましがられたのである。
さて、私たちは新幹線やら夕方のラッシュの山手線やらのどかなローカル線に乗った。がきんちょはところかまわず「おしっこ」というから、以前は3Kと言われ絶対使わなかった駅のトイレにも行かなければならなかった。駅のトイレはすっかり様変わりしていた。制服を着た高校生がどっさりいるのだ。洗面台に足をのせて懐かしい「ソックタッチ」でブカブカのソックスを留めている。傍らでは電池式のカールドライヤーで茶色い髪を外巻にしている。そのまた傍らでは化粧、と狭いトイレは賑やかである。
ローカル線のホームへ降りると高校生たちがどんどんやってくる。乗降口で列ができることはない。私が高校生だったころと変わらない。これじゃ、座れないよ。この日はいやというほど歩いてみんなヘトヘトだ。ホームの前方を見ると傘をさしている人達がいる。さすがローカル線、屋根のないところがあるのだ!そっちのが座れる可能性があるぞ!という事で、私たちは雨の中屋根のないホームで電車を待ったのであった。
決死隊はついに席を確保した。バラバラではあったけれど。それからがびっくり。たくさんの女子高校生が床に座り込んで化粧を始めたのだ。ミニスカートで(元々の制服がミニなのかな?)眉毛を細くし、茶髪をかき分けながら携帯電話で話す彼女らは何だか違う世界の子たちに思えてしまった。でも、まあ、彼女たちを見ていて、いま何が流行っているかが一目でわかって面白かったけれど。「おばさん」と呼ばれるのは大嫌いだけれど、世代は確かに違うのよね。