電話セールス

金のあるところに人は群がるものであることは自明の理であります。

まだ自分で働いて稼いだ収入などない中学生、高校生の頃に
「おめでとうございま〜す、あなたは1万人に1人の確率で選ばれた・・・」
などという電話が掛かってきた人はごく稀でしょう。
ところが、大学生になり、ある程度の社会的責任を果たせるようになり金を稼げるようになると、この金目当てに群がってくる輩が多くなることは誰もが知っているでしょう。社会人になるとなおさらです。

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「悪徳商法」の手口がかなりマスコミを賑わせるようになったせいか、この手の電話は最近は少なくなっているようです。
で、最近はおそらく人を騙すつもりではない普通のセールス電話がかかってきます。もしかしたらセールスの人は「良いものを売ってやろう」という志高い人かもしれません。しかし「電話セールスは悪」というイメージもまた世間に浸透しています。なので電話セールスで生計を立てている人の苦労が計り知れないものがあります。

それにしてもお粗末な電話も多い。きっとこの手のセールスには「客がああ言ったらこう言え」というマニュアルが完備されていると思いますが、それ以前に、名前を間違えるという非常に失礼な電話もあります。いかにも「名簿を見て電話をしています」と言わんばかりです。特に私の名字は読み辛いということもあり、こういう経験は非常に多いのです。

会社にかかってくるこの手のセールス、最近はみんな慣れてきたせいか、そういう電話だと分かった時点で(たいていは電話口に出る時に分かっています)
「どのようなご用件でしょうか?」
と聞き、不動産や資格口座などの勧誘であれば興味ないのでいらない、と言って、それでもなお粘る業者の場合は「今、手が離せない」ということで半ば無理矢理電話を切る、ということで対応しているよです。

会社であれば忙しいのは当たり前。基本的は手が離せないのである。ところが、自宅の場合はどうか。家にいるときまでそんなに忙しい人はいないででしょう。そこに電話セールスがつけ込む隙があります。
先日、妹宛にかかってきた化粧品セールスらしき電話では、
妹「今、忙しいので失礼します」
セ「私だって忙しいんですよ。そんな言い方は私に失礼じゃありませんか?」
妹「はあ?」
セ「忙しいのであれば、暇な時に電話します。いつがいいですか?」
妹「あまり家にいませんので」
セ「夜もいつもいないのですか?」
妹「はい」
セ「そんなはずはないでしょう。あなたはずいぶん失礼な人ですね云々・・・」
と散々失礼呼ばわりされたあげく、勝手に電話切ったようです。興味のない話題で人を電話口に呼びつける方がよほど失礼であることは明らかでしょう。
こういう失礼な勧誘電話をする輩がいるから、善良な電話セールスさん(そんな人がいるかどうかは知らないが)が迷惑するのです。まぁもしかしたら「失礼呼ばわり」することもマニュアルなのかもしれないけど。

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そういえば、以前「恋人商法」なるものが流行りました。必ず異性のセールスが電話してきて、あたかも恋愛をしているかのような会話に持っていき、何時の間にか契約させてしまうという手口です。私もその手の電話を受けたことがあります。たまたまちょっと興味のある内容だったもので、少し話を聞いてしまい、流れでその会社のショールームに出向くことになってしまったことがありました。で、その勧誘の電話での会話の一部。
セ「分からないことがあれば何でも私に聞いて下さいね」
私「はい」
セ「でも、私の下着の色は答えられませんからね、ウフ」
私「・・・は、はぁ」
なんとも寒いギャグ・・・。きっとこういうマニュアルがあるんでしょう。真面目に話を聞いていたが、この会話を境に「こいつは怪しい話かもしれない」と疑いを抱いてしまうようになってしまったのです。

で、今までで一番強烈だった電話セールス体験。
当時は大和市の某所で一人暮らしをしていました。とある休日の夜、電話がなりました。
私「はい、上甲です」
セ「私、○○商事の××です。今日は不動産をご紹介したくて電話しました。切らないで下さい」

聞き覚えのある声です。実はこの男、今までにも数回週末に電話をしてきており、最初はやんわりと断っていたが、それも4回目くらいになると腹が立ち、無言で電話を切ったことがありました。すると直後に電話がなったのです。その男であることは分かっていたので留守電対応にする。「もしも〜し、上甲さん、いるんでしょ〜?なんで切るんですか〜?もしも〜し」ともはやセールスとは思えない電話をしてきました。1分以上もこんなふうに喋っているので電話の電源を切り通話を切断。留守電も切っておきました。するとまた電話が掛かってきます。30回くらい呼び出し音がなってもしつこく呼び続けています。しかたなく電話線を引っこ抜いて、その晩は過ごしました。
この電話は、この一件の2週間後くらいだったと思います。

私「はぁ」(この前の奴か、やっかいな奴の電話とっちゃったな)
セ「お買い得のマンションがあるんですが」
私「すいません、興味ないので失礼します」
セ「興味ないなら興味が湧くように話をしますよ。だから電話切らないで下さい」
私「はぁ、でも興味もないし、お金もないんで、失礼します」
セ「おい、待て、覚えているだろ。前にも電話したことあるんだぞ。お前、人の話しも聞かずに電話を切っただろ」
私「・・・さぁ、記憶にないですけど」(その話をしてきたか、やっかいだな)
セ「俺は覚えているんだよ、手帳にね、○月○日、○○の上甲、ぶっ殺すってね」
私「はぁ、覚えてないですが」(とりあえずシラを切る)
セ「あんた頭悪いな。人の話しも聞かずに電話切るなんて失礼だろ」
私「すいません、あなた、この電話かけてきた目的は何ですか?」
セ「マンションを買ってもらおうと思って電話してんだよ」
私「だったら、私は興味もないし、金もないと言っているわけです。切りますよ」
セ「ふざけるな、何で無言で電話切ってその後何度も電話したのに出なかったんだ。お前、これからお前の家に行くぞ、住所は電話帳で分かっているからな。×××1丁目○○−○○だろ。行ってもいいか」
私「来られても困ります。来たら警察を呼びますよ」(ドアの前で刺されてもイヤだしな)
セ「俺はマンションの話をしに行くだけだから警察なんて呼べないだろ。」
私「・・・もう一度、聞きますが、あなた、この電話の目的は何ですか?」
セ「だからマンションを買ってもらおうとしてんだろ」
私「それは私には不要だ、と言っているんです」
セ「何だその態度は。失礼だろ、お前。電話を無言で切りやがって」
私「だから、それは覚えがないと言っているでしょう。」
セ「そんなわけないだろ。俺の手帳に「ぶっころす」って書いてあるんだ」
私「ぶっころすってそれは脅迫ですか?110番しますよ」」
セ「いや、単に手帳に書いてあるだけだ。だから、お前、謝れよ」
(相手の要求は「謝罪」のようだ。それに、そろそろ私も応対が面倒になってきた)
私「もしかして、その前にも何回も電話をうちに掛けてきた人ですか、あなたは?」
セ「いや、かけてない」
(そんなはずはないだろ。ウソつくなよ。でもこれはこいつの弱みだぞ)
私「私が何度も断っているのにしつこく勧誘の電話を掛けてきたんじゃないですか?」
セ「いや、そんなことはしていない」
私「そういうしつこい電話を不動産屋が掛けてきたことがあって、もしかしたらその不動産屋と間違えてあなたの電話切ってしまったかもしれない。もし、そうなら、そのことについては謝ります」
セ「・・・だ、だからそれは俺じゃないよ」
(このころから声のトーンが弱くなる)
私「そういうしつこい電話をかけてくる不動産屋は困るんですよね。あなたはそういうことはしていないんでしょ?」
セ「は、はい」
私「だから、その業者とあなたの電話を勘違いしてしまったことは謝りますよ」
セ「(ため息)・・・もういいです」

このセールスは、途中でウソをついてしまったことがまずかったですね。ウソを言っているということがどうやら後ろめたく弱みになってしまったようです。その弱みを直接攻撃せずに、やんわりと攻めたことでこの男は直接追求される前に逃げるしかなくなったのでしょう。
(この電話を切った後は正直「勝った」と思いました(笑))
それにしても日曜日の夜にわざわざこんな電話をしてくるなんで、よほど暇なんでしょうね。そのエネルギーは本来の仕事にぶつけて欲しいもんです。

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このように断り方を間違えると、相手が逆切れしてストーカーと化することも考えられるので(大袈裟か?)禍根を残さないような断り方が必要である。出来れば相手が諦めて電話を切るような形がベストでしょう。

1.ウソで誤魔化す
「お得なマンションがあるんですよ」
「あ、うち、親の家を今建て替えててそこに住む予定ですので」
「そ、そうなんですか・・・」
と、もう考え直す余地すらない状態であることを伝えれば良い。但し、ある程度備えておかないとこういう言葉はすぐには出てこないのが難点です。

2.話を聞かない
つい、最初の方の話を聞いてしまい、なかなか離してくれなそうなとき。
「そう思いますよね?」
「ん〜」
「皆さん、そうおっしゃるんですよ。ですので、一ついかがですか?」
「はぁ〜」
「もしもし?」
「ふぅ〜ん」
と、聞いていないような返事を繰り返すことです。出来れば居眠りでもしているかのような雰囲気を醸すことです。なんだったら本当に寝てしまうのもいいかもしれません。たいていは途中で諦めて「ったくもう」などの捨て台詞を吐いて電話を切ってくれることでしょう。

3.あぶない人のふりをする
「そう思いますよね?」
「ぐすっぐすっ」(泣いているふり)
「皆さん、そうおっしゃるんですよ。ですので、一ついかがですか?」
「ぢ、ぢぐじょう。うぅ〜」
「もしもし?」
「何だよぅ、ぐうぅ〜」
と、なんだかヤバイ薬でもやっているかのような雰囲気を醸すことです。おそらく相手は怖くなって無言で電話を切ってくれることでしょう。

以上は実績がある方法です。

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