事故そして新車

その1:車を買おうと思い立つ

いろいろあって車を買い換えることにした。もの持ちのよい私であるので、なかなか「買い換える」という動作に移ることは何事においても少ないのであるが、そのモノ自体が壊れたり使えなくなったりしたら仕方がない。

うちの弟の車がこの春に車検だったのだが、かなり古い年式のブルーバードで相当ガタが来ているらしく車検通すのを諦めて廃車にしてしまった。だが、車は仕事で使うということもあり(資材の店舗間移動とか)、中古の車を捜している様子。今の仕事は2年目程度の弟にはまだ社会的信用力がないせいか、どこもローンを組むのに連帯保証人を立てろ、と言ってくる。そこで親父や私に相談してくるのだが、どうにも弟はスポーツカー嗜好。8年落ちの180(日産のワン・エイティ)を90万円で買うなどという話を持ってくる。仕事で使うのにそんな車はいらんだろ、それに私の車より高い車を買うのに私に借金の保証人になれというのは納得いかん金貯めて買え、というやりとりをすること数回(私の車はH3年式のエテルナで車両価値は0に近いのだ)。
しかし車はやはり必要ということ。結局家族会議で古くなって来年の2月車検切れ時には買い換えを考えていた私の車を弟に譲って、私は前倒しで新車を買うということになった。

ま、このこと以外にも車を買い換える動機はいくつかあった。
<車買い換えの動機>
・今の車を弟が欲しがっている。しかもなるべく早く譲って欲しい。
・そもそも今の車はシートがへたって来ており、長距離運転は結構辛くなってきた。
・セダンなのでワンピースロッドを積み込むのに苦労する。
・セダンなので遠征釣り用荷物は2名分を積み込むのにも一苦労
・来年2月の車検を通す気はない。

ということでまずは中古車購入を考え、雑誌や中古車屋を物色し始める。狙いはレガシー、レグナムなどのワゴン。予算は150万円程度。走行は2万km以内でターボ無し。しかしこういう車はなかなか見つからない。

やはり金はかかるが新車買ってしまった方が自分の好きな車を選べるしな、ということで新車購入を決意。本命レガシー、対抗レグナムで商談をしようと思い始める。幸い、釣り仲間に富士重工の社員の方がおり、セールスの人を紹介してくれたり車選びや商談のポイントなどを伝授してくれた。決算が控える9月に購入するのがベストとのことなので商談は9月に入ってから開始することにした。

その2:事故

9月4日のこと。アクシデント発生。釣りに行くべく静岡県は三島の釣り具屋に立ち寄り買い物をしている最中の車に後ろから車が追突してくる事故に巻き込まれる。幸い、私と同乗の釣り仲間は買い物最中だったので怪我はなかったが、この事故でバンパーが右前にずれ、トランクが閉まらなくなってしまった。警察立会のもと事故調書を作成し、トランクはヒモでしばって港に向かうはめになった。事故くらいで釣りを中止にするわけにはいかんのだ。

後日、事故相手と交渉開始。すったもんだの果てに私の車の全損扱いの賠償金15万円を相手が負担することで決着。トランクもなんとか閉めることが出来るようになり、弟が来年の車検まで乗ることで家族内でも話がついた。

この事故であるが、私の方は車を走らせていたわけではなく、過失割合は基本的には10:0。なので保険会社は示談交渉をしてくれないそうだ。なので、交渉は全て自分でやることになった。まあ、いろいろと勉強になりました。

その3:新車の商談開始

●9月5日
この車の修理見積りをとるために三菱の工場に行った時に隣りにある三菱のディーラーでレグナムを見せてもらいカタログをゲット。その場はセールスの人の名刺だけもらって帰る。

●9月7日
スバルのセールスの人から手紙がくる。9月10日までは研修で不在なのだそうで、それから連絡とりたいとのことだ。尚、富士重工からの紹介ということでちまたのディーラーではなく法人営業担当の部署の人らしい。
また、三菱の車についても損保に勤める友人の会社の新車購入予定者紹介制度でディーラーを紹介してもらうことにする。

●9月8日
三菱自動車の人から自宅に留守電が入っていた。また連絡するとのこと。会社の連絡先も教えてあるはずなのになあ。

●9月9日
三菱ディーラーの人が日中自宅を訪ねてきてカタログを置いていった。結局一番最寄り車の修理見積りの際に立ち寄ったディーラーのセールスの人が担当になったようだ。しかしレグナム購入希望と伝えたのにグランディスのカタログを置いていっていた。大丈夫であろうか?

●9月10日
早く帰宅したので三菱ディーラーに連絡をいれる。が担当のセールスさんは不在。折り返し連絡ということで電話を切る。と、20時過ぎに突然三菱セールスさんが訪問。この場挨拶だけで明日ディーラーに出向いて商談することにした。
その後、スバルのセールスさんとも連絡がとれ、こちらは11日の夜に見積書を持ってこちらに来てくれるそうだ。

<商談開始>

●9月11日
昼過ぎに三菱のディーラーへ。担当のセールス氏(以降ミツビシ氏)が対応してくれる。レグナムのグレードはSTでサンルーフ付きで見積もりをしてもらう。しばらく奥に引っ込んでから見積りを持ってきてくれた。値引きは22万円。一見の客に出す見積りより2万くらい多い値引きだろう。とりあえず車庫証明と納車費用のカットを申し出ると快く応じてくれて、サービスでやてくれるとのことだ。だが、値引き拡大については「これ以上は難しいです」とつれない返事。そんなわけないでしょ、と突っ込もうかと思ったがとりあえず今日のところは引き揚げることにした。「値引きはもう少しがんばれますよ」とか言ってくれれば、また印象も違ったのだが・・・。三菱の決算月も9月であることは調査済み。だとするとレグナムは既にノルマ分は売っておりあまりやる気がないのかもしれない

三菱の帰りに近くのトヨタ販売に寄る。目当てはカルディナ。ショールームの前に車を入れ「カルディナを見せて欲しいんですけど」というと「じゃあ、乗ってみますか?」とすぐにセールスさんが対応してくれた。
とりあえず展示車を見せてもらい、その後試乗車、と言っても実は所長の車らしいのだが、これに試乗する。自宅近くの狭い道を抜け家の車庫に車を入れてみる。車の大きさの割には取り回しはし易くて狭い車庫にも一発で入れることが出来た。
その後、ディーラーに戻って商談。特別仕様車のTwisterという車種で4WDで車体価格は240万ちょっと。値引きは20万。ただこれは標準値引きで、9月は決算月なのでもっとがんばるという心強いお返事。レガシー、レグナムとの競合を伝え、30万引きくらいいけますか?と聞くとそれくらいはいけますということ。これは期待出来そうだ。

夜、スバルのセールス氏(以後スバル氏)が来訪。玄関口で対応する。見積りに記載された値引きは28万円。レガシーは25万くれば上出来という話もあるくらいなのでこれはいきなり良い条件だ。が、顔は渋いままで見積書をチェック。諸費用カットには応じてくれ、しかもサービスでやってくれるそうだ。値引きはもっと出来ます?という問いには課長に怒られますがやりますとのこと。トヨタさんは35万引いてくれますよ(ちょっとサバ読み)と言うと値引きではトヨタにはかないません、あと3万も5万も安くなることはないですよ、とのこと。これはちょっとがっかり。オプションリストなどを受け取って今回はこれで終了。

●9月12日
朝10時頃、寝ていると親にたたき起こされる。トヨタ氏が訪問してきたようだ。
スバルはどうでした?と聞くので30万は行けるみたいです、と伝えるとじゃあうちは40までは難しいですが35万はいけます、という返事。今度の週末までには決めますから、とということを伝えトヨタ氏は引き揚げていった。

うむむ、カルディナ35万引き、用品込みならそれ以上いけそうな雰囲気。これはかなり安い。心は揺らいでカルディナに傾く。わざわざ訪問しに来たということは売る気もあるということだろう。
昼食を済ませた後、暇だった妹とともにトヨタに出向く。更に良い条件の見積りを引き出すためだ。

妹が来たということで、再度試乗させてもらい、2度目の商談。用品の追加を申し出るが打ち出された見積り書の値引き額は前と同じ。あの値引きはコンピュータに入力できないんだそうで、口約束になってしまうそうだ。今決めてくれれば所長にかけあって35万までの値引きはする、この条件は週末までは出せないかもしれない、と決断を迫ってくるが、とりあえず明後日までには何らかの返事をすることを約束してディーラーをあとにした。

正直、かなり迷う。値引きの大きいカルディナも急上昇だし、そもそも気に入っているレガシーも捨て難い。三菱はあまりやる気がなさそう(正直、かなりがっかり)だし、カルディナかレガシーに決めることになりそうだ。

●9月13日
カルディナ、レガシーとも最終条件に近い見積りを出して来ているし決算月である9月登録にはこの週末までが限界。15日は釣りの予定があったし、この月曜日火曜日で最終条件を出させて決めてしまおうと決意する。

スバル氏に電話して今日の夕方、横浜での会社の打合せのあとにそちらに伺って商談したいと申し出る。では19時頃、ということで約束する。

その後、スバル氏を紹介してくれた富士重工の人にメールで現状を報告。カルディナに傾いていると伝えると即座に返事が返ってきて「車の出来ではレガシーの方が数段上。値引きもいいが、もっとよく考えた方がいいよ」とのこと。車に関するエンジニアであるこの人の言葉は非常に心に響き、値引きにくらんでいた目がここで覚める。やっぱりレガシーにしよう。今日の商談で30万以上引きが出たら決めてしまおうと決意する。

ちょっと打合せが長引いてスバル氏の待つ磯子の事務所には約束より30分遅れて19時半頃に到着。さっそく商談を始める。今度の見積書は値引きが30万となっている。何も言わなくても条件を良くしているところが気に入った。念のためサンルーフ無しのブライトンの見積りも打ち出してもらう。これにはいくつかの用品も追加しておく。ここから値引きを引き出させる作戦でもあった。
「これ以上は無理ですか?」
「前も言いましたが、値引きはトヨタのようには出来ません」
「カルディナは35万ですよ」
「35万は無理です」
「・・・」
しばし重苦しい雰囲気。ここで切り札を使うことにした。
「実は今日は良い条件が出たら決めるつもりで来ました」
ここでスバル氏の顔がちょっと変わる。「今日ここで決める」というのはセールス氏にとっては殺し殺し文句なのだ。
「良い条件とはどういうことでしょうか?」
「例えば、この端数が切れて250万ならこの場で決めます
サンルーフ付きの支払総額254万円に対してこう出てみた。ダメもとである。
が、S氏は「ちょっと待っててください」と言って席を立ち、どうやら課長に電話して決済を仰いでいるようだ。その時間約10分。戻ってくると
「9月登録ということでその額でやりましょう」という意外な返事。ラッキー!。本体からはこれ以上は引けないので用品からの値引きになるそうだ。用品作戦も成功である。
ただ、月曜日は車両を管理しているところが休みだそうで在庫が確認できないんだそうだ。またサンルーフ付きの在庫は滅多にないし、在庫車になると色も限られてくる。
サンルーフ無しでも同じ条件でやってくれることを確認。色の優先順位(赤→青→シルバー→白)を伝えて、翌日在庫を調べてもらうことにした。ただ、この日は判子は持参していなかったので何の書類にもサインなどはせずに帰宅した。7万円弱分の用品込みとはいえ、レガシーから34万円引きが出たということで商談は成功であろう。

車庫証明関連の書類を受け取り、帰りは駅まで送ってもらった。我が家は借家なので家の車庫でも車庫証明をとるには「車庫使用許諾書」を大家さんからもらわなくてはいけないのだ。この書類が出来るのに3〜4日かかることは事前に調査済みだったのでスバル氏には来週初めくらいに書類が出来ることを伝える。では書類が用意出来たら連絡下さい、ということでこの日は終わった。

●9月14日
翌日、第一希望の赤のサンルーフ無しのレガシーの生産計画あることが分かったそうでこれを押さえます、という電話が会社にきた。あとは契約作業だけすれば完了だ。
父親に依頼していた車庫の使用許諾書も直接もらいにいくことでこの日のうちに用意することが出来た。

●9月15日
強風のため釣りは中止。朝、家を空けているところにトヨタ氏から「どうなりました?」という留守電が。断りの電話しなきゃな〜と思いながら家で雑用をしているところにトヨタ氏が訪ねてきた。最初はニコニコしていたトヨタ氏であるが、私が申し訳なさそうな顔で出ていったせいか、だんだんと顔が暗くなっていっていた。
「カルディナ、どうなりました?」
「すいません、お電話しようと思っていたんですが・・・」
「はあ」
「・・・もう一つの方に決めてしまいました
「そ、そうですか・・・。分かりました。また何かあったらお願いします」
とあっさり引き上げて行ってしまった。
こう言っては何だが、出来る営業の人というのはコンペティターに負けたとしても、その負けた理由を聞き出すなりして他の商談の際に役立てようとするものだ。レガシーに決めた理由も聞かずに帰ってしまうとは、私が上司なら怒っているところである。まだ若いトヨタ氏であったので仕方がないか・・・。

●9月16日
午前中に「書類が準備できました」とスバルに電話をいれるとスバル氏は不在。昼過ぎに電話があり、注文書を作りたいが今日の夜などはいかがでしょう?ということなので21時頃なら帰宅していますのでそのくらいの時間に来て下さいと告げる。

20時に帰宅。風呂入って飯を食っている最中にベルがなった。20時40分のことである。約束では21時過ぎだったのだが・・・。食事を中断して契約作業に入る。
玄関に小さなテーブルを用意してそこで契約書(注文書)の説明を受け、日付や名前などを記入していく。この最中に忘れていた用品のサービスを申し出てみる
「あの〜、この前言うの忘れたんですけど、オプションで欲しいものがあるんですよ」
「な、何でしょうか?」
「このトランクルームのマット(10000円相当)なんですけど・・・」
「あ〜、ないと困りますよね」
タダで、とは言いませんので2割引きくらいで・・・
「そうですねぇ・・・」
「あとちょっとしたものならサービスしてくれるって話でしたよね。このノースモーカーズボックス(1500円)も欲しいんですけど」
「はい・・・分かりました。・・・両方ともサービスしましょう。無料でお付けします」
「えっ!本当ですか?」
結構きつめの値引きでの契約だと思ったので用品の無料サービスはもう無理かと思っていあたが、あっけなく応じてくれた。これで実質値引きは35万円弱になった。
まあ、注文書にサインしながらハンコが目の前にあるような状況だったので応じてくれたのだろう。やってみるものだ。

車庫証明関連の書類は明日(17日)に出すので月曜日くらいにお巡りさんが見に来ますよ、とのこと。今の車は下取り扱いということにしておくので車庫に車は置いといても大丈夫だそうだ。
ちなみに今回の契約成立の訪問でスバル氏はスバルのウチワ2つとペアのティーカップを粗品で持ってきてくれた。

納車予定日は仮決めで10月2日の土曜日とした。

<商談終了>

●9月17日
車が変わるので任意保険の手続きも必要だ。現在は会社の団体保険でA社の保険に加入しているがその代理店のN不動産に電話する。
「車を買い換えるので保険の変更手続きをしたいんですが」
「はい、お車は何でしょうか?」
「レガシーですが。車両保険も付けたいんです」
「型式はお分かりになりますか?」
「は?いやちょっと分からないです」
「型式が分からないと保険の見積りが出来ないので販売店に確認してから再度連絡下さい」
ということでこの場は電話を切る。確か型式は注文書に記載されていたので来週また電話しよう。

●9月19日
10時頃に起き出してくると、母親が
「朝、お巡りさんが車庫を見に来ていたわよ」
「何か言ったの?」
「この車は弟が引き取って、あっちの借りている駐車場に入れる予定って言っておいたわ」
(弟の車用に駐車場をちょっと離れたところに借りてある)
「あの車、下取りに出すことになっているんだけどなあ」
「正直に言ったけど・・・まずかったかしら?」
「だからあれほど、何も言うなって言ったのに。まあ大丈夫だと思うけど・・・」
(母親にはお巡りさんが来て何か聞かれても車のことは詳しく知らないと答えておけ、と事前に言っておいた)

●9月20日
保険の件でN不動産の担当者に電話。型式を伝える。
保険の条件変更になるのだが、2月が満期の契約なので保険料がUPする来年2月までの差額分は一括して振り込まなくては保険が切り替わらないそうだ。
車両保険には「一般」と「エコノミー」があり、自損事故でも「保険」が降りる一般を選択。とりあえず最初の1〜2年の車の価値が高いうちは仕方がないだろう。同時に「21歳未満不担保」だった契約(妹が免許とって乗ってもいいようにこうしておいた)を「26歳未満不担保」に変更。こうすることで現在の保険料(車両保険なし)との月額の差額を3000円程度に押さえることが出来た。ちなみにエコノミーなら差額は1000円ちょっとのようだ。

基本的にはあとは納車を待つだけだ。
この日、4日の事故の相手から示談金が振り込まれた。あとは示談書が送り返されてくればこの事故も一件落着である。

この3週間で車関連の物事が急速に展開して無事終了しようとしている。事故処理についてはその手の手引書を購入して調べ、商談については某月刊の自動車雑誌のあるコーナーを参考にした。やはり交渉事は自分なりのシナリオを考え、その通りに進むようにすることが肝要だろう。つまり事前に十分考えてから交渉に臨むということだ。

次はカーナビ選びでレポートを作成しようかと思っている。

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