オーラス一発、常磐沖ヒラメ

粘り勝ち


  1. 日時:2001年12月16日(日)
  2. 場所:日立〜那珂湊沖
  3. 参加メンバー:鯛介、球磨吾朗氏
  4. 時間:午前6時30分〜午後1時00分頃(実釣)
  5. 潮時:大潮


釣行記

今回は球磨吾朗さんの釣りマガジンの取材のお供で、那珂湊港・大内丸からヒラメを狙う。今シーズンは常磐のヒラメは絶好調。大型も出れば数も出るという日も多く、今回も「船中60枚出た」という声を聞いての釣行予定であった。ちなみに、いつも一緒に釣行している矢沢さんは南の島を夢見て今回はお休みなのだそうな。

今回は球磨吾朗さんが席を確保してくれるということで、私はゆっくり目に午前2時前に出発。思ったより那珂湊は近く、港には3時半に到着。船着場もすぐに分かり、大内丸の船も確認。船の真横が駐車場所のようで、空いていたスペースに車を止め、仮眠していると思われる球磨吾朗さんにメール。すると電話がかかってきて、実は隣に止まっている車が球磨吾朗さんの車だった。で、席は左舷のミヨシから2つ確保で、ミヨシを頂戴出来るとのこと。荷物を積み込もうかと思ったが、外は氷点下。船長は4時20分頃にやってくるとのことなのでそれまで仮眠することにした。

●満船
4時20分の目覚ましで起きる。当然ながらあたりは暗いが、もう何人かの人が船着場の外灯の明かりを頼りに船上で準備を開始している。私が車外に出ると、球磨吾朗さんも起きだしてきたので挨拶を交わす。そして荷物を積み込むが、左舷、右舷とも張り出しにも人が入るほど。ただ、張り出し部分は海水循環パイプもないし、釣りはやりにくそうだ。ということで、我々は最終的に左舷ミヨシ3番と4番という釣り座になった。

この船は前会計だそうで、女将さんに11000円を支払う。YAMASHITAの仕掛け1組と錘がサービスになっている。結局左舷12名、右舷14名の大盛況で5時10分に出船となった。

船は港を出ると南下。ずいぶん暗いうちから釣り始めるのだなぁ、と思っていたら、いつの間にか船は入港。まずは大洗港で餌のイワシを仕入れるのだそうだ。休日のせいか、このイワシ購入の順番待ちで約30分。東の空が明るくなってきた6時過ぎに再出船となった。

●型狙い
今度は船首を北に向けている。「お、今日は大型狙いだな」と中乗りさん。グラビアの絵になる大判ヒラメを、ということなのであろう。40分ほど走って、日立辺りの沖に長く突き出た堤防の沖に到着。しばらく潮回りして開始となった。「大型を狙いますから、ドラグは緩めに調整しておいてください」という船長のアナウンスがあり、気合いが入る。水深は30mほどである。

今回のタックルは、つり吉オリジナルBGRGulf6-8LB(2.4m)にABU。先糸8号1mに三叉サルカンでハリス6号1m、捨糸4号30センチ。ヒラメ針16号を親に、チヌ6号を孫針とした。錘は60号。捨糸を短くしたのは、根回りを主に狙うから、という情報からだ。

●アタリ?
まずはスパンカーを上げずに横流し。右舷が潮上になっているはずだが、道糸はほとんど垂直のまま。すぐに流し換えになり、再度同じく右舷流し。と、竿先になにやらアタリらしき感触。そのままで待つ。ゴツゴツゴツという感触。ん、根か?キュキューンという感触。いや、やっぱり魚か。ゴッゴッゴ、やっぱり根か。キューン、いや魚か。というのが1分続いたであろうか。一際大きく竿先が引き込まれたのを合図に竿を立てる。が、ブツッという感触で重量感が消える。「いま、アタってた?」と中乗りさん。「いや、多分根でしたよ」と私。「ん、多分根っこだな。根がキツいから、2mくらい底を切らないとだめだよ」と球磨吾朗さん。竿先が柔らかいために、またまだ使い慣れない竿のせいか、アタリの根の感触の区別がつけにくいのだ。

●日立沖へ
結局この後は左舷流しになるも、アタリなし。寒い中1時間粘ってだめで、船は更に北上。日立真沖のヒラメ船団に合流。15mダチで再開始となった。今度はスパンカーを上げてのタテ流しである。

ここはやや潮が澄んでいる感じ。ここでも潮がほとんど動いていないのか、道糸はまっすぐのまま。日立港船籍の僚船が10隻ほどいるが、やりとりしている様子はない。すっかり日も高くなって風も弱くてピーカン。こんな陽気で魚は釣れたためしはない。案の定、ここでも船中ヒラメは上がらなかった。

10時頃、大型ヒラメは諦めて船は南下。30分ほど走って再開。やや北西風が強くなり、海もザワついている。水深は朝と同じく30〜40mほど。ただ。ここは根は激しくない感じで、潮も濁り気味に見えたので2流し目から錘をフジワラのケミブライトシンカーにチェンジした。

右トモ寄りの竿が曲がっているのが見える。上がったのは目測2kg弱ほどの本命。もちろん船中1枚目である。すぐに球磨吾朗さんの左のおじさんに激しいアタリ。あまりの激しさに「そら、ヒラメじゃねぇな」と船長。上がったのはこの辺の定番外道イナダであった。

●マトウ
そして私の竿にも待望のアタリ。が、アタリは弱々しく、なかなか食い込まない。球磨吾朗さんも異変に気が付き「お、あたってんの?バラすなよ」と声を飛ばす。が一向に強い引き込みはない。1分ほど待ったであろうか。アタリの感じがずっと同じ状態が続くので、満を持して竿を立てる。リールを巻くと確かに重量感。「こっちに来たよ」と球磨吾朗さんがカメラマンの関戸さんを呼ぶ。「いや、小さいですよ」と言ってみるが、顔はどうしてもにやけてしまう。先糸が見えて魚体が見えてくる。確かに小さい。そして茶色いが、何か変だ。そう、上がってきたのはこれも定番外道のマトウダイ。タモを構えた船長もそのまま操舵室に戻ってしまった。ま、とりあえずは完全ボウズ脱出。船はだんだんと南下。西風が次第に強く吹き込んでくる。潮も流れだし、オマツリも発生し始めてきた。「魚の気配がしてきたね」と球磨吾朗さんと話す。「今日は一発勝負だよ」。そして右舷トモ寄りで同じ人がもう1枚ヒラメを追加。決して右舷有利な潮ではないはずなのだが・・・。

●道具ではない?
左舷張り出しで、固くてへんてこな竿を使っていたビギナーの人が「何か掛かったよ」とリールを巻き始めた。船長が飛んできてドラグ調整など横で付きっきりで指導。何とか1.5kg級をゲット。ビシアジの竿をそのまま長くしたような不思議な竿であったが、そんな道具でも釣れてしまうのだから不思議である。

更に球磨吾朗さんの左となりでソゲ1枚。これは水面で針がはずれてしまったが、船長が落ちついてひらひら水中を沈んでいくヒラメをすくったもの。実は右舷で2枚目のヒラメを釣った人も2枚目は同じく水面でハリスが切れてしまったが、船長がうまくヒラメを追いかけてタモですくったものなのだ。

●バラし
そして、これまでアタリがなかった球磨吾朗さん。やっと待望のアタリが訪れた。が、これも先ほどの私のマトウの時のようになかなか食い込まない。じっくりと本アタリを待ったが、運悪く私とオマツリ。同時にアタリも消えてしまった。残念。

と、それなりにアタリは出始めてきたが、船中ヒラメはまだ4枚とマトウ、イナダが少々という貧果のまま時間は過ぎていき、終了の13時も間近に迫ってきた。じっと手持ちで待ち続け、タナもマメに取り直したりしたが、本命のアタリはない。

●勝負
12時50分、おそらく最後の流し。まだ針に付けたイワシが十分元気であったが、もう最後だし、ということで更にウロコがびっしり付いた元気の良いイワシに交換。そして、濁り潮対策として根掛かり覚悟でタナ50センチに設定。これまでは根掛かりを恐れて、1m以上は底を切っていた。確かに、船中根掛かりする人も少ないがアタリも少ないようだし、ここで勝負に出てみた。

と、何やら竿先に違和感。錘が根というか海草を擦っているような感触。そして竿先がズーンと鈍い感じで引き込まれた。ああ、しまった、やっぱり根掛かりか、と竿を立ててリールをゆっくり巻く。「根掛かっちゃったか、あはは」と球磨吾朗さんが冷やかす。が、リールはそのまま巻ける。1m、2m、巻けるのである。

●!
「球磨吾朗さん、リール巻けますよ。もしかしたら」と言うとその竿の曲がりを見て「おぉ、そりゃでかいぞ!」と球磨吾朗さん。と同時にギューンと竿先が引っ張られ、糸が3〜4m出た。どうやらヒラメが居食いしていたようで竿先に明確なアタリが出なかったようだ。「おぉ、慎重にやんな、ドラグは大丈夫か?」と船長がタモを持って飛んできた。カメラマンの関戸さんも隣りでスタンバイしている。

竿尻を下腹に当てて竿を立ててそのままリーリング。最初の引き込みをかわす、あとは重いだけとなったが、ゆら〜と姿を現したのは茶褐色の魚体。そのまま船長のタモに滑り込ませ船上に転がったのは2.8kgの本命。最後の最後に来てくれた。いや、本当に嬉しい。



この後は船上で撮影会。今日は釣果が少なく、フィルムもあまり消化しなかったのか、とにかくいろんな写真を撮っていた。こういうときに限って自分のデジカメは車の中に忘れてしまっているのだから間が悪い。写真はうまくすれば雑誌の表紙を飾るそうだ。まぁ、飾るのは私の顔ではなくてヒラメだと思うが。

結局このまま13時を迎え、沖上がりとなった。

<釣果>
ヒラメ 2.8kg 1尾
マトウダイ 30センチ 1尾
(船中ソゲ〜2.8kgヒラメ5枚)

残念ながら大判は出なかったが、何とか取材になったので球磨吾朗さんも喜んでくれたし、来てみて本当に良かったと思う。初夏の新島の取材の時、オナガダイが釣れたのも最後の最後だった。そして、自己記録の3.0kgのヒラメを大原で釣ったときも最後の流しであった。沖上がり後の関戸さんの話し、「こういうことって良くありますよね。特にずっと釣れないとき、最後の最後に、ってこと。やはり諦めないことですね」確かにその通りである。



さて、今シーズンのヒラメ釣り。嫁さんの竿を借りて2回ともボウズなし。竿の具合が非常によく、アワセのタイミングはほとんど竿任せに出来る。その分、神経を他のこと(タナや底ダチとり、仕掛けの工夫)に割くことができ、結果として、好釣果(ボウズなし)に恵まれているのではないかと思う。来シーズンは私も同じ竿の色違いを買って、二人でヒラメ大漁となること、間違いなし、だといいのだが・・・。


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