カンパチ爆発、銭洲ライト泳がせ

竿頭でした


  1. 日時:2000年8月30日(水)
  2. 場所:銭洲
  3. 参加メンバー:上甲、山崎恵美
  4. 時間:午前6時00分〜午後1時00分頃
  5. 潮時:大潮


釣行記

夏休み2戦目。今度はライトタックルで狙うカンパチが釣れている銭洲に挑むことになった。
下田滞在中に仕掛けをしこたま用意し万全の態勢で臨む。銭洲のライト泳がせはこれが4度目。とび島丸では3度目の正直である。

●これまでは・・・
ライト初挑戦は下田の龍正丸。このときは大型のエイのみ。2度目はとび島丸から時化気味の銭洲。出掛けに車の追突事故に巻き込まれたせいか、今一つ気分が乗らずこれもボウズ。3度目は今年の春。スルメの泳がせで挑んだが不調でボウズ。だが、だんだんとタックルや釣法にも慣れ、今度は!の意気込みで臨んだ。

最近は餌獲りが6時から許されているため、出船は3時。2時半に例の氷蔵庫前に集合である。2時前に到着するとまだ車は2台。更に2台増え、客は8名のようだ。

2時半になると普段はマダイ船の健司船長がトラックでやってきて氷庫を開けてくれた。いつもの乗り子の小堀さんは夏休みのようで健司船長が助手で乗り込むようだ。もちろん釣りもするであろうから船中9名である。いつものようにクーラーに氷を9分目詰めて船着き場へ向かう。

●釣り座はゲンのよい右舷
車から荷物を降ろしていると程なく忠文船長(兄ぃ船長)が現れる。我々2名の席は右舷の前から2〜3番目。右舷5名、左舷4名である。ライト初挑戦の山崎さんには船長の目の届きやすい2番目に入ってもらった。

ラッキーなことに後部キャビンのベッド下段が2つ空いていたのですかさずキープ。全員の準備が終わった3時に出船となった。

おおむね凪の海を順調に船は走っていく。最初の30分ほどは出船準備の興奮が収まらずなかなか寝付けなかったが、いつの間にやら眠りに落ちて気がつくと6時。そろそろかな〜と思っていた矢先にキャビンの灯かりが灯り「熊野灘」が流れた。

それっとベッドから起き出して準備開始。ネープルスが目前に見える。まずはムロアジ釣り用の手釣り道具を準備。そして泳がせ用のタックルを次いで準備する。ほとんど準備が整った6時10分、島周りで開始となった。手釣り道具は渋糸24号にテンビンを介して80号のサニービシFLサイズ付ける。2mmクッション30センチにサンスイオリジナルのムロアジ釣り仕掛け(ハリス4号の短め、針小さ目の仕掛け)を使用し、サビキの先端に1.5号の錘を付ける。

 まずは島周り

●ムロは問題なし
「餌撒いてみて」と船長。パラパラとオキアミを撒いてみるがムロアジが食っている様子はない。5分ほど粘ったが思うようにムロアジが釣れず小移動。今度は「この反応なら大丈夫、水面でやって」。確かにムロアジ浮いてきた。が、私のサビキに掛かった最初の獲物はイズスミ。お帰り頂く。その後はタナ1〜2mで22〜23センチの小ムロが食って来る。大ムロが少なく、小ムロが順調に釣れる。小さいのほど獲り込み中によくバレるがそれも気にならないほど順調にムロアジが釣れる。

右隣のおじさんは自分のイケスが分からず、私のイケスに釣ったムロをどんどん放り込んでいたようだ。途中で「イケスはこっちにもありますよ」と教えてあげる。胴の間後ろ寄りの席の下にイケスが隠れているのだ。「だいぶ釣れたんで、餌のムロアジは適当に融通しあいましょう」ということにする。これも30分ほどでノルマの20尾はクリア出来たから言える余裕の言葉である。

席下のイケスがいっぱいになってくると「前の方にオケがあるからとってきてそれにムロ入れな」と船長。イケスをもう一つ用意してさらに小さなムロ求めて釣り続ける。

●泳がせ開始
やや大き目のムロにはお帰り願っても既に25〜6尾の小ムロを確保。気がつくと6時57分。「あと3分で泳がせやるよ」。

「あと1分」「あと30秒!」「あと10秒」「やって!」とカウントダウンし7時に泳がせ開始となった。

泳がせのタックルはパシフィックスプリント20-60LBにシマノレバードラグ5000TwoSpeed。道糸10号、先糸60号1.5m。トリプルサルカンを介して捨糸10号10センチに錘150号、ハリス30号2mに針はゴリラ3/0とした。

私がムロを装着して投入、底ダチをとっている間に右舷ミヨシでヤリトリ開始。目測3kg級が上がった。やはり1番最初に落とした人に分があるようだ。

泳がせの釣り方はfuneturi-mlの銭洲の達人の新村さんや熊ちゃんに教わったとおり。錘が底についたら2〜3m底を切り、ジリジリと上にタナを探る。そしてムロアジが一番暴れるところがタナである。12〜13mくらいまで上に探ったら再び底を取り直して探る。

ライト初挑戦の山崎さんには兄ぃ船長が操舵室から出て操船はリモコンで行い、手取り足取りのプライベートレッスン。なかなかこういう機会ってのはないので羨ましいような、怖いような・・・。

●やられた・・・
左舷でもカンパチが上がった様子。私の右隣の人も3kg級をゲット。朝の地合のようで気合を入れる。ゴゴンという感触。ん、根掛かりかな、と軽く竿をあおる。無事はずれた様子。上げて、の合図で仕掛けを上げるとムロがいない。「やられたな」とそれを見た船長。今のはアタリだったのか・・・。

●初カンパ!
と、7時半頃、一段とムロが激しく暴れるタナを発見。ムロが下に逃げるのでごくゆっくり巻き上げる。途中から竿先が叩かれ始め前アタリが伝わる。ぐっぐっぐ、ぎゅーんと竿が入ったところで思いっきり合わせる。乗った!ゴンゴンゴンと竿先が絞り込まれる。必死で竿を立てて耐える。初カンパチである。

「何だよ、上甲さん、最初に恵美ちゃんに釣らせたかったのになぁ」と船長。しかしこちらに笑っている余裕はない。なにせ初物である。バレるなよ、と念じながら締め上げる。先糸が見えてきた。ハリスを掴んで船長の差し出すタモへ誘導。初ライト泳がせカンパゲットの瞬間である。3kg超級とやや小振りながらも紛れもないカンパチである。

●2尾目は置き竿
無我夢中で竿をあおってリールを巻いたせいか左腕がパンパン。でも時合である。すかさず手頃なムロアジを付けて投入する。タナをとってしばらく手持ちで探った後、カンパチを処理しようとタナを高めにセットし置き竿。そして下を向いた瞬間に「食ってる食ってる」と船長の声。顔を上げると竿先が大きく叩かれ、海面に突っ込んだところだった。「アワセをいれろ!」と船長の指示があり、言われたとおり大アワセをする。これも無事針掛かりした様子。
「上甲さん、恵美ちゃんまだ釣ってないのに血も涙もねぇなぁ」と笑いながら船長が言っている。が、まだまだ私も必死である。と、その時その恵美ちゃんこと山崎さんにもアタリが訪れた。アワセも決まり隣でもヤリトリが開始された様子。

まず私に先ほどの同級のカンパチ。その後山崎さんが上げたのは、これが5.6kgの良型。明らかに私のカンパチよりも大きい。あっという間に右舷はトモを除いて全員カンパチの顔を見ることが出来た。
 5.6kg!

●島回りは凪
少しウネリがあるが、ほぼ凪。太陽も上から照りつける。喉が渇いた。お腹も少しすいた。手元にあるのはミネラルウオーターのみ。クーラーに手を伸ばす。しかしクーラーにはビールのみ。そうだ、甘いジュース類は山崎さんのクーラー(前の方に置いてある)に入れたっけ。でも取りに行っている時間がもったいなくてそのまま水のみで釣りを続ける。

●3尾目
と、しばらくするとまたも前アタリ。2度目の強い引き込みでアワセをくれる。しまった、少し早かったか、と思ったが何とか針掛かり。「ちょっと合わせ早かったかなぁ」と船長。このころからやや余裕が出来、リールのカウンターなんぞ見ることが出来た。実はネープルスの岩が目前に迫るような場所、アワセを入れたタナはなんと12m(底は25〜30mくらい)であった。考えてみればムロが水面付近でウロウロしているんだからその真下にカンパチが付いていてもよさそうなもんである。上まで探った甲斐があった。これは当日最少、それでも3.2kgであった。

「やるなぁ」と船長。「えへへ、信じられないっす」と答える私。半分ひきつり半分緩んだような笑顔だったと思う。釣れたという喜びとバラしてはいけない、という緊張とか入り交じった表情なのである。

●餌の管理は重要
喜んでばかりはいられない。カンパチの血抜きに海水ホースを使いっぱなししていると「ムロが苦しそうだぞ」と船長の指摘。そしてうっかり死に掛けたムロをイケスに入れたままにしておいたら「死んだムロは取って」と指摘がある。死にムロが同居していると他のムロも弱ってしまうようだ。慌てて横たわったムロをイケスの外に出して海水を循環させる。なんとか回復したが3尾の小ムロが昇天してしまった。常にいろんなところに気を配っておかないといかんのがこの釣りだ。

 ムロアジの管理は重要

●4尾目、カンパ20?
そして数分後なんと4度目のアタリ。今度は前アタリが長い。ごごん、ごんごん、というアタリは20秒くらい続いたであろうか、やっと竿先が突っ込んだ。これも何とか食い込ませることが出来4尾目ゲット。本当にこんなに釣れていいのだろうか?夢でも見ているのだろうか?そんな気になってしまうくらいの釣れっぷりである。

そろそろポンピングで使用する左腕も限界。仕掛けを落としても竿は置き竿。それでもタナを探るのは欠かさない。次に掛かったらウインチファイトでゴリ巻きしようと考える。そもそも4尾も釣れたのでもう十分である。潮回り後に真っ先に投入する気合もなくなったし、山崎さんのクーラーまで飲み物を取りに行く余裕も出来た。

●5尾目!
そんな気持ちがよかったのか8時半過ぎ、5度目のアタリが訪れる。今度は船長のアドバイスでムロを活きのよいものに変えた直後であった。「ムロを変えたらすぐ来たよ」とやりとりの最中に話す余裕も出来た。で、なんとかへとへとになりつつ5尾目ゲット。これも3kg級である。持参の50Lクーラーももういっぱいである。

●たまには・・・ね。
左舷トモに陣取ったライト泳がせの達人の健司船長、この時点で4尾。ということは私がトップである。なんとこの時点で健司船長にマークされる。私の席にやってきて「仕掛け、何m?」などと聞く。トモのおじさんにも「どうやって誘っているですか?」などと聞かれる。誘いも何もなく、ただ、今まで得た知識とつたない経験で釣っているだけ。どうしてなのかも私には分からない。でもやはり気分は良い。兄ぃ船長にも「すごいねぇ」と言われて有頂天である。年に一度くらい、こういう思いをしてもバチは当たらないよね。それに4回分の授業料を払っていることだし。

後になって思ったが、おそらく右舷では一番マメにタナを探っていたこと。それに1尾釣れれば餌を活きの良い新しいものにすること、このへんが好循環で釣果につながったのではないか、と思う。いや、ただ単にツイていただけなのかもしれない。

9時頃にカンパチの食いは止まる。ハリスが撚れたのを機会に24号に落としてみたりするもアタリは遠い。

 3kg超級が揃いました

●やはり追いつかれる
船長はダルマへ移動を決意。が、ここでも反応を見つけて何度か仕掛けを落とすも食わず。今度は船長秘蔵の場所へ移動。ここで健司船長5尾目をゲット。「やっと追いついたよ〜」とわざわざ私の席までやってきて嬉しそうに言うではないか。そりゃ達人にはかなうはずがあないのだ。それに健司船長の方が断然型が良い。やや大き目のムロで狙っていたそうで、それで大き目のカンパチた食ったそうだ。さすがである。ムロは小さければ小さいほど良いと思っていたが、型を狙うなら必ずしもそうではないのかもしれない。

10時過ぎ、船長は南千場へ移動を決意。
「この場所は大型が出るからハリスは40号以上を使って」と指示が出る。事前情報で40号ハリスを何本か作っておいてよかった。

●船中ボウズなし
「ハタ、モロコも出るからね。根は険しいから根掛かり気を付けて」とアナウンスがある。この場所で最後までボウズだった右トモの人が良型ゲット。これで船中ボウズなしとなり船長の声も一層明るくなった。その後も何度となく流し替えを行い、船長の気合が感じられるが普段と潮が違うらしく船を流すのに苦戦している様子。何とか結果を出そうと私も気合を入れ直してがんばる。しかし、朝の島回りに比べるとムロの暴れる度合いはかなり少ない。

釣れていい気になっていたせいか、一度根掛かりの処理を誤りリールがバックラッシュ。しかも道糸が60m高切れ。直後に雨雲がやってきて土砂降りに。カッパを着つつ道糸と仕掛けの修復作業を続行。この雨の間はみな屋根のある場所へ避難していて、なんとか次の投入には修復が完了。

●サワラ?
右舷ミヨシの人にモロコらしきアタリが一度訪れたがこれはバラシ。モロコの実績のある場所だったらしく船長も釣り人も残念そうである。途中、餌のムロアジが胴から下をスッパリとかじられている時もあった。この時となりの山崎さんのムロも同じ状態で上がって来ていて驚く。船長によればサワラの仕業らしい。

結局この後は大きな盛り上がりはなく定刻の13時に終了となった。
<釣果>
カンパチ 3.2〜3.7kg 5尾
ムロアジ 多数

「上甲さん、竿頭だよ」と船長に言われ、やはりこの釣果は夢ではないと喜びを新たにする。まぁ、本当の竿頭は健司船長なわけだが・・・。

 帰港後の一枚

だんだんとウネリが出てきた銭洲であったが、復路の揺れは大したことなく、シャワーを浴びてからベッドへ。疲れからすぐに眠りに落ちるかと思ったが、これが興奮からか寝付けず。結局ほとんど眠らないまま帰港。相当な集中力を使っていたせいかかなりハイな状態になっていたのであろう。

港での検量。最大級は7.4kg。船中釣果は20本であった。

どうやら3〜4回に一度はすごくいい思いが出来るらしい銭洲。新さんらのベテランのお供なしにライトタックルに挑むのは正直勇気がいることであったが「来てよかった」と心の底から思える今回の釣行であった。次回は是非大型を、と思う今日この頃である。


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