4級船舶免許取得手記
これが4級船舶免許です [Fishing Room Top] 98年初頭に話しのタネに4級船舶免許に挑戦してきました。以下、その顛末を書きます。今後、免許を取得される方の参考になればと思います。
実費用一覧
項目 金額 証明写真(8枚) 1,600
住民票 200
予備身体検査費用 8,000
ヤマハボート講習費用 76,800
実技試験受験料 19,800
合計 \106,400
- 申込書類作成・手続き
- 学科講習
- 実技講習
- 学科試験対策
- 学科試験
- 学科試験合格発表
- 実技試験対策
- 実技試験
- 合格発表
- 免許受け取り
<申込書類作成・手続き>
申込書類はヤマハ東京のホームページから請求が出来た。請求から約1週間で書類一式が送付される。 今回は98年1月18日の学科試験受験を目標にしてみた。
写真が6枚必要でしかも同じネガと書いてある。スピード写真では同じ写真6枚は不可能なので会社近くの写真屋で証明写真を撮ることにする。
ところが、この写真屋でも同じ写真は4枚しか出来ないらしく、仕方ないので連続してなるべく表情を変えないように撮れば大丈夫だろう、と勝手に判断して写真を撮ってもらう。結局8枚写真は出来、締めて1600円。た、たかい。。。・11月26日
さて、申請書類には予備身体検査証なるものを事前に作成しなくてはいけない。これは最寄りの歯科を除く医師に記入・作成してもらう、ということになっている。
そこで、保健所に電話してみたところ、保健所の定期健康診断を利用しても大丈夫のような話しであったが、月に1〜2回程度しか機会がなく1/18の試験申し込みに間に合わないので、振休を利用して送られてきた資料中の予備身体検査を受けに近くの総合病院に行く。
午後一で病院の受付に予備身体検査証の記入用紙を提出する。あらかじめ電話で、このような診察をしてくれるかどうかは確かめてあった。
眼科ではいわゆる視力検査と目の疾患の有無及び色覚の検査があった。次に耳鼻科にまわり聴覚検査である。いわゆる日常会話が聞き取れる程度で良いはずであるが、予備身体検査証書の聴覚の基準が耳鼻科の先生には理解できないらしく、他の先生に電話で問い合わせたりしていたのでちょっと時間がかかった。ここでは専用のブースを使って聴覚検査と耳の疾患の検査があった。
その後、整形外科にまわり、手足の伸張、屈伸等の簡単な運動能力の検査を受ける。最後に内科にまわる。担当の内科の先生はなんと1級船舶免許を持っているとのことで、この検査証書の意味をすぐにくみ取ってくれた。
やっと全ての検査が終わったのが4時半。3時間半もかかってしまった。
名前を呼ばれて会計をする。8千円!た、たかい。。。念のため記入済みの予備身体検査証を確認すると、写真の部分に医師の割り印が押してない。受付のお姉さんにその旨を伝えて、証書を返す。すると約10分ではんこが押されて戻ってきた。
ちなみにこの病院ではこのような身体検査証書を発行したことがないらしく、検査の待ち時間に看護婦さんが来て
「この記入要項と記入用紙をコピーして構いませんか?今後の参考にしますので」
と言ってきたりしました。予想外に時間がかかったため、車を飛ばして区役所へ。住民票も必要なのだ。1通200円也。
・11月28日
ヤマハ東京に電話し、12/21の学科教習と1/11の実技教習の予約をする。料金は振り込みで書類は後日持参することになっている。・12月1日
横浜のオフィスに立ち寄った帰りに郵便局で受講料を振り込む。東京に帰る途中で、銀座のヤマハ東京に寄る。書類は揃えて提出する。このとき、三文判も一緒に渡すことになっている。じっと書類とか写真を見つめる受付のお姉さん、写真が同じネガでないことがバレたか、とドキドキするが、「はい、書類は完璧です」とのこと。
教習用のテキスト一式と学科教習の案内をもらって帰る。<学科講習>
・12月21日
西新宿の中央公園のそばの新宿ニューシティーホテルで学科教習が行われることになっている。集合は9時だ。講習会は20人ちょっと入る普通の塾のような部屋で講師1人で行われた。テキストのポイントだけど一通り紹介してくれるだけだが、内容が豊富なためとても一日で終わる量ではないが、17時に何とか終了。寝てる人もいた。まあ、これはあってもなくてもどちらでも良いような気がするが、勉強するとっかかりにはなるだろう。講師の先生は問題集(130ページ程度のA4の本)は3回繰り返してやれば受かると言っていた。<実技講習>
・1月11日
目蒲線の矢口渡から徒歩10分の多摩川沿いのヤマハマリンショップに9時に集合。8時半に着いてしまった。今回は男ばかり7名だ。
簡単なカリキュラムの説明があり、早速教習に入る。8日に降った雪がまだかなり残っている。2・2・3名の3グループに別れる。
まずは桟橋でハンドコンパスでの方位計測とロープワークの実習。何の準備もしてこなかったのでなかなか覚えられないが、見よう見まねで覚えるべき8種類の結び方をやってみる。しかしお手本がないとどうしてもスムーズに出来ない。どうも体でのみ覚えるのは苦手なのだが、講師の先生(おじいさん)は「こっちがこうで、これがこう」と「体で覚えろ」と言わんばかりの教え方。今日覚えるのはこのとき諦めた。
次に船体やエンジンルームの点検の実習。これはテキストみながら行うので、模擬演習みたいなものだ。内容は簡単である。
点検がおわるといよいよ繰船の実習である。エンジンのかけ方から練習していく。実際の繰船(蛇行や落水者救助)実習は本番の試験が行われるところまで多摩川を20分ほど下って行ったところでやるそうだ。で、ペアになった人がいきなり運転席に座らされ、そのまま繰船し、実習場所の多摩川河口を目指す。途中で私に運転手がチェンジ。最初は緊張したが、いたって簡単である。
しばらくすると羽田空港のすぐ横の多摩川河口に到着。そのまま繰船実習にはいる。転舵や蛇行、落水者救助、後進についてコツや試験のポイントを一通り聞いてからまずは講師がお手本を見せ、その後生徒がやってみる、という流れ。操作のうまさよりも安全確認がポイントであるそうだ。
「前後左右、よし、発信します。微速前進」
「右、45度、変針します。右、後方、よし・・・変針終わりました」
などと操作を逐一叫びながら進めていく。
特に蛇行は結構難しい。うっかりするとブイに接近しすぎてしまう。
一通りやったところで昼休み。近くの桟橋にボートをつけ、講師の人がそば屋に連れていってくれた。
昼飯も終わって時間は1時半。しばらくはもう一人と交代で変針、蛇行、落水者救助の練習をする。雨が少し落ちてきた。寒い。
試験航程を3サイクルくらい練習したところで、講師から「もう大丈夫」というお墨付きをもらい2時半すぎにもとの場所に戻るべく川を上っていく。途中の運転も交代で行い、運転していない方が海図の見方について講師と1問1答(実技の口述問題形式)をする。これも何の準備もしていなかったためほとんど答えられなかった。
もとの桟橋にもどったところで、着岸と離岸の練習を5サイクルずつ行う。繰船もだいぶ慣れたので楽勝だ。これが終わると再度、点検の実習。そして使ったボートを係留し、もとの教室へ。
最後に実技試験の心得や口述問題についての注意などを受けて17時に解散となった。<学科試験対策>
・1月12〜17日
会社への往復の電車の中で問題集をやる。これは過去問を集めたもので、答えは問題の横に書いてあるので座っていなくてもこのようなやりかたが可能。何とか、問題集2回と模擬試験1回、前回の学科試験問題をやった。模擬試験、前回試験とも2〜3問しか間違えない。かなり自信が出てくる。<学科試験>
・1月18日
モノレールの流通センター駅横のビルの1室で試験が行われる。集合はこれまた9時だ。少し早めに行くと会場はまだ開いていない。8時50分に試験場に入る。今回は受験者が多く2会場(教室)に分かれる。1つの長い机に3名がけ。荷物を置いてトイレを済ませ戻ってくると、おお、となりは若い女の子。私は机の真ん中だったので、その女の子に声をかけてイスをひいてもらって中に入ると「狭くてイヤですね」と向こうから話しかけてくれた。「ええ、そうですねえ」と、とりあえず相槌をうつが、試験前ということもあり、テキストの最終チェック余念がなさそう。受験票には氏名の他に生年月日と歳も書いてある。隣の女の子の受験票が目に入る。んん、昭和5・・・6、昭和56年生まれ〜、16歳だとお。そういえばこの試験は16歳から受けられるのであった。一回り以上歳がちがうことにショックを受けて我に返り、私もテキストの最終チェックに入る。
9時になると試験官2名がやってきて今日の予定などの説明を始める。試験開始は9時15分だそうだ。
程なく9時15分になり、身体検査と学科試験についての注意事項と説明がなされる。9時半から身体検査で終わったら一時解散、10時15分から学科試験の説明、10時半から学科試験が開始となる。
身体検査は10名1グループで行われ、手首、肘、肩、膝の屈伸などを行う。この結果と予備身体検査証を元に合否を判断するそうだ。ただ、視力等によって甲種合格と乙種合格に分かれるそうだ。基準は裸眼視力で片目0.6以上。甲種合格だと身体検査合格の有効期間が1年だが乙種だと3ヶ月という違いもある。この合否はその場で試験官から言い渡される。見ていると眼鏡をかけている人はみんな乙種合格だ。ということで私も乙種合格となる。しばし休憩。缶コーヒーをすする。満点合格を目標に置いて十分勉強したし、このくらい直前になるともうすることはない。余裕だ。
10時15分になり机に戻る。説明によれば机の両端の人は問題B、真ん中の人はAだそうだ。つまり隣の人とは試験問題が違うわけだ。
10時半、試験官の合図で開始になる。尚、10時50分までの20分間は受験票の写真との本人確認をするため退出は不可能である。
一通り問題を眺める。おお、ほとんどが見たことがある問題ばかりだ。これならいけそうだ。「正しいもの選べ」と「誤りのあるものを選べ」で勘違いしないように慎重に解いていったが、最後まで終えたところで15分程度だった。「運転不自由船の夜間に点灯する灯火はどれか」などの3問ほど答えが怪しい(確信が持てない)ものがあった。最初から見直しをして、再度マークミスなどがないように見直しを行ったところで30分が経過。まず不合格になることはないと確信し、解答用紙を裏返して退出する。まだ5〜6人程度しか退出していないようだ。モノレールに乗ってからテキストで答えに不安があった問題も確認するが、3問とも全て正解だった。おそらく目標の満点は達成できた。マークミスとか、受験番号を書き間違えたりしないかぎりは大丈夫であろうということで、帰りの車中では実技試験の口述問題対策を読む。<学科試験合格発表>
・1月19日
試験結果は試験の翌日に横浜の海洋レジャー普及協会の掲示板に1時半に張り出されるそうだ。これをヤマハの人が控えてきてくれる(と推測される)。講座受講者は申しこんだお店に16〜17時の間に電話すると合否と実技試験の日程を教えてくれる。
ということで会社から16時2分に電話してみる。合否の確認でなく、あくまで「合格」の確認である。 「1月18日の学科試験の結果を知りたいのですが」
「受験番号は何番でしょう?」
「136番です」
「少々お待ち下さい」
「・・・」
「お待たせしました、ジョ○○ウタイスケさん、え〜」
おお、何だすぐ合格と行ってくれよう。と微妙な間にすこし弱気になる。
「おめでとうございます。合格です。実技試験は2月7日の午前です」
「そうですか、分かりました。その日に受験します」
「受験料の振り込みは忘れないで下さいね。がんばって下さい」
「はい、どうも」
ということで無事合格である。早かったら今週末にも実技試験があるのかとおもっていたので、以外に先の日になったことには少し驚いた。実技試験の準備期間は十分あることに少し安堵する。<実技試験対策>
・2月1日〜6日
週末にせまった実技試験対策をする。実技教習の時にもらった口述試験ようのカセットを聞いたり、テキストの実技試験対策のページを読んだりする程度だ。学科試験の繰り返しになる部分も多いため、その部分はおおむね大丈夫。ロープワークや点検箇所を覚えたりすることに注力する。<実技試験>
・2月7日
朝8時半に羽田の試験場に集合である。家からは1時間半以上かかるので6時半過ぎに家を出る。当然ながら寒いが、天気は良さそうだ。試験対策用に釣り用の潮見表を持参、天気予報もチェックする。終日北の風、晴れのようだ。
行きの電車の中でもう一度テキストをチェックする。あとは日の入り時間、満潮、干潮の時間を暗記する。
8時15分に試験会場に到着。単なるマンションの1室だが、ドアを入ると中はかなり広い。既に10名以上の人がいた。 8時半前に出欠の確認(受験票の写真との本人確認)と試験代金の領収証が渡された。
8時40分になり、各試験艇への受験者の割り振りが発表される。試験艇は4艇。1部、2部に分かれ、私は1部だった。2部の人は1部の人が終わるまで1時間ほど教室で待つように言われる。1部でよかった、すぐ帰れるぞ。1部の人は3名で1組、2部の人は2名で1組であった。
9時少し前に桟橋に移動するように言われる。ぞろぞろと桟橋に向かう。受験生はそれぞれ割り振られた試験艇の横に並ぶ。試験官に受験票を渡し、挨拶をする。早速試験開始だ。最初に救命胴衣を付ける。
まず、私はロープワークの試験。「そのてすりを使って。もやい結びをして下さい」
他の2名は船体点検とハンドコンパスの方位測定をしている。
「もやい結び、完了しました」完璧だ。
「ではハンドコンパスで、あの赤白の鉄塔の方位を測定して下さい」
プリズムの角度を整えて測定するが、桟橋が浮き桟橋のため足下が安定しないため、測定しづらい。慎重に、時間をかけて測定し、再度目標物を試験官に確認し、測定する。「288度です」ちょっと不安だなあ。
「あのランプの名称は何ですか」
「両色灯です」よしよし。
「136番の方、乗船してエンジンルームの点検をして下さい」
「エンジンルームの点検をします」これは朝の電車の中でも再チェックしたし、大丈夫だ。
「エンジン取り付けよし、燃料系統よし・・・」と発声するが、他の2名の方位測定やロープワークの試験も並行してやっているためずっと試験官が見ているわけではない。エンジンオイル・・・と思ったとき、そうしてもオイルの量や汚れをみるプローブが見つからない。ずっときょろきょろ探していると「どうしました?」と試験官。
「エンジンオイルの点検をしたいのですが、見る棒はどこにありますか?」
「・・・」試験官は無言である。あせる私。30秒ほど経過。
「その黄色いキャップ・・・」と見かねた試験官が教えてくれた。減点だろうなあ、と最初からちょっとブルー。
「名称を答えて下さい、このケーブルは何ですか」
「スロットルケーブルです」よっしゃあ、完璧。
「では、口頭試問を行います。バッテリーが上がってエンジンがかかりません。それで隣の他のボートを使ってエンジンをかける方法を説明して下さい」
うっ、こんな問題、テキストにないぞ。
「え〜、バッテリーをつないでエンジンをかけます」
「バッテリーをつなぐのですか?」
「ああ、バッテリーをケーブルでプラスから先につないでエンジンをかけます」 「どうやってつなぐのですか?」
おおっ、つめるなあ、この人。
「ブースターケーブルでプラスから先に・・・」
「バッテリーのどこをつなぐのですか?」
ううっ、まだつめるかあ、この人。
「バッテリーターミナルにブースターケーブルをつなげます」
「ターミナルとはどこですか、指をさして下さい」
「ここです」
「はい、結構です」よっしゃ。
「136番の人は運転席に着いて下さい。」
他の2名の試験が続いている。救命装備の点検をすぐ後ろでやっている。
「信号こくえん、よし」
「え、何ですか?もう一度」
「・・・信号こくえん、よし」
おいおい、それは信号紅炎だろう、と突っ込めるわけはない。。。
試験官が助手席に着く。水温系を指して「このメータが異常を示したらどうしますか」
「ドライブユニットの冷却水取入口のつまりを点検します」
「なるほど、では換気してエンジンを始動して下さい。」
「換気してエンジン始動します。」キーをONにして換気スイッチを入れる。
「換気します」5秒ほどおいてキーを回す。どるるる、とエンジンがかかる。
「エンジン始動しました」「はい、結構です。では船首側を解らんして下さい」
一度下船してロープをほどき、船体に格納する。
他の受験生が同じような口述試験を受けている。助手席からのスロットルとハンドル操作で一度離岸する。まず離岸・着岸の試験をするそうだ。
「まず、繰船の前にハンドルとリモコンレバーの確認する時間を与えます。これは採点の対象外です。」
最初の人は着岸の時に船体をタイヤの緩衝剤がついた桟橋にぶつけてしまった。
さて、2番手は私。ハンドルとレバーの感触を確かめる。どうやらパワーステアリングのようでちょっと力を加えただけで舵がきいてしまう。クラッチのつなぎも良くない。
「左舷着岸して下さい」
「左舷着岸します。発信します。前後左右、よし。微速で前進します」
しかし、進入角度が浅すぎたのと風向きのせいか船は桟橋の方に思ったよりも流されてしまい、船尾を桟橋にずりずりっとぶつけてしまった。それでも
「着岸、終わりました」と叫ぶ。
「後進離岸して下さい」これはうまくいった。ここで運転手交代。最後の人は着岸はうまくいっていた。そりゃあ、2人の動作をみていればそうだわな。
運転手を交代し沖合に走り、最初の人の繰船の試験になる。試験場所につくまでの間に私の船内での口頭試問が始まった。 デバイダを渡され「この海図のこの灯台とこの灯台の距離を測定して下さい。」
「12海里です」簡単簡単。
「この天気図の、ここの等圧線のところの気圧は何ヘクトパスカルですか?」
うっ、等圧線の問題もテキストにはなかったぞお。ええとすぐとなりの等圧線が996ってかいてある。「せんへく・・・っと・・・」
よく見ると996の線より低気圧の中心寄りの等圧線だ。等圧線は4ヘクトパスカル毎だから「992ヘクトパスカルです」ちょっと不安だ。
緑の浮標の写真を指して「この標識は入港するときはどちら側に見て航行しますか」
「入港時は左舷側に見て航行します」よしよし。
繰船試験の合間に口頭試問があるようで、しばらくしてまた質問が始まった。
「前方から本船を同じようなモーターボートが接近してきました。このままでは衝突してしまいそうです。どのように繰船しますか」
「舵を右に切り、短音1回を鳴らし、相手を左舷に見て行き会います」完璧やあ。
「黒球2個を掲げている船はどのような船ですか」
「運転不自由船です」間違いなしや。
「港内ではどのような場所にしだりに係留してはいけませんか」
「他の船舶や係船ブイです」大丈夫かな?
「エンジンオイルの交換は何を目安にしますか」
「オイルの粘度や色を目安にしますが、100時間または6ヶ月が目安になります」
「劣化するとオイルの色はどうなりますか」
「黒ずんできます」
「なるほど。これで口頭試問を終わります」ほっ、だいたい大丈夫だろう。
ほとんどの口頭試問はテキストに載っている問題ばかり。試験官も問題集を見て言うわけではなさそうなので、そんなに多くの問題は覚えられないだろうなあ。
1人目の繰船試験が終了し、私の番に。
「あそこにブイが見えるから、最初に蛇行をやりましょう」
げっ、いきなり蛇行か。
「滑走状態まで増速してから蛇行して下さい」
「はい、発進します。前後座右よし、前進」
徐々に増速してエンジン回転数を3000程度にする
「滑走状態、完了しました。第一ブイを右に見て蛇行します」
船首目標を定めてから蛇行に入る。舵を左に切る。ちょっと舵を切るのが早すぎたか。第二ブイを通過する。ちょっと離れすぎたかな。第三ブイを通過。船首目標に船首を合わせてから「蛇行、完了しました」。まあまあだろう。
「ひだりきゅうじゅうどお、へんし〜ん」と試験官が叫ぶ。
「左90度変針します、左、後方、よし」ぐいいんと左に舵を切る。
「変針完了しました」
「みぎひゃくはちじゅうどお、へんし〜ん」
「右180度変身します、右、後方、よし」
という感じで4〜5回、変針の繰船を行った。まあ問題ないであろう。
「左舷、らくす〜い」落水者救助の試験だ。
「左舷落水、エンジン中立」と同時に舵を左に思いっきり切る。
「落水者確認、救命ブイ投下、風下より救助に向かいます」
微速で落水者に見立てたブイの風下に船を回して接近する。
「救助準備願います」後ろの受験者に声をかける。ブイまで10mくらいのところで 「エンジン中立」ブイまで1mのところで「エンジン停止」と叫ぶ。
ブイは右舷の船尾に流れていき、無事引き上げられた。
「救助、完了しました」よし、大丈夫だ。
「では、後進して下さい。目標はあの建物・・・」
「後進します、前後、左右よし、発進します」
「ちゃんと右も見て下さいよ」と突然試験官が言うではないか。
うう、確かに厚手のジャンバーとライフジャケットのおかげで首が簡単には回らずあまり右側は見ていなかったような。。。ちょっと動揺。
何とか後進を続ける。「はい、結構です。エンジン中立にして下さい」
「微速で前進して下さい」
「微速で前進します。前後左右、よし」 「ちゃんと確認して下さいね。」ううまだ言うか。ちゃんと見ているつもりなのに。
「はい、前後左右よし」今度はちょっと大げさに首を振って確認する。
この後は滑走状態で目標物を変えて変針しする繰船を2〜3回繰り返す。
「減速してエンジン中立して下さい」
「減速します・・・・・・・エンジン中立」徐々にエンジン回転数を落とし中立に。
「では交代して下さい」
繰船試験は終了した。ほっと一息。
次の人は蛇行の時にエンジン回転数を落としてしまい滑走状態でなくなったが
「回転数落とさないで、滑走状態が条件ですよ」と試験官が言ってくれていた。
1時間ちょっとで3名の繰船試験が終了した。帰路で最後の1名の口頭試問も終了した。
助手席からの試験官の繰船で桟橋に着岸する。そこで私以外の2名に船首と船尾のロープで船体を係留するように指示が出た。
「自分の良いと思ったやり方で係留して下さい」
船尾を係留していた人はこの言葉でパニックに陥ったようでおかしな結び方をしてしまい、試験官に「それは何という結び方ですか?」
「もやい結びです」
試験官は「もやい結びにはほど遠いですね」と笑っていた。一緒にニヤニヤしていると
「では136番の方、船尾のロープをほどいて係留して下さい」
おおっ、試験は終わったのではなかったのね。ちょっと不意をつかれる。
ロープが太くてちょっと難儀したがなんとか「巻き結び」を完了した。
「係留、完了しました。」
これで本当に全て終了だった。
「では、これで全て終了です。順次解散して下さい。お疲れさまでした」
「お疲れさまでした」
と挨拶をして桟橋を後にした。一緒だった受験生と教室に向かう。結構きつかったですね、とか、失敗だったと思われる点を反省し合ったりした。
時間は10時15分。試験のプレッシャーから解放され、やるだけのことはやったが、完璧な結果で合格しようと思ったのでちょっと不本意だった。
合格発表は2月12日だ。発表までは5日間。長いような短いような、でも早く結果は知りたいものだ。
ちらっと見える採点シートのようなものは学科試験のものと同じようなマークシートの用紙だった。なんとなくではあるが、一つの問題やチェックポイント(着岸や蛇行など)について5段階程度で採点するようになっているように見えた。
口述試験150点、繰船150点で合計で210点以上で合格である。口述は悪くとも85%は出来たであろうから、繰船で80点くらい取れれば大丈夫ということになり、これなら多分合格だろう。しかしやはり不安だ。。。<合格発表>
・2月12日
午後4時、既に合格は発表されているはずなので、ヤマハ東京に電話する。
「え〜、2月7日の4級船舶の実技試験の結果なんですが・・・」
「試験地と受験番号は?」
「東京の136番です」
「少々お待ち下さい」
「・・・」
「お待たせしました、上○○介さんですね。おめでとうございます、合格です」
よっしゃあ、と顔がにやけるが、会社から電話しているのであくまでポーカーフェース。この後免許取得の諸手続に3週間かかるそうだ。<免許受け取り>
・3月2日
ヤマハ東京から会社に電話が入る。席をはずしていたので念のため折り返し電話してみる。手続き上の不備がみつかったとか、万が一「実は不合格でした」という知らせだったらどうしよう、などと余計な心配が頭をよぎる。
「先ほど電話もらった上甲ですが」
「はい、免許が出来上がりましたので取りに来て頂きたいのですが」
「郵送などは出来ないのでしょうか」
「印鑑もお預かりしていますので、取りに来て頂きたいのですが」
「分かりました」
うれしいので翌日の午前中一番で取りに行く。
カウンターで免許の記載ないようなどを確認する。ビデオレンタルの会員証のようなちゃちな感じのカードだ。免許証記載の名前は自筆のためあまり美しくない。もっと丁寧に書いておけば良かった。
確認後、免許ケースなどをもらって会社に向かう。
足掛け3ヶ月ちょっとの免許取得活動であった。