市民の声・江東の中村まさ子です。
質問の前に一言申し上げます。来年度より江東区も、非婚のひとり親に寡婦(夫)控除のみなし適用が行われることになりました。できればもっと早く導入してい ただきたかったと思いますが、こどもの貧困対策として一歩前進したことは評価したいと思います。当事者に情報がきちんと届くよう、周知の徹底をお願いして質問 に入ります。
まず、江東区の教育について質問いたします。
学校図書館についてです。
10月、文部科学省が行った学校図書館の現状に関する調査の結果が発表されました。これを見ると、学校図書館のあり方に自治体によって大きな差があることが
わかります。
数年前、都内自治体の学校図書館の蔵書数について、江東区が最下位に近いということが新聞報道されました。それを受けて江東区が図書購入費を増額し、司書の
配置にも取り組んだことは評価したいと思います。しかし、今回の調査結果を見ると、まだ十分とは言えません。
学校図書館の機能、役割については、児童・生徒の読書センター及び学習・情報センター、教員のサポート機能、こどもたちへの居場所の提供、家庭・地域におけ
る読書活動の支援が挙げられています。江東区の学校図書館はこれらの役割を果たし得ているのでしょうか。
次期学習指導要領では、知識、技能の習得に加えて、思考力、判断力、表現力などの育成がさらに重要であるとしています。それらの育成のために読書は欠かせな
いものであり、学校図書館にその役割が期待されています。また、ゲームやインターネットとは違う楽しみ、喜びをぜひ覚えてほしいと思います。
2012年度から実施されている「学校図書館図書整備5か年計画」は今年度で終了となります。この計画には地方財政措置がされていました。これは、学校図書
館図書標準を達成するために単年度で200億円、新聞1紙を配備するために15億円の措置を講じるものです。また、学校司書の配置に150億円などの措置も講
じられます。学校司書の経費は2校に1名、週30時間勤務として計算されています。23区は地方交付税不交付団体ですが、この5カ年計画に示された学校図書館
の整備基準を、23区でも達成するべきではないでしょうか。
まず、学校図書館図書標準を達成している学校の割合ですが、文部科学省の調査によれば、江東区立の小学校では62%、中学校では22%しかありません。特に
中学校では、全国平均56%に比べて大きな隔たりがあります。一層の充実が必要と思いますが、区の認識を伺います。また、新聞の配備の割合はどれくらいでしょ
うか。
学校司書については、長年配置を求めてきましたが、2011年度から小学校全44校に週1日6時間、大規模校には週2日、司書または司書教諭の資格を持つ専
任の学校司書を配置するようになりました。学校司書導入の意義と効果を伺います。
一方、中学校へはまだ司書の配置はされていません。小学校で読書の楽しみや習慣、情報収集の方法を身につけたこどもたちが、中学校でも引き続き学校図書館が
行きたい場所になるよう、司書の配置をすべきと考えます。
ことし学校図書館を考える全国連絡会が行った、東京都公立小・中学校の学校司書配置状況調査があります。それによれば、都内で中学校に司書を配置していない
ところは江戸川区と江東区だけです。小学校への司書配置の増強と中学校への配置について、区の認識を伺います。
現在、江東きっずクラブA登録では、学校図書館を利用している学校が多くあります。江東きっずクラブのこどもたちの居場所として適切なのか、学校図書館が十
分な役割が果たせるのか、再考が必要ではないでしょうか。
また、昨年度から改正学校図書館法が施行され、学校司書が法律上に位置づけられました。学校司書を置くこと、学校司書の資質向上のための研修の実施が、国と
自治体の努力義務となっています。ところが江東区は、司書の業務を業者に委託しており、学校図書館を考える全国連絡会のアンケートに、司書の研修や報酬、再任
用可能年数、有給休暇、社会保険などについて、「業者委託のため不明」と回答しています。
ツイッターで「図書館やめたの私だ」というハッシュタグのついた投稿がたくさん集まっています。大阪で小学校図書館の司書をしているという投稿者は、契約・
派遣社員として図書館を転々とし、前に勤めていた学校図書館の手取りの給料は月10万円余だけだったといいます。しかも交通費の支給もなく、研修も自腹で参加
するということです。こうした実態について、「働きたくて意欲のある人たちが去っていく業界に見える」と嘆いています。
荒川区では、全小中学校に非常勤職員として司書を配置し、貸し出し件数の大幅増やレファレンスサービスの向上に大きな成果を上げています。
江東区は、こどもたちの主体的な学びと豊かで自由な読書を保障する責任があります。司書という専門職を外部委託するのではなく、専任で正規の教育職員として
配置することを求めます。
次に、学校給食について伺います。
昨年度の江東区における給食費の収入額は、小学校で12億5,600万円、中学校で5億6,000万円という資料をいただきました。未納率は、小学校は
0.04%、中学校は0.06%で、全国平均の0.9%に比べると随分低い数字になっています。
給食費の未納について、文部科学省の2012年度の調査では、その理由として、「保護者としての責任感や規範意識の問題」が61%、「保護者の経済的な問
題」が34%とされ、モラルの崩壊だと大々的に報じられました。しかし、これは学校側が回答した結果であり、神奈川県海老名市の未納家庭への聞き取り調査で
は、支払いがおくれている7割が、給料日まで手持ちがないという理由でした。中にはお金があるのに払わない方もいるでしょうが、この場合は一種の養育放棄な
ど、こどもの育つ環境として不適切である可能性があります。未納問題は家庭が抱える深刻な問題のシグナルとして捉え、こどもの最善の利益を損なわないための取
り組みが必要です。
全国では45の自治体が給食費の無償化を実施しているそうです。また、半額を補助している自治体もあります。滞納の責任をこどもに負わせることのないよう、
給食費の公費負担も今後の課題ではないでしょうか、伺います。
江東区は給食費未納について、その理由をどう捉えていますか。また、未納世帯への対応はどのようにしていますか、お伺いします。
江東区の給食費は私会計です。保護者が払っている給食費は、校長名義の口座で管理され、教育委員会は全くタッチしないということです。
私会計については、幾つか問題点が指摘されています。小規模校でも1校1,000万円以上、大規模校だと5,000万円にも上る金額を、会計法規によらない
私会計で扱うことは、会計の透明性の観点からも問題があるのではないでしょうか。
また、給食費の徴収管理が、ただでさえ忙しい教職員の負担になります。未納が表面化しないよう、教職員や他の私費からの立てかえで補填することもあります。
給食費を教育委員会で管理する公会計化について検討することを求めたいと思いますが、区の認識を伺います。
最後に、災害時の学校給食の活用について伺います。
災害が起きたとき、学校が避難所になることが多々あります。そこで、学校給食施設を地域防災計画に位置づけ、避難者への食事提供を可能にすることについて検
討すべきと考えますが、区の認識を伺います。
次に、生活困窮者への支援策について質問いたします。
昨年4月から生活困窮者自立支援制度がスタートしています。ふえ続ける生活保護受給に歯どめをかけるため、生活保護の手前で自立に向けて支援を行う第2の
セーフティーネットとして創設されました。しかし、全国での昨年度の相談件数は、当初の目安の7割にとどまっていると報道されました。
江東区では昨年度、必須事業の自立相談支援事業では786名の相談を受け付け、就労による自立が51件、生活保護受給が34件、同じく必須事業の住居確保給
付金事業では46名に支給し、就職者25名となっています。
住居確保給付金事業は、2009年度から実施された臨時の住宅支援給付事業を継続して事業化したものですが、利用は離職によって住まいを失った方に限定され
ています。住宅手当と比べて新制度の事業の利用者は増加したのでしょうか。
これら必須事業の評価と課題、そして制度の目的である生活保護受給の増加に歯どめをかけることができたのか、伺います。
自治体の任意事業となっている就労準備支援事業、一時生活支援事業、いわゆるホームレス支援事業について、この制度になってからの実績はどのように評価して
いますか。
また、学習支援事業は今年度から2カ所体制になりましたが、その実績を伺うこととあわせて、今後の取り組みのさらなる展開を求めます。
江東区では、任意事業である家計相談支援事業は実施していません。これは、失業や債務問題を抱える生活困窮者に対して、家計管理に関する相談支援を行う取り
組みです。
生活困窮者対策やホームレス問題に先進的な取り組みを行ってきた福岡県にお話を聞きました。その担当者は、「家計相談なしに自立相談はない」と話され、実務
経験のある家計相談員による相談支援でアセスメントの精度が格段によくなり、自立支援に成果を上げているそうです。また、23区中16区が家計相談を実施して
いるそうです。江東区でも家計相談に取り組むことが必要ではないでしょうか、伺います。
次に、生活保護について伺います。
江東区の生活保護におけるケースワーカー1人当たりの担当件数は、特別区協議会の統計によれば、昨年度は111件と23区で最多です。過去に国の監査が入
り、ケースワーカーの担当件数が多過ぎて不適切だという指摘を受けたことがありましたが、改善されたのでしょうか。
基準の80件と比べるとまだまだ多く、きめ細やかな訪問や十分なケースワークができているのか懸念されます。新卒ではなく、他の職場で経験を積んだ職員を
ケースワーカーに配置し増員をすべきと考えますが、区の見解を伺います。
2013年度から、最大10%、平均約6.5%の生活保護基準の引き下げが行われてきました。生活扶助基準、そして昨年は住宅扶助基準と冬季加算など、不当
な引き下げが強行され、全国で900名を超える原告が国を相手に違憲裁判を起こしています。さらに、来年度からは母子加算の再度の廃止が懸念される議論がされ
ています。
ナショナルミニマムである生活保護基準が安易に引き下げられれば、最低賃金や住民税非課税、国民健康保険料、介護保険料、保育料、就学援助費など、さまざま
な基準に影響が及び、生活に重大な影響を与えます。江東区の生活保護受給者の声はどのようなものがあったのでしょうか。
最後に、生活保護の窓口について質問します。
9月のある日、保護第一課の窓口で、包丁を持った区民が大声を出しているとのことで、警察官がフロアを規制しているところに出会いました。その前後に、保護
課で職員が暴力を受けるなどのトラブルが3日続いたということです。
保護課の窓口はオープンカウンターではなく、中が見えない壁ができています。小さな出窓のような受付だけで、まるで相談に来た方を拒絶しているような閉鎖的
な印象を与えています。私もその場所に行くと圧迫感を感じます。それがトラブルを招く理由の一つになっているのではないでしょうか。なぜオープンカウンターで
はないのか、何のための壁なのか、また、他区でも同様の窓口になっているのか、お伺いいたします。
保護課には、生活困窮で相談に来た方に寄り添った対応をしていただくことを切に求めて、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
御清聴ありがとうございました。
※区側の答弁は、「江
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2016-11-30 平成28年第4回定例会(第13号) 本文」をご覧ください。