遺伝子とかHLAとか

#素人が本を読みあさって書いているので、間違いがあったら教えてください。

HLAに関するより専門的な解説は日本組織適合性学会 の解説にお任せします。

 ちなみに、HLAとは Human Leukocyte Antigen の略です。日本語に直訳すると「ヒト 白血球 抗原」ということになります。ヒトの主要組織適合遺伝子複合体(MHC)を規定する遺伝子であって、これらの遺伝子はHLA遺伝子群として、第6染色体の短腕上の6p21,3の4,000kbを占めるHLA遺伝子領域に存在しているんだそうです。

↑難しいので自力で解説するのはあきらめました。

ちょっと脱線


と言うわけで、HLAは組織適合性抗原とも言われ、白血球の抗原性を示します。赤血球に比べてはるかに複雑で、個人個人でかなり異なるものです。HLAの型が違う人から臓器の移植を受ければ、強い拒絶反応が起きてしまいます。

  遺伝子は数百年、数千年という長い経過で少しづつ変化します。遠い過去で袂を分かった集団では変化の度合いが強くなります。逆に、近い間柄なら差異は小さいのです。HLA遺伝子における遺伝子の変化の頻度をもとに、遺伝距離というものを計算すると、集団がいつ分かれたかが推測できます。

こうした方法で行われた研究によれば、現代人の共通の祖先をたどっていくと、はるかに遠く、500万年前から3,000万年前にもさかのぼります。つまり、ヒトがチンパンジー、あるいはゴリラを分かれたよりもはるか昔の、旧世界ザルと分かれた頃の年代になってしまいます。となれば、現代人の祖先はサルに似た霊長類であったのでしょうか?このように、研究対象とする遺伝子によって、推定年代が違ってしまいます。新種の形成は、集団の人口を維持しながら、少しづつ新しい血を持つ集団へと移行していったに違い無いでしょう。国立遺伝学研究所の宝来博士らは、ミトコンドリアDNAの塩基配列をヒトと類人猿の間で比較しました。そして、塩基置換率から、進化の過程を次のように推測しています。

 ヒトにもっとも近いのはチンパンジーで、およそ490万年前頃に分かれました。ゴリラはさらに古く、660万年前にヒトの祖先とは袂を分かっています。オランウータンともなると、はるか1,300万年前に分かれたことがわかっています。最初の人類の化石はエチオピアで発見された440万年前のラミダス猿人です。その後東アフリカで350万年前のアファール猿人(アウストラロピテクス・アファレンシス)の化石が発見されました。そして、約160万年前にホモ・エレクトゥスと呼ばれる原人が登場しました。

  ここまでは主にアフリカで見られた人類でした。その後、ホモ・エレクトゥスの系統はアフリカから世界に飛び立つことになります。アジアでは北京原人(シナントロプス・ペキネンシス)、ジャワ原人(ピテカントロプス・エレクトゥス)が発見されています。ヨーロッパではホモ・エレクトゥスの末裔と見られている旧人のネアンデルタール人(ホモ・サピエンス・ネアンデルタレンシス)が現れました。そして、現在の世界に住む現代人は新人といわれるホモ・サピエンス・サピエンスであります。

 現代人の起源をめぐっては大きく二つの仮説があります。ひとつは、アフリカに出現した新人が世界に移り住んだという説で、アフリカ単一起源説と呼ばれます。もうひとつは、旧人のホモ・エレクトゥスがアフリカを出て世界各地に移り住み、旧人を経て新人に進化した、という説で多地域並行進化説といいます。

 1997年、ドイツのミュンヘン大学とアメリカのペンシルバニア大学のグループは、現代人とネアンデルタール人、そしてチンパンジーのミトコンドリアDNAの塩基配列を解析して比較しました。その結果、ネアンデルタール人のDNA塩基配列は、現代人とチンパンジーのちょうど中間にあることがわかりました。つまり、ネアンデルタール人は現代人の中には生きていないことがわかったのです。現代のヨーロッパ人のからだにはネアンデルタール人の血は流れていないのです。ネアンデルタール人は20数万年前にヨーロッパに現れて、3万年前に忽然と姿を消してしまったのです。つまり、ネアンデルタール人は100万年前に新人に行き着くコースとは別のコースをたどったのです。このことから、現代人に至る進化はアフリカに起源を発する新人が世界に移り住んだと考えられています。これがアフリカ単一起源説です。

 それでは、私たち日本人のルーツはどこにあるのでしょう?縄文時代人と弥生時代人との関係から、現代日本人の機嫌については3つの説があります。第一は、現代日本人は、縄文時代人と弥生時代人の混血によって出来た、という混血説。第二に、縄文時代人が少しづつ変化した、という転換説で、弥生時代以来の渡来人たちは、日本の文化の形成に寄与したが、遺伝的には役割を果たさなかったという説。そして第三が、先住の縄文人は渡来した集団に完全に置き換えられたという置換説です。では、遺伝子から見た現代日本人の起源はどうなのでしょう?

 前述した宝来博士らのミトコンドリアDNAの研究を見ると、単一の祖先からまずアフリカ人が分かれ、次いでヨーロッパ人、アメリカ先住民へと分かれ、最後に東アジア人が分かれたことになっています。そして、日本の先住民の子孫と考えられるアイヌがまず分かれ、次いで中国人、琉球人と分かれました。最後に韓国人と本土日本人になります。(下記にこれらの関係を図示しましたが、環境によっては体裁が崩れて見えるかと思いますが、ご容赦を)

 ┌───────────────────── アフリカ人

 ┤ ┌─────────────────── ヨーロッパ人

 └─┤ ┌───────────────── アメリカ先住民

   └─┤ ┌─────────────── アイヌ

     └─┤ ┌───────────── 中国人

       └─┤ ┌─────────── 琉球人

         └─┤ ┌───────── 韓国人

           └─┤

             └───────── 日本人

図)ミトコンドリアDNA塩基配列の多様性からみた日本人の位置づけ(宝来聡「DNA人類進化学」1997より改変)

  アイヌと琉球人はいずれも縄文人の子孫と考えられています。しかし、弥生期の移住が始まった頃には、別々の集団として生活していたと考えられます。そして、、本土日本人は、縄文時代人の遺伝子は残すものの、弥生時代以後にアジア大陸からの渡来人の遺伝の影響が強いことがわかり、混血説が有力とされています。 戻る