ある意味着物よりも主役。
昔風の丈長の羽織をもとめて気がついたら、集まって
いました。袖丈が全部バラバラ(笑)。
今と違って、袖が長いというのはごく普通の
ことであったようです。
未婚も既婚も。
骨董市で購入の羽織・その1。
露店で買うのは色は太陽の下で見られても、
ゆっくり染みやほつれを探せないんで、やらない
つもりだったんですが。
長い丈、裏地の紅絹にやられました(笑)。古い
着物はときどき裏に紅絹が張ってありますが、
この赤を見るとアドレナリン大噴出(笑)という
方は他にも多いようです。弱いんですけどね…。
薄ーい絹なので。
大分くたって、しわしわで着物の山から引っぱ
り出した時は大丈夫だろうか、と危ぶんだ(笑)。
はたしてこんなにヘタレてて、お外で着られるの
でありましょうか。
問題ありませんでした。着ちまえばオッケー。
「祖母の箪笥を整理していたらこんなものが出て
来ましたのホホホ」といった顔が出来ます。実際
玄人には受けがいい。
丈は膝下を越す尋常じゃない長さ。袖も二尺は
たっぷりあります。日の下で見ると、これよりも
もうすこし紫に近いんですが…地色が濃いので、
褪色を救ってくれていて、気になる袖山もそう
ひどくない。
梅柄の半襟があるので、これと合わせて、小物に
松を持ってくりゃ「松竹梅」だなこりゃ。とたくらみ
進行中。
骨董市で買った羽織・その2。
最初はこっち、一万円の値札がついていました。
状態も大変大変よろしく思われた。高嶺の花の
お嬢さんが零落して、吉原の格子の中に出てい
るのを見た、って感じですね(笑)。すごく柔らかい
するすると頼りなげな滑らかさで。裏地は唐子。
…しかしこれも、落ちてくるだけのことはありまし
て(笑)襟の折り返しをめくったら、濃い浅葱色だっ
た。全面に褪色してたんです。

しかし本来手の届かないお嬢さんだし…着てし
まえば、わからない、ということでこれまでやって
きたんだし。上と2枚で、買うからといって交渉し
ました。交渉は寒い日に限ります。総額六千円。
どんな普段着も、おそらく1発で時代風にしてし
まういまのところ最強アイテム。褪色も、着ている
分には勘弁してもらって上と同じく、玄人には凄く
受けがいいです。骨董市へ着て行くと「どこで探
してきたの」「ちょっと見せてもらっていい?」と
必ず聞かれる。そして模様をチェックされる(笑)。
向こうも、何が受けるか、どういう傾向のニーズが
あるのか必死なんだろうなあ。例えばどんなのが
欲しい?って聞いているのを見かけます。最近
着物の出店が増えてきましたね。
この羽織は、紫の矢がすりに合わせます。パンチ
がありすぎて、すぐにはそれしか思いつきませ
ん。あるいは新しい方の白地の縞か…。
難しい一枚。袖丈も振袖だし(泣)。
これはデパートに入っているチェーンの古着
屋「たんす屋」で買ったもの。新中古が主で
すが、ときどきアンティーク物も出るので覗い
ています。品は玉石混交、しかし状態はいい。
価格設定も申し分なし。
なにより東武の呉服売り場の手柄なのか、
店員の態度が涙の出るようです(笑)。初心
者でおどおどしがちな人、ここで基本を揃え

るべきだな。親身に、しかも熱情をもって(笑)
対応してもらえると思います。
私が呉服売り場のほうで、帯に合わせる
帯締めと帯揚げを、帯を持っていって予算を
伝えて頼むと、ひまだった店員がどっとたか
って「ああでもない、こうでもない」とたちまち
そこにはあの「楽しいお買い物」的な興奮と
さざめきと、容赦ないダメ出しのパンチが(笑)
友人と買い物しているみたいでした。なにし
ろ予算外のものは買わせてくれないんです
から。
この羽織は新中古扱いで、ながいことワゴンに
ぶらさがって3000円でした。ピンクだし、私の
守備範囲外だし、ある銘仙の長着を買うまでは
目もくれませんでした。
それはクリーム地に黒の縞…ところどころ、ピン
クの斑っぽい染めが、この羽織を思いつかせたん
ですが、よく見てみると綸子の総絞りで、星型も
かわいいし、丈も他のには及ばないけど、一般
よりは長めだし。
しつけ糸がかかったまんまの、新品でした。
着物に持つ袋物、アンティーク趣味で選ぶ
と手痛い値段のものばかりで(笑)自作をす
ることにしました。
昨今はちりめん端切れの値段も上がってい
ますから、これがまたバカにならないんです
が。ミシンもないので、いちいち手縫いです。
この型のつぎはがま口バッグに挑戦したい
…。今は色んな製作書が出てますよね。
このバッグの端切れは半襟にしようと思っ
て買ったもの。大柄で半襟には向かないの
で、思いきってやってみましたが、案外洋服
にも合うものができた…バイトへ行くときも、
Gジャンにこれで。かえっていいのかも知れ
ませんね。
しかし原材料費は恐ろしくて言えません。
まったく、着物の時は一枚で3000円もしな
いくせに、端切れになると友禅なら30センチ
四方で約4000円〜ですからね。ぼろい商
売だぜまったく。
アンティーク風に仕上げたちりめん地、という
のをメーカーで最近は出していて、私も半襟と
替え袖はそれで作ってるんですが、がんばっ
て商品展開を広げて欲しいものです。この間、
私の半襟と同じ柄のちりめんスカートの女性
を見かけて、笑った…なるほどね。
置いてあるロザリオはやはり古いもの。セータ
ーの胸に懸けるのが好きでしたが、着物の時
に懸けたら切支丹趣味みたいでかわいくない
ですか。…って不謹慎ですか(笑)。
一番最初に買った羽織。目黒のさる有名どこ
ろへ、銘仙の長着を持っていって「これにあう
色と袖丈のものを」と頼みました。
出てきた中で、一番値段も安く、染みもなく、
紫だから使いやすいだろうというわけで。しぼ
がいいかげん平らに伸びて、くたってるんです
がアンティークにありがちなくすみはない。唯一
「煮しめたようでない」羽織です(笑)。
その目黒の有名どころ、価格はまあ品がいい
から高いとは申せませんですし…別に対応も
悪くないんですが、どちらかというと年齢層が
上の、(生活レベルも上の)お茶やお花系マダ
ム向き、って感じですね。今考えると。
趣味も上品で…あまり遊びの方にかぶいてな
い。アンティーク着物はありますが、つまり浪漫
色全開ではないってことです。世間ではそれを
シック、と申すのですがね(笑)。
私はもう少し気楽に、遊んで、わがまま勝手に
着物を着たい。着物を着ることで、「ご趣味がい
い」なんていわれたくないです。
芝居がかった、けれん味たっぷりの格好でいた
い。だってただの玩具なんですから。
とりあえずこの羽織には目立つ傷がないので、
袖丈も長いし、重宝しました。ほんと、羽織と長
着の袖丈あわせは苦労です。
下田の骨董屋で買った、1000円の羽織。
もう畳んですらなくて、ぐちゃぐちゃ山積みに
なっているのを引っぱりだし、例によって袖丈
と裾の長さに惚れて購入。
暗い店内で、こんな値段で買えばそれは先ゆ
きバラすしかない着物なんだ、どっかにキズが
あるからなんだ、とは分かってます。逆に綺麗
でも今風でしかないもの、羽織で言えば丈の
短い、腰の下ぐらいまでしかないものは買い

ません。長羽織命。
今は復古調がはやって、デパートの呉服売り
場にも膝下までの長羽織をよく見ますが…よく
研鑚しているなあと感嘆しますが(笑)。難はどう
にも新しすぎることなのでして。
色柄は申し分なくアンティーク趣味だが…もっと
こう、窓辺に三年ぐらい吊るしておくとか(笑)。
古色、要するに時そのものの色が好きなんですから、事実過ぎ去ったということが。新しくって綺麗なものは、むしろ邪魔っけでしかないのです。
それはむしろ畏怖を誘う嫌悪です…結局は、
古いものと新しいものは、古いものがくすんで、
新しい方のピカピカ加減が浮わついて見える
ばかりで、合いっこないと私は思う。
服と小物であってしても、だから帯締めなんかも、
「アンティークを着るなら小物はせめて新しく、清
潔感がちがいます」なんぞとものの本には書か
れているが、私は信じませんね。足袋が黄ばんで
ちゃ困るけど。たしかに。
それにしてもこの羽織、本当にシワシワ(笑)。
かなり難しい羽織・その2。
いわゆるペルシア調というのか(笑)模様が
はっきりくっきりブルーで入って、その下の
ペイズリーっぽい唐草はなんと薄グリーンで
す。合わせるものといっては一枚きりありま
せん。暗緑色と桜色の矢羽根の銘仙。
それに合わせて買ったんだから、当然の帰
結ですが…しかしこの鮮やかさを何としよう。
テラテラしてるか、縮緬だったらあつかい様


もありましたが、これは艶消しなんですね…
いわゆるモスリンみたいな布地。それで絹な
ので、絹モスリン…?くたってないし、羽裏を
見るにそれほど古いものじゃなさそうです。
もしかしたら今出来の復刻羽織かも。そう思
わせるぐらい状態は良く、かつ紐も痛んでい
ず、なんともペカッとしてるのです…(笑)。
褪せた物だったらなあ、なんとかこなして見
せるけどなあ。
これは唐渡りのびろうどを帯にするような
心持ちで、南蛮かぶれか蘭癖か、何にし
ろ金のある、ちょっと尖った商人の一人娘、
あるいは明治になって出来たいわゆる唐
物屋、そのあまり評判のよろしくない娘、
派手で気散じで、お稽古先のものがたい
家風の朋輩からは浮いている、しかし世間
知らず、といったところでしょうか。