あらすじ
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夏休みのある日、ハリーは13歳の誕生日を迎える。あいかわらずハリーを無視するダーズリー一家。さらに悪いことに、おじさんの妹、恐怖のマージおばさんが泊まりに来た。耐えかねて家出をするハリーに、恐ろしい事件がふりかかる。脱獄不可能のアズカバンから脱走した囚人がハリーの命を狙っているという。新任のルーピン先生を迎えたホグワーツ校でハリーは魔法使いとしても、人間としてもひとまわりたくましく成長する。さて、今回のヴォルデモートとの対決は?
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今回も魅力的なキャラクターが登場する。また、魔法学校の授業風景も楽しく、魔法使いになるにはこんな勉強も必要なんだな、なんて変なところで感心したりして。
物語は、これまでの通例として、夏休み中の、マグル(一般の人間)であるダーズリー一家での休暇から幕が開く。相変わらず魔法使いであるハリーを煙たがるダーズリー一家。そこに、おじさんの妹が泊まりに来ることになったからさあ大変。このおばさんがまた一筋縄でいかない。頑迷なおじさんに輪をかけてハリーをいじめる。ついにキレたハリーは、この家を飛び出してしまうのだが、この後の巻でこの一家(あるいはそれを含むマグル)との絡みはどう展開していくのだろうか? 何か意味のある伏線なのだろうか? それとも、単なる冒頭の風物詩で終始するのだろうか? ちょっと気になる部分ではある。
さて、ハリーは無事夏休みを終え、ホグワーツへ戻ってくる。今度は3年生だ。新しい教科も増え、また新任の教師も赴任して、魔法学校の生活が始まる。今回の事件は、アズカバンという刑務所から脱出したシリウス・ブラックが、ハリーの命を狙ってホグワーツに潜入するのではないか、という噂から、さまざまな憶測が飛び、謎が展開する。
そんな中、ハリーの友達である、ロンとハーマイオニーがちょっとした喧嘩をする場面がある。飼っているペットに関してのいざこざだが、この辺の話はちょっと不自然さが目立ってイライラさせられた。このロンとハーマイオニー、確かにハリーの親友なのだが、これからどのような形で彼らの友情が発展していくのだろうか?
また、恒例の行事、クィディッチと呼ばれるスポーツ大会も物語に楽しみを広げる。今回ハリーは新しい箒を誰かからプレゼントされるのだが、この箒のおかげでクィディッチでも大活躍。この箒をプレゼントしたのは誰か、最後の方で明らかになるのだが、そのいきさつもまた楽しい。
新しい動物や魔法もふんだんに登場し、魔法世界の広がりはとどまるところを知らない。これだけの小物を配し、しかもどれも何かしらストーリーに関係があるというのはすごいことだ。作者の想像力と巧みなストーリーテリングに改めて驚かされた一冊だった。
後半の謎解きの場面は、正直言ってちょっと退屈だったけど、それ以外はスリルに富んだ展開で、まったく飽きさせない。いくつかの謎は解決したが、まだまだ端緒に達したばかりという印象で、これからの展開がさらに楽しみ。ハリーもだいぶ成長し、頼もしくなってきた。ロンとハーマイオニーを含めた成長物語としても先が楽しみである。
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