朝倉義景の趣味


武略には見るべきものがなかった義景も、連歌、絵画、能、猿楽、茶、犬追物などを好み、それぞれの芸道に秀でていた、と古記録は伝える。その腕前がどれほどのものであったか、遺作が少なくその実力は知れない。しかし、英林孝景にはじまる一乗谷文化は、多くの名士に認められた。大外記清原宣賢、四辻季遠、飛鳥井雅教などの文化人が一乗谷を訪れている。また、心月寺の和尚が帆掛船を描いた扇子を義景に見せつつ、「この船はどこへ着くや」と問いかけたところ、義景は扇子をとって裏返し、「この裏(浦)に着く」と答えた話などが伝わっている。禅問答などには当意即妙の機知を働かせることができる頭脳の持主だったのであろう。

朝倉義景アラカルトに戻る。