鉄塔建設現場の人々

(一段落して作業員がいなくなった新京葉線−71)
鉄塔の建設が一段落すると、鉄塔の足元に散在していた機材やビニールシート、そしてプレハブが片づけられてしまいました。なんだか、今までの熱気が急速に薄れて、木枯らしの音だけが響くようです。
この後の作業は、碍子釣りと送電線張りがあると思いますが、しばらくはこの状態が続くのでしょう。
ここでは、この鉄塔を組み上げた作業員にスポットを当ててみます。
千葉県野田市にて

(職人の技)
まずは、今回の一番のショット。
作業員が、クレーンに吊るされている腕金の向きを変えようとしているところ。
腕金が本来取り付ける向きとは逆になってしまっているので、作業員は腕金の鼻先を、ちょん、と押して回転させようとしているのです。
命綱だけで、からだを空中に投げ出すようにして、必死に腕金の先っぽを掴もうとしている様子がうかがえます。
手に汗握る一瞬です。そして、腕金を押す力の加減が難しそうです。強く回しすぎたら、もう一回転してしまいますから。それに、腕金と鉄塔の間に挟まれてしまうかもしれないのです。

(二人だけの作業)
実は驚いたことに、腕金を取りつける作業自体はたったの二人で行っているのでした。もちろん、これは地上でクレーンを操作する作業員やワイヤーの取り付けなどのサポートがある上でできることです。
一つ上の写真とこの場面でわかるように、腕金の根元側にはバランス調節のためのバラストが2個釣り下げられています。
==> と書きましたが、「これは鉄塔本体と、腕金を接続するためのボルトを工具袋に入れ
て吊り下げている」ということなのでした。(プロの方から教えていただきました 1999/07/09)

(ボクにもやらせて)
クレーンの操作は、この作業員が行っていました。操作卓はまるで「鉄人28号」のアレみたいに見えます(笑)。黄色いヘルメットの左側には、無線交信装置がついているらしく、これで鉄塔上の作業員と交信しているのでしょう。
作業員の足元にいる小犬は、ここの作業員の皆さんとなれているらしく、いつも誰かの周りを走りまわっています。特に、操作卓に向かっている作業員とは仲がよく(笑)、まるでクレーンの操作をボクにもやらせてよ、と言っているようです。青いシートの上にいる犬は、この小犬の母親のようです。
後日、組み上げられた鉄塔を撮影に行ったときにも、二匹の犬は人影のなくなった鉄塔の足元で遊んでいました。私が鉄塔に近づこうとすると警戒して吠えまくられましたが、小犬の方はあっという間にじゃれてきて、母親犬に怒られていました。