虹を作る場所

(二重の虹)
台風が関東の南方をよたよたと通り過ぎていった、ある夏の日。
夕方の買い物に出かけようと自転車を片足漕ぎしていたとき、視界の端に鮮やかな虹が飛び込んできました。あわてて引き返し、カメラを持ち出して障害物のない場所を探しに行きました。
最初、虹は1本だけかと思ったのですが、よく見ると二重になっています。
写真集などではありますが、実際にこの目で見たのは初めてでした。
残念ながら、天を半周するほどの長さではありませんでしたけど、自転車を漕ぎながらふわふわといい気持ちになりました。
千葉県松戸市にて

(虹を作る場所)
虹の架かっている方向へ走っていくと、妙な感じを受けました。
『虹を作っている場所を発見したぞ』
そうです。
虹が地面に刺さっている場所は、工事現場だったのです。
鉄骨が組み上げられ、その中から七色の光が立ち上っているのです。
おそらく、紅白に塗り分けられたクレーンで、虹の部品を丁寧に重ねていっているのでしょう。
どう言ったらいいのかな。
太陽と水の粒が虹を作っているのではなく、工事現場のおじさんたちが虹を組み立てているのだと。
きっと、説明しても分かってくれる人はいない。
20000814