メルヘンの部屋16 ことばたちのフーガ

cover

世界文化社
発行年月日未詳
装丁:松永禎郎
装画・挿画:石阪春生
文庫版(155ミリ×104ミリ)ハードカバー装
29ページ

『世界の詩とメルヘン』に収められた一冊。『世界の詩とメルヘン』は全18巻のシリーズらしく、「メルヘンの部屋」と詩画集の2冊に「世界の音楽」というカセットを合わせて1巻が構成されているらしい。「メルヘンの部屋」のほかの執筆者は矢川澄子、中井英夫など。

発行年月日は記載されていない。『別冊幻想文学 中井英夫スペシャルI 反世界の手帖』(幻想文学出版局、現アトリエOCTA、1993年)の「中井英夫全著作目録&書評選」によれば、同シリーズ7巻『香りのおもいで』の発行は1978年4月。また、「ユリイカ10月臨時増刊号 総特集 矢川澄子・不滅の少女」(青土社、2002年)には同シリーズ3巻『メルヘンの世界から』の発行は10月1日、年度の記載はないものの、前後の項目からみて1977年と思われる。そこから推測するに1979年から1980年にかけての刊行ではないかと推測される。

この二つの記載を信用するとして、月刊はもちろん隔月刊行でもちょっと計算が合わない。本書は16巻であるから、1978年から79年の刊行ではないかとおぼろげながら推測ができる。もし詳しいことをご存知の方がいらっしゃいましたらご教示頂きたい。

内容はアリスとエチーラおじさんが言葉遊びをテーマに対話するというもの。エチーラおじさんはアリスが逆立ちをしたときに鏡の中から出てきた人物で、「さかさ言葉」で明かされているようにアリスのアナグラム(Alice-Ecila)。古今東西の言葉遊びをちりばめた、種村作品中最も愛らしい一冊といえよう。

目次
退屈なアリス
回文
反遠近法
イムポッシビリア
双生児
尻取り
忌字
暗号
矛盾
新造語
さかさ言葉
杓子定規

初出
全編書き下ろし。