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読了本1999年6月-10月
| 【著者】 |
綾辻行人 |
【出版社】 |
講談社 |
【発行年月日】 |
1999年10月01日 |
| 【装丁】 |
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【解説】 |
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【定価】 |
1700円 |
これまでに綾辻が発表した短編集はホラー色の強いものが多かったが、本書は本格ミステリの短編集である。収録されている5作の全てに綾辻行人が登場し、うち3作では過去の自分らしき人物が「犯人当て」の問題を持ってくるというちょっとメタフィクション的な味わいの作品になっている。
「犯人当て」というのは大学の推理小説研究会などで行なわれるゲームで、事件のデータを全て提示してから読者に犯人を当てさせるといういたってシンプルなものなのだが、それだけにフェアプレイというものが要求される。本書の作品群はこのフェアプレイというものを厳密に守りすぎるあまり、すこし(いやかなり)変なものになってしまっている。例えていえば『空想科学読本』(柳田理科雄・メディアファクトリー)のようなおかしさがある。一般に本格ミステリにおいては密室などの不可能な状況が用意され、それが不可能であればあるほど読者は期待を抱く。作者はそこに合理的な説明を与えなければならない。しかし厳密すぎるあまりに「そんなのあり?」といいたくなるような説明になってしまうのである。ゴジラを科学的に分析してしまうようなばかばかしさがそこにある。もちろん綾辻自身はまじめなのだろう。しかし、それは『空想科学読本』の著者柳田理科雄のまじめさに近い。
また、私は同時にドジソン先生=ルイス・キャロルの『不思議の国の論理学』(柳瀬尚紀編訳・河出文庫)を思い出した。本書は論理ゲームが好きな人にはたまらなく面白いものであろう。
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09/27 ドン・キホーテの世紀 スペイン黄金時代を読む
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| 【著者】 |
清水憲男 |
【出版社】 |
岩波書店 |
【発行年月日】 |
1990年11月28日 |
| 【装丁】 |
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【解説】 |
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【定価】 |
2940円 |
スペイン文学、特に文献学を専門に研究しているという著者が、スペイン黄金時代(16、7世紀)について語るエッセイ集。NHKの語学番組テキストに連載されていたこともあり、軽い読み物風の文章なのだが、220冊に及ぶ黄金時代の書物(大部分が未訳)からの引用が本書の価値を高めている。
例えば3章「食の研究」では『ドン・キホーテ』にも登場した「悲嘆と破損」という不思議な名前の料理を紹介する。現在でもこの料理がどんなものなのかははっきりとしていないのだが、当時の小説や料理書からベーコンと卵を使った料理であるらしい事がわかる。
また、6章「術の話」では「太陽の沈む事のない国」といわれた一方で経済的には危機的状況にあり、国王自ら錬金術を奨励していたことや、「邪視」から逃れるための魔術やお守りが紹介されている。奇書を取り上げた7章も面白い。
日本語の資料があまり多くない分野であるだけに、貴重な情報ばかりでありがたいのだが、3000円という値段は高い。実は私も図書館で借りて読んだ。もう少し格安なら手元において置きたい本なので、ぜひともライブラリー等で再刊してもらいたい。
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| 【著者】 |
高野陽太郎 |
【出版社】 |
岩波科学ライブラリー |
【発行年月日】 |
1997年10月22日 |
| 【装丁】 |
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【解説】 |
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【定価】 |
1000円 |
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鏡を見ると上下は変わらないのに左右だけが逆になるのはなぜか。当たり前だと思われているが、長いことこの現象についてきちんとした説明はされていなかった。本書はついにその現象を明解にした本である。鏡は光学的には前後の位置関係だけを変えているのであって、左右が変わったように感じるのは視点が180度回転してしまっているのが原因である。つまり絶対的な座標軸から観た時には左右は変わっていないというわけだ。言われてみれば簡単なことなのだが、名だたる学者たちが説明できなかったというのが面白い。
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| 【著者】 |
谷川渥 |
【出版社】 |
トレヴィル発行/ビブロポート発売
(現在はちくま学芸文庫) |
【発行年月日】 |
1996年11月20日 |
| 【装丁】 |
竹智淳 |
【解説】 |
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【定価】 |
2575円 |
『超劇辛爆笑鼎談・「出版」に未来はあるか?―中央公論買収の裏側、三一書房ロックアウトの真相―』にも出てきたが、トレヴィルは版元が解散してしまった。本書も含め欲しい本でまだ買っていないものが幾つかあったので残念に思っていたところ、友人から神保町の日本特価書籍にあることを教えられ、早速購入。
ユートピア文学を中心に論じられた本書読んでいると、なんとまあたくさんのユートピアが空想されてきたことかと驚かされるが、しかしここ最近はユートピア文学も元気がない。考えてみれば、アポロが月面に着陸し、テレビによって全世界にその映像が届けられてしまったのだ。火星だって、生物が存在すると言えば笑われてしまうだろう。我々は家にいながらにして地球上の、いや宇宙でさえ、あらゆる情報を得ることができるようになった。その一方でユートピアは確実にその存在しうる場所を失ってしまったのだ。
巻末に取り上げられた作品のリストがあげられているので、これをたよりにユートピアへの旅に出てみるのも一興だろう。
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06/22 超劇辛爆笑鼎談・「出版」に未来はあるか?―中央公論買収の裏側、三一書房ロックアウトの真相―
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| 【著者】 |
井家上隆幸
永江朗
安原顯 |
【出版社】 |
編書房発行
星雲社発売 |
【発行年月日】 |
1999年06月10日 |
| 【装丁/装画】 |
酒井賢司/出久根育 |
【解説】 |
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【定価】 |
1500円 |
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最近の出版業界を巡る話題でもっともショッキングだったものといえばやはり中央公論社の身売りだろう。かつて中公で「海」「マリ・クレール」などを手がけ、その後スーパーエディターとして「リテレール」などで活躍した安原顯と元三一書房編集者で現在フリーライターの井家上隆幸が中公・三一の事件の内幕について語り合った本書は、両社にとどまらず河出・筑摩・平凡社・マガジンハウスなど多方面に話が及び、現場から見た出版史としても読める。驚いたのは深沢七郎「風流夢譚」が筑摩の『深沢七郎集』にも収録されていないということ。「風流夢譚」の事件は有名なので(詳しいことは本書を読めば分かる)、当然現在でも容易に読めるものだと思っていた。二人が饒舌のあまり、ちょっと眉唾に感じたりもするのだが、「マスコミ」という言葉のイメージとは裏腹に実にいいかげんな業界なのだなあという思いを強くした。とにかく痛快な一冊。
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06/16 幽霊は足あとを残す 怪奇探偵の実録事件ファイル
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| 【著者】 |
小池壮彦 |
【出版社】 |
扶桑社 |
【発行年月日】 |
1999年03月20日 |
| 【装丁】 |
川上成夫 |
【解説】 |
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【定価】 |
1619円 |
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最近はTVでも活躍している怪奇探偵が巷の怪談の成立背景を探った本である。タイトルからオカルトものかと思われるかもしれないが、現地でのフィールドワークにより事実関係を明らかにし、さらには世相との関連までを考慮に入れて怪談成立の事情を明らかにしていく。何より好感が持てるのは恐怖を煽るのでもなく、怪奇現象を否定するのでもなく、怪談を生み出す民衆の想像力を客観的に眺めていることだ。その意味では極めて学術的なアプローチがされている。余談だが、小池氏は私の大学の先輩だということをプロフィールではじめて知った。おそらく、私などとは違って民俗学の方法論をしっかりと身につけられたのであろう。
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| 【著者/訳者】 |
ピーター・S・ビーグル/井辻朱美 |
【出版社】 |
早川書房 |
【発行年月日】 |
1998年06月30日 |
| 【装丁/装画】 |
ハヤカワ・デザイン/八木美穂子 |
【解説】 |
風間賢二 |
【定価】 |
1600円 |
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アメリカモダンファンタジーの最高峰とも言われる『最後のユニコーン』(早川文庫FT)の著者による第5長編。ビーグルの長編は第4長編“The Innkeeper's Song”を除きすべて邦訳されているが、いずれも大変好きな作品だったので、今回も期待していたのだが(その割に一年前に買って読むのを忘れていた(笑))、その期待は概ね満たされた。概ね、というのは長さの問題で、約200ページというのはやはりちょっと物足りない。とはいえ内容は随所にビーグルらしさが溢れている。十三歳の少女ジョーイは不思議な少年インディゴの持つえもいわれぬ音を奏でる青い角笛の音色に誘われるように、ユニコーンたちの住むシェイラという世界に迷い込んでしまう。ユニコーンたちは目がかさぶたで覆われたようになって見えなくなっていた。このユニコーンの目を治すのが後半の山場になっていくのだが、ビーグルらしさというのはストーリーよりもむしろ会話の中などに現れている。ビーグルが『心地よく秘密めいたところ』(創元推理文庫)デビューしてから38年で5つの長編しか発表していないのは、彼が細部に、特に登場人物たちの言葉にこだわるからだろう。また、これはビーグル作品のほとんどすべてに共通することだが、悪人というものが登場しない。誰もが優しく傷つきやすく、少し愚かだ。そして物語を通していくらかの勇気を手にして前へと歩き出す。読後、とてもさわやかな気分になれる作品である。スピルバーグ(ドリームワークス)によってアニメ化されると帯に書かれているが、ちょっと不安だ。
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| 【著者】 |
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【出版社】 |
キネマ旬報社 |
【発行年月日】 |
1999年05月29日 |
| 【装丁】 |
梅津由子 |
【解説】 |
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【定価】 |
1500円 |
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NHK-BS2で不定期に放送されている「BSマンガ夜話」(いしかわじゅん、夏目房之介、岡田斗司夫、大月隆寛という濃いメンバーが1時間の生放送でひとつのマンガについて語り合う、という濃い番組)を活字に起こしたもの。私は実は過去の放送はすべて録画している。だったら必要ないじゃん、と思われそうだが、本書には詳細な注がついていたり、単行本リストや作品年表、キーワード事典などもあって、資料面で非常に充実しているのだ。これを読めば漫画を実際に読まなくても語れそうなくらいだ(笑)。今回は高橋留美子「めぞん一刻」、吉田秋生「櫻の園」、上條淳士「TO-Y」の回を収録。私はこの中では「TO-Y」は読んだ事がないのだが、それでも充分に面白く読める。それだけではなく、実際に漫画を読みたくなる。「TO-Y」は古本屋で見かけるたびに買おうかどうか迷うし、「めぞん一刻」も昔借りて読んだきりで持ってはいないので、欲しくなってしまう。ある意味困った本(笑)。因みに番組の方は7月に新シリーズを放送予定とか。そちらもたのしみ。
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