その28 技能講習開始の儀式


 学科講習と、その修了試験にパスすると、今度は技能講習に入るわけです。まぁ、自動車の免許に例えれば、仮免許の教習になるわけですね・・・

 電車の運転ってヤツは、電車そのものの動きに慣れれば結構どうにかなるんですが、何かがあったとき、パッと行動に移して、事故やトラブルを最小限にくい止めるのがある意味おしごとになります。

 それをカラダで染みこませていくことと、そして、通常の運転をバッチリこなせるようになるために、4〜5ヶ月程、指導操縦者と共に過ごすことになります。

 自動車の教習所に関しては、教習生が指導員を選ぶこともできますが、お金貰って教えていただいてる教習生の立場ではそうはいきません・・・

 悪い言い方すると、アタリの指導操縦者が居れば、そうでない指導操縦者もいられます。 もちろん、その教習生の基準で見て、ソリがあうかどうか・・・ってのが最も重要な所なんですけどね。

 教習所(育成センター)の学科教習が終わると・・・それぞれが配属される電車区に行き、最初の1〜2日、電車区の乗務主任のセミナーみたいなのを受け、その後、ついに「指導運転士との顔合わせ」という儀式になります。

 まぁ、会社内のネタですし、前もってハナシをする・・・ってコトはないんですが、裏情報で、「お前の師匠は○○さんだってよ」・・・なんてハナシが飛んできたりします。

 私の場合、聞いた瞬間「( ̄◇ ̄;)げっ」って言っちゃいましたね・・・

 お師匠が温厚なイメージなのは存じてたんですが、参ったことに、車掌時代、1度組んだときに遅刻してるんですよ・・・大ボケかまして(自爆)

 それがアタマに残ってたもんで、こりゃやばいなぁ・・・なんて思ってる所へ、仲間が言うんですよ・・・「○○さん、今回気合入ってるらしいしさぁ、覚悟しといたほうがいいぞ」 「あぁ・・・まぁ、今まで師弟関係で楽しすぎてるしなぁ、覚悟は決まってるつもりだよ」って返してたんですね・・・

 それぞれ、△△さんかよぉ・・・うまいなぁ、相変わらず♪♪ とか、ありゃりゃ、□×さんかよぉ・・・お気の毒に・・とか、そんな感じで師弟顔合わせの前、裏情報でのやりとりがあるもんですね(笑) なにせ、師弟として組む前に、車掌時代に、乗務員のパートナー同士で組んだりした運転士です、大体はどんな人かは分かるんですよ・・・

 そして、顔合わせの会場、会議室へ・・・

 そのとき、私がナニをゆったかは覚えてませんが、お師匠が言ったあの一言にはすごくプレッシャーがかかりましたねぇ・・・

 「一言ですが・・・やるべきコトはやる! これだけですねぇ」

・・・ ( ̄◇ ̄;)げっ なんか、スゲェ覚悟を要しない?・・・このコメントって・・・

 おそらくこのネタ、当のお師匠も見られることと思ってはおりますが、マジ、あの一言はビビりました・・・後日、まぁ、当然のことなんですよねぇ・・・ってレベルのコメントだということが見えてきて、少し安心した部分もありましたが(笑)

 顔合わせのあと、師弟で、この先の教習に対して、こんな感じでやっていこうね♪ って感じの打ち合わせをやったんですが・・・その際、「おぅ、おめぇ、車両実習(最初の2日程度のセミナーの時ですね)の時、MRPS(電気指令式ブレーキの気圧スイッチで、元空気圧力を監視して、ある程度を割ったら非常ブレーキをかけて、ゆるめないって安全装置なんですね)の説明、完璧だったらしいじゃん、主任が感心してたぞ♪ まぁ、その調子でヨロシクね♪♪」と、少々気をよくしてくれてたのは正直嬉しかったですし、あのころから、電車の車両関係はそれなりにつおいつもりだった自信があったので、私も嬉しかったのを覚えております。

 こうして、私は、私にはあまりにも勿体ない程のお師匠を得て、運転士教習を始めるのでした・・・