その10 車掌になったら


 乗務員は、通常一人でおしごとします。「車掌見習」として乗務してるときは、必ず「指導車掌」という、いわゆる師匠が一緒に乗務する・・・というより、師匠の勤務をそのまま一緒にやることになるんですが・・・

 当然、拝命され、独立乗務になりますと、当然、車掌さんは一人で乗務するようになります。
 いままで、比較的狭い乗務員室に2人で乗っていたモノが、1人になると、コレ、結構広いんですねぇ・・・

 で、普通は、運転士と2人で乗務になるわけですが、当然、なったばかりの車掌、組む運転士も、フレンドリーな方もいれば、おっかない方もいるわけです。

 車掌になる・・・って時期は、大体、ハタチくらいで、しかも、車掌を2年ほど経験した者が運転士になる・・・というエスカレーターのスタイルなので、運転士は100%先輩です。それだけでもやっぱり、おっかないモノで、増しては、なったばかりの車掌、事故は怖い、でも、のんびり確認喚呼なんてやってると停車時分なんかが余計にかかって運転士には負担をかける・・・これがやっぱり気になるんですねぇ・・・

 そんな私、車掌になったばかりの日は、おっかない運転士と組んだりしまして・・・

 最初の泊まり勤務にもそんなおっかない大先輩に当たりました。

 終点の方での「区外泊」ってヤツで、駅で、運転士とコンビで宿泊します。で、電車は駅で寝かせる(「入庫する」とゆいます)ので、その手続きをするんですが、そんなときに、車内にカギを忘れちゃって・・・そう言って取りに行くのも怖いんですねぇ・・・プレッシャーかかっちゃって・・・

 そんな感じで車掌生活が始まるんですが、やはり、怖い運転士の先輩も、酒飲みの師匠と一緒になって飲みに連れていってもらってハナシがあったりすると、それ以後、そんなに怖くなかったりするってモンですから、人間関係なんて、いい加減な部分もあるんですが・・・