火吹き山の魔法使い
The Warlock of Firetop Mountain
Steve Jackson and Ian Livingstone
1982
日本語版初版:1984年12月30日


火吹き山に住む魔法使いの財宝を求めて、主人公である冒険者の「君」はダンジョンに潜り込む。

……読み返してみて気づいたんですが、この『火吹き山の魔法使い』にはストーリーらしいストーリーがないんですね。悪い魔法使いを退治するとかという大義名分もなし。魔法使いの名前さえなし(もっとも、この魔法使いには、シリーズの後の巻でザゴールという名前があったことがわかりますが)。なんだか、ただの押し込み強盗っぽいといいますか……。

基本的に、ダンジョンの中をうろついていくタイプで、「分かれ道だ。西へ行くか、東へ行くか?」といった無味乾燥な選択肢がけっこう多いです。マッピングが好きな人や、普段から地下街で迷ったりするのが好きな人には楽しめるかもしれません。とはいえ、「しばらく西に歩いていると通路は急に北に折れる」程度の描写なので、方眼紙に精確に地図を引く、とまではいきませんが。
最後の宝箱を開けるためにはカギが3つ必要で、それを求めて何度もプレイし直した記憶のある方も多いでしょう。

なお、ウォーロック誌第一号と第二号には、この作品のリメイク版が掲載されています。
内容に関してはさほど変わっているわけではなく、2回に分けての掲載になっているので、選択肢のつながり方を変えてあるとか、カギのある場所が違うとかその程度の変更だったと思います。むしろ目立つのは、ゲーム本編前の状況説明がボリュームアップしていることでしょうか。悪名高い魔法使いに悩まされる付近の村人からの依頼だということになっています。それでもちょっと説得力不足な感じは否めませんが。

GAMES WORK SHOPからは同名のボードゲームも発売されていました。
また、日本では未訳ですが、直接の続編として『Return to Firetop Mountain』、さらに、その続編の『Legend of Zagor』も出ています。


シリーズリストへ