受験対策

  施工管理技術検定は他の国家試験に類を見ないほど広範囲の問題が出題されます。
すべてを理解し、100点満点を目指す勉強法は施工管理技術検定に関しては必ずしも得策とは言えません。
そこで、過去の試験問題を検討し、合格するために効率よく勉強する方法を考えてみました。

 技術検定の方法

 1.学科試験

 4択のマークシート方式です。
試験問題は、多岐にわたりますが問題そのものは基本的なものばかりです。但し、電気通信関連の技術者には、建築や土木、電車線などは初めて見る記述ばかりで戸惑います。(ここが一つのポイントです)

 2.実地試験

 すべて記述式の問題です。
必ず出題されるのが、「過去の体験記述」です。工事名、工事内容、施工期間、電気工事の概要等を記述していきます。さらに、「特に留意した内容」「その対策と処置」を記述しますが、電気工事施工管理技術検定の場合、必ず電気工事と分かる内容を記述しなければなりません。通信工事や建築工事の記述と判断された場合は・・・アウトです。

 その他に、電気に関する用語(法令も含む)に対する「使用目的」「特徴」「欠点」等を簡潔に記述する問題が出題されます。
(以下の用語に関する内容を簡潔に記述せよ)
  スコット結線変圧器   限流ヒューズ  遮断器の定格遮断電流  etc・・・

 さらに、施工管理(ネットワーク工程表からクリティカルパス、フリーフロート等を求める問題)、安全管理、工程管理などに関する記述問題も出題されます。

 学科試験について

 1.点数の配分

 学科試験の合格基準は一般的に60点以上と言われています。
実地試験に関しては、全く不明です。記述式であるため採点者の判定によって左右されそうですが、この辺の採点基準についてご存じの方がいらっしゃいましたら、是非とも教えていただきたいです。

 と言うことで、学科試験の配分について・・・
ここでは2級電気工事施工管理技術検定について説明します

まず、試験に出題される問題を科目別に分けてみます

出題数 解答数 備考
電気工学 電気工学 電気理論
電気機器
電力系統
電気応用
3問
2問
2問
2問
9問 6問 9問中6問を選択し解答する

全回答数の15%
電気設備 発電設備
変電設備
送配電設備
構内電気設備
電車線
その他の設備
2問
2問
6問
12問
2問
1問
25問 12問 25問中12問を選択し解答する

全回答数の30%
関連分野 電気通信設備
機械設備関連
土木関連
建築関連
2問
1問
4問
1問
8問 5問 8問中5問を選択し解答する

全回答数の12.5%
施工管理 設計計画
施工改革
工程管理
品質管理
安全管理
1問
2問
2問
2問
2問
9問 9問 全問解答する

全回答数の22.5%
法規 建築業法
電気事業法
その他(電気関連)
消防法
建築基準法
労働安全衛生法
労働基準法
その他(関連法規)
2問
2問
1問
1問
1問
2問
1問
1問
11問 8問 11問中8問を解答する

全回答数の20%
合計 62問 40問

上の表を見て分かる様に、各分野の出題数にばらつきがあります。さらに、出題数に対する要求解答数の割合は一定ではありません。
ってなことを踏まえて、どこにポイントを置いて学習するのが効率のいい勉強方になるのか・・・???

 2.ポイントを絞るということ

  私の経験談ですが・・・
2施工受験に際して、すべての分野を理解しようと学習を進めました。その中でも電車線などは全くの素人ですのでかなりの時間を費やして学習した記憶があります。
しかし、電車線の問題はたったの2問しかないんです。さらに、25問中12問選択の中の2問・・・
もし、ご自身が電車線に関係のない業務に携わっているのなら、電車線の学習は時間の無駄です。その分ほかの学習に時間を割り振りましょう。

では、どの分野に重点をおくか・・・

1:施工管理 問題集や攻略本などではかなり後半の部分に載っている内容ですが、一番最初に始めても良いと思っています
問題自体も全問解答を求められていますので、きっちり押さえておくべきでしょう
施工管理の知識は実務においても必要です
2:電気設備 特に送配電設備と構内電気設備は問題数の多さからも、かなりの時間をかける必要があると思います
6割の正解で合格ならば全回答数40問中24問で合格します。その中で18問選択できるわけですからかなり有効です
3:法規 施工管理と並んで、法規も過去問からの出題がかなりあります
学習方法はただ覚えるだけですので、大変ですが業務上必要な法令ばかりですので覚えておけば今後役に立つことがある・・・かも知れません
4:自分の得意分野 当たり前のことですが、自分の得意分野で点数が取れないと話になりませんよね

改めていうまでもありませんが、上記の表は「これだけやっていればOK!」というものではありません
受験対策として押さえておくポイントを表しています

とにかく「施工管理」はどのような問題が出題されても自信を持って解答できるぐらいの学習は必要です。

 3.将来のために

  主任技術士や監理技士には、電気工事に関する知識力が求められます。
三相交流に関する理論やA種接地とD種接地の違いなどは現場の上長としては当たり前の知識でしょうし、安全管理、工程管理などは常識として捉えましょう。
施工管理技術検定は、現場の人間としては常識的な問題しか出題されていないのです(中には意地悪な問題もあります)
試験勉強として捉えれば苦痛もあるでしょうが、業務に必要な知識を養っていると考えれば勉強にも身が入るのではないでしょうか・・・

将来、監理技士として現場に立ったときに恥をかかない様に頑張りましょう。


 4.受験を終えて(1級電気工事施行管理技術検定)

  =1次試験・早稲田大学15号館(平成13年6月10日)=
会場には色んな年代の受験生が集まりました。そろそろ定年近いんじゃ・・・風のおじさんもいましたが、やはり殆どは20代後半から40代前半でしょうか。
内容は、やはり幅広いです。的を絞る事が出来ませんが、電気設備に関しては実務経験のある方はかなり優しい問題が出ていたと思います。(弱電経験者はかなりの勉強が必要ですね・・)
施行管理と法規(労安法や建設業法等)はかなりの時間を割いて勉強しましたがかなり厳しいものを感じました。周りの受験生も同様の感想を述べていましたが、過去問だけをやっていた方はここでつまづいた人も多かったんじゃないでしょうか??
問題を持ち帰る事が出来なかったので、感覚的な自己採点ですが、午前中(電気設備等)は9割、午後(施行管理、法規)は6割と言ったところでしょうか。

 =2次試験・武蔵大学1号館(平成13年10月21日)
受験会場に若い女性の方がいたのには驚きました。(受験票をしっかり持っていました)
施行体験記述には毎年安全管理、施行計画、工程管理のうちいずれかが出題されます。昨年は安全管理が出題されたので今年は工程管理かな、と思っていたら・・・BINGO!!(ローテーションで出題されるんでしょうかねぇ??)
内容は、いつもと同じです。ただ、今年の問題には以下の設問が追加されていました。
・あなたが過去に行った工事の中で問題になった事項と今後それに対してどのようにすればよいか改善策を記述せよ(たぶん意味は合っていると思います)
私は他業者との取り合い、手戻りの防止等を書きました。
その他、用語の説明を問う問題は、勉強した内容からは1問も出ませんでした。(過去問から抜き出した用語集100選なるものを作って勉強したのですが・・・)
しかし、まじめに仕事をしていれば普段の仕事で使っている事柄が2、3問は出ているものです。
結論としては、私のように弱電畑の人間にはかなり手強い試験ですが、電気工事に絡む仕事をしている方には取りやすい資格だと思います。

2月4日、合格通知が届きました。



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