図6の回路において、抵抗R2を流れる電流を求めよ。ただし、電池の内部抵抗は
無視するものとする。
解説
まず最初に電流の方向を仮定します。
I1はE1のプラス側から流れるように、I2はE2のプラス側から流れるように、
またI1、I2がa点に対して入ってきますからI3は、出て行く方向に仮定します。
電流を求める問題は、キルヒホッフの第一法則と第二法則の3つの閉回路のうち2つ
を用いて連立方程式で求めることができます。
その1(図6−1)
キルヒホッフの第一法則と回路@と回路Aで解く方法
第1法則
a点 I1+I2=I3 ・・・・・@
第2法則
回路@ E1=I3・R3+I1・R1 ・・・・A
回路A E2=I2・R2+I3・R3 ・・・・B
A式及びB式に@式を代入すると、
E1=(I1+I2)R3+I1・R1 ・・・・C
E2=I2・R2+(I1+I2)R3 ・・・・D
C式及びD式に数値を代入して整理すると、
20=2・I1+I2 ・・・・E
50=I1+3・I2 ・・・・F
F式をI1について整理すると、
I1=50−3・I2 ・・・・G
G式を6式に代入すると
20=2(50−3・I2)+I2
=100−6・I2+I2
5・I2=80
∴ I2=16[A]
その2(図6−1)
キルヒホッフの第一法則と回路@と回路Bで解く方法
第1法則
a点 I1+I2=I3 ・・・・・@
第2法則
回路@ E1=I3・R3+I1・R1 ・・・・A
回路A E2−E1=I2・R2−I1・R1 ・・・・B
A式に@式を代入すると、
E1=(I1+I2)R3+I1・R1 ・・・・C
C式及びB式に数値を代入して整理すると、
20=2・I1+I2 ・・・・D
30=2・I2−30 ・・・・E
E式をI1について整理すると、
I1=2・I2−30 ・・・・G
F式をD式に代入すると
20=2(2・I2−30)+I2
=4・I2−60+I2
5・I2=80
∴ I2=16[A]
その3(図6−1)
キルヒホッフの第一法則と回路Aと回路Bで解く方法
第1法則
a点 I1+I2=I3 ・・・・・@
第2法則
回路A E2=I2・R2+I3・R3 ・・・・A
回路A E2−E1=I2・R2−I1・R1 ・・・・B
A式に@式を代入すると、
E2=I2・R2+(I1+I2)R3 ・・・・C
C式及びB式に数値を代入して整理すると、
50=I1+3・I2 ・・・・D
30=2・I2−I1 ・・・・E
D式をI1について整理すると、
I1=50−3・I2 ・・・・F
F式をE式に代入すると
30=2・I2−(50−3・I2)
=5・I2−50
5・I2=80
∴ I2=16[A]
その4(図6−2)
電流の方向をa点から出て行く方向に仮定した場合
第1法則
a点 I1+I2+I3=0 ・・・・・@
第2法則
回路@ E1=I3・R3−I1・R1 ・・・・A
回路A E2=−I2・R2+I3・R3 ・・・・B
@式をI3について整理すると
I3=−(I1+I2) ・・・・C
A式及びB式にC式を代入すると、
E1=−(I1+I2)R3+I1・R1 ・・・・D
E2=I2・R2+(I1+I2)R3 ・・・・E
D式及びE式に数値を代入して整理すると、
20=−2・I1−I2 ・・・・F
50=−I1−3・I2 ・・・・G
G式をI1について整理すると、
I1=−50−3・I2 ・・・・H
H式をF式に代入すると
20=−2(50−3・I2)−I2
=100+6・I2−I2
5・I2=−80
∴ I2=−16[A]
仮定した逆方向に16[A]流れます
どの方法でも求められますが、計算が簡単にできる方法を選ばれた方が良いでしょう。
この場合でしたらその1が良いと思います。
図7の回路において、矢印のような電流が流れているとき、抵抗R1で消費される電力を求めよ。ただし、電池の内部抵抗は無視するものとする。
解説
図6−1のように、回路を流れる電流をI1、I2とすると、キルヒホッフの法則により次式が成り立つ。
(3+5)I2+R1(I1+I2)=58 ・・・・@
R2・I2+R1(I1+I2)=12 ・・・・A
I1+I2=3 ・・・・B
ここで、I1=5[A]及びB式を@式に代入すると、
8・5+3R1=58
∴R1=6[Ω]
従って、R1で消費される電力P1は、
P1=3×3×R1=9×6=54[W]
以上は本に載っていた解説です。
このような問題はどこから解き始めたら良いのでしょうか。
まず最初にキルヒホッフの第二法則に従い、回路@、回路A、回路B
をトレースして見ましょう。
回路@はR1、回路AはR1、R2とI、回路BはR2とIの値がわかりません。
また、電力はV、I、Rの3つのうち2つがわかれば求れこの問題の場合はIがわ
かっているのでV1またはR1がわかれば求められます。
以上により回路@から解き始めましょう。
@式で3R1は電圧ですから、
3R1=18[V]
R1で消費される電力P1は、
P1=V・I=18・3=54[W]
でも良いと思います。
参考までに図6−2でキルヒホッフの法則を摘要すると次のようになります。
第一法則
5=3+I ・・・・a点
第二法則
58=(3+5)・5+R1・3 ・・・・1の回路
12=R1・3−R2・I ・・・・2の回路
58−12=(3+5)・5+R2・I ・・・・3の回路
図8の回路において、起電力Eを求めよ。ただし、電池の内部抵抗は無視するものとする。
解説
図8−1のように電流の方向を仮定します。
次にキルヒホッフの第二法則に従って回路@、回路A、回路Bトレースして見ましょう。
回路@はEとI1、回路AはEとI1とI2、回路BはI2の値がわかりません。
以上により回路Bから始めましょう。
キルヒホッフの第二法則により回路Bは
24=4・I2+2×2 ・・・・@
I2=5[A]
キルヒホッフの第一法則により電流は
2+I1=I2 ・・・・A
A式にI2=5[A]を代入すると
I1=3[A]
キルヒホッフの第二法則により回路@は
E=2×I1−2×2
=2×3−2×2
=2[V]になります。
図9の回路において、端子a-b間の合成静電容量を求めよ。
手順
(1)6μFと12μFの合成静電容量求める。
(2)18μFと9μFの合成静電容量求める。
(3)端子a-b間の合成静電容量を求める。
解説
(1)直列の場合の合成静電容量は、各静電容量の和分の積で求められます。
6×12/(6+12)=4[μF]
(2)18×9/(18+9)=6[μF]
(3)並列の場合の合成静電容量は、各静電容量の和で求められます。
4+6=10[μF]になります。
図10の回路において、端子a-b間に加わる電圧を求めよ。
ただし、端子a-c間の電圧を160[V]とする。
手順
(1)端子a-b間の合成静電容量を求める。
(2)端子b-c間の合成静電容量を求める。
(3)端子a-b間に加わる電圧を求める。
解説
(1)並列の場合の合成静電容量は、各静電容量の和で求められます。
3+7=10[μF]
(2)2+4=6[μF]
(3)直列回路の各コンデンサ端子電圧は、静電容量に反比例します。
a-b間に加わる電圧をV1、静電容量をC1
b-c間に加わる電圧をV2、静電容量をC2、
a-c間に加わる電圧をVとすると、
V1:V2=1/C1:1/C2
V1:(V−V1)=1/C1:1/C2
V1/C1=(V−V1)/C2
両辺にC1・C2を掛けると
C1・V1=C2(V−V1)
C1・V1=C2・V−C2・V1
(C1+C2)V1=C2・V
V1=C2・V/(C1+C2)
=6×160/(6+10)
=60[V]になります。
V1=C2・V/(C1+C2)は覚えておきましょう。
試験最中に計算したら効率が悪いです。
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