甲府市自治基本条例骨子

森本案

 

一厘の仕組(日本編)

森本 優(2005/12/18)


甲府市自治基本条例骨子森本案

H17.12.7

 

目次

1 前文 「市民の幸せ・生きがいを自らの手で実現してゆける歓び溢れる甲府市

2 総則

 イ 目的市民の市政に参画する権利を保障するために自治の基本原則と自治機構を定め、もって地方自治の本旨に基づく豊かな地域社会を実現して市民の人権保障を図る

 ロ 最高法規性

 ハ 定義

3 自治の基本原則 「参画する権利の保障、情報の共有・公開、個人情報保護、説明責任、独立・対等・協働、適正手続き、人権保障、その他」

4 市民 「(1)市民の権利・責務、(2)コミュニティ(地縁別並びにテーマ別)、(3)市民共同の独立常設協議機関の役割と責務(他機関との協働関係)※」

5 市議会 「(1)市議会の役割と責務、(2)議員の責務」

6 執行機関 「(1)市長の役割と責務、(2)職員の責務」

 行政運営の原則 「情報公開・説明責任等、透明・公平・迅速な行政運営、組織体制、苦情・要望等への対応体制(オンブズマン制度等)、自治体経営(効率化・合理化・NPO等との協働)、出資団体等、その他」

7 住民投票

8 財政 「財政自治の原則」

9 本条例の改正

10 その他 「国、他の地方公共団体との関係並びに連携、委任、その他」

 

(※「市民共同の独立常設協議機関」とは、市民の幸せ・生きがいを実現するために、計画の段階から実施・評価の段階までにおいて、市民の参画する権利を保障する舞台装置。今の議会事務局機能の一部と執行機関の行政作用の一部とを合せて引き受け、更に、議会の常任委員会にも出席し意見交換することが保障されているもの。

 即ち議会に対しては、議会事務局機能の内、情報の提供、法務、政策立案・条例案等に関する提言・答申等、という形で事務局を支援・補助することで議会と協働し、議会機能を補強する。更には、常任委員会で意見交換をなし、極力市民の公平な声を政策や条例案等に反映させる。

 執行機関に対する協働の形としては、情報の提供、法務、政策立案・条例案等に関する提言・答申等をなす他、先ず、基本構想・基本計画等に関する審議会・懇親会・公聴会等を主催し、執行機関の職員も交えて協議する。ワークショップ・パブリックコメント・PI・アンケート等を実施する。一般市民並びに他機関の意見を総合的に調整して市民案を市長に提出する。市長の決定案に対しては、必要であれば説明を求める。以上のようにして、極力市民の公平な声を政策や条例案等に反映させる。

 次に、個別具体的な事業に関する計画・実施・評価の各段階においても、同様に、市民の参画を保障する。計画の段階では市民の協議機関が主導的に協議の場を設け、ワークショップ・パブリックコメント・PI・アンケート等を実施し、総合的な調整後、市民案を提出する。実施の段階においても、必要に応じて諮問・提言・答申等をなし、説明を求め監視してゆく。評価の段階においても、市民の協議機関が主導的に協議の場を設ける。以上のようにして、極力市民の公平な声を政策や条例案等に反映させる。

 以上の協議機関の活動に関する情報は、協議機関(市民)の視点から、逐次一般市民に対して発信してゆく。)

以上


市の自治機構全体像(森本案)解説

H17.12.15

 

一、自治基本条例の前文 

「市民の幸せ・生きがいを自らの手で実現してゆける歓び溢れる甲府市。」

 

二、自治基本条例の目的

「市民の市政に参画する権利を保障するために自治の基本原則と自治機構を定め、もって地方自治の本旨に基づく豊かな地域社会を実現して市民の人権保障を図る。」

 

三、自治機構(地方自治法・自治基本条例を中心として)

A 市民

1 役務の提供を等しく受ける権利・その負担を分任する義務(地方自治法10)

2 選挙権・被選挙権(法11)

3 条例の制定改廃請求権・事務の監査請求権(法12)

4 議会の解散請求権・解職請求権(法13)等

5 市民から協議機関への政策立案・条例案等の提言(基本条例)

6 情報公開請求権・説明請求権等(基本条例)

 

B 議会

1 条例の制定改廃・予算・決算等の議決(法96)

2 議員の議案提出権(法112)

3 委員会単位での条例案提出権(第28次地方制度調査会審議概要・基本条例)

4 住民監査請求(法242、監査委員に対して)

5 常任委員会の設置(法109、常任委員会はその部門に関する調査や議案・陳情等の審査。その場合、必要であれば外部の第三者から意見を聞くことが出来る・・・(5)の3参照)

6 条例による議会事務局の任意的設置(法138、議長の職員任免権、事務局長等の議会庶務の掌理、等)等

 

C 行政

1 長の地方公共団体の統轄および代表(法147)

2 議決を必要とする議案(条例・予算等)の提出、予算の調整・執行、決算の提出、等々(法149)

3 委員会又は委員の設置(法138の4)

4 執行機関の付属機関の任意的設置(法138の4第3項、法律又は条例による審査会、審議会、調査会、その他審査・諮問・調査のための機関)等

 

D 市民共同の協議機関(長の附属機関として)

1 政策立案・条例案等の諮問・提言・答申等(基本条例)

2 基本構想・基本計画や個別的事業に関する計画・実施・評価の各段階において、審議会・調査会・懇親会・公聴会等を主催し協議する。(基本条例)

3 計画段階では、ワークショップ・パブリックコメント・PI・アンケート等を実施し、一般市民・他機関の意見を総合的に調整して市民案を長に提出する。その市民案に関する質問に答え、決定案に対しては、必要であれば説明を求める。(基本条例)

4 実施の段階では、必要に応じて調査・諮問・提言・答申等をなし、必要であれば説明を求める。評価の段階では、協議機関が主導的に協議の場を設置する。 (基本条例)

5 以上の協議機関の活動に関する情報は、市民の視点から逐次一般市民に向けて発信する。(基本条例)

 

(1)市民・議会の間

1 議員の選挙・被選挙(法17・18・19、議員を通して、若しくは議員になって民意を反映させる)

2 議会の解散請求・議員の解職請求(法76・80、選挙管理委員会に対して)

3 請願(法124)等

 

(2)市民・行政の間

1 長の選挙・被選挙(法17・18・19、長を通して、若しくは長になって民意を反映させる)

2 条例の制定改廃請求(法74、長に対して)

3 長の解職請求(法81、選挙管理委員会に対して)

4 役員の解職請求(法86、長に対して)

5 住民監査請求(法242、監査委員に対して)

6 住民訴訟(法242の2、裁判所に対して)等

 

(3)議会・行政の間

1 事務書類・計算書の検閲、事務の管理・執行及び出納の検査、事務に関する調査(法98・100)

2 長の付再議権・専決処分(法176・177・179・180)

3 議会の長に対する不信任決議(法178)

4 長及び委員等の議場出席義務(法121)

5 長の議会に対する説明書提出義務(法122)等

 

(4)市民・協議機関の間

1 地縁別・テーマ別の公益を担う諸団体から代表を立て協議委員とする。また協議委員が公募制により市民一般にも開かれていること。(基本条例、代表を通して若しくは自ら委員となって民意を反映させる。その趣旨は、政治家タイプではない人達に多様な民意を反映してもらう必要性大。)

2 協議機関に対する情報公開請求・説明請求等(基本条例)

3 委員の解職請求(基本条例、首長に対して)

4 住民監査請求等(基本条例、監査委員に対して)

 

(5)議会・協議機関の間

1 協議機関は議会で必要とする情報の提供に努め、法務、政策立案、条例案等の提言・答申等により議会を支援・補強する。(基本条例)

2 相互間の情報公開請求・説明請求等(基本条例)

3 条例等による協議機関の独立性の尊重、協働関係の設定、常任委員会への出席と意見交換の場の保障等(基本条例、法109参照)※

 

(6)行政・協議機関の間

1 長の協議機関に対する統轄・管理(法147・148)

2 協議機関は執行機関で必要とする情報の提供、政策立案、条例案等の提言・答申等(基本条例)

3 基本構想・基本計画や個別的事業に関して審議会等を主催(基本条例)

4 相互間の情報公開請求・説明請求等(基本条例)

5 条例等による協議機関の独立性の尊重、協働関係の設定 (基本条例)※

 

※協議機関の法的性質

 形式的には長の附属機関としてコントロールが直接及ぶが(法138の3・138の4第3項・202の3)、基本条例の主旨(住民自治の拡充)から協議機関の独立性は基本条例により最大限保障されるべき。同様に、議会の常任委員会での意見交換も基本条例により保障されるべき。

(二元代表制を前提とした地方自治法等の戦後初期の法令では、今のように激動する時代には、その変化に充分対応できなくなっています。本来地方自治法等の法令を時代に即して抜本的に改正すべきなのですが、後手後手に回るのが世の常です。そこで、私たちに出来ることは、地方自治の本旨(団体自治・住民自治)を拡充するため、今ある法令を時代に即した形で自主的に解釈・運用する必要が生じてきています。今回は、二元代表制の枠の中で、実質的な三局の合理的・効率的鼎立の可能性を示します。)

法138の3第1項 「普通地方公共団体の執行機関の組織は、普通地方公共団体の長の管轄の下に・・・系統的にこれを構成しなければならない。」

法138の4第3項 「普通地方公共団体は法律又は条令の定めるところにより、執行機関(長、委員会等)の付属機関として自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる。」

 

以上


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