アラカン山脈にトンネルを掘る?!!

JR東海リニア中央新幹線計画の問題点

講師: 山梨県立大学前学長 伊藤 洋

http://docs.wixstatic.com/ugd/39bc9b_ed736da6170047f193d68db3faf40c4e.pdf

報告者 森本 優

2019/1/1


 山梨大学工学部名誉教授である伊藤洋先生の講演内容を、感想をまじえつつ報告します。

 講演はこのリニア計画を、戦中に今のミャンマーで遂行されたインパール作戦になぞらえ、その無謀さ無責任さを指摘する。

 先ず、造山活動中の南アルプス山脈はメランジュ層(豆腐のような破砕眉)の水瓶と言え、その横腹に穴をあけることは無謀の極みだとし、また(審議会ではスピ一ドが最重要視されていたが)2007年の時点でフランスTGVが574.8km/hを実現しているのに何故リニアありきなのかと疑問を呈する。(確かに乗客の安全を最優先するなら、経験の浅いリニア新技術をあえて選択する必要はなかったはずだ。)

 次に、人口減少と経済成長率の鈍化により需要は減少していて、さらには既存の新幹線との相互乗り人れができないリニアでは利用者が限られる一方、予定建設コスト5兆円は実際には数倍に膨れ上がるはずで、営業運転が始まってからも保線費用は相当なものになるはずと指摘。したがってコスト面からも高速バス・飛行機との競争に敗れ、JR東海は経営危機に陥る可能性が大きいとする。実際、世界の鉄道では延伸距離を200km以内にとどめている。

 しかしJR東海は、現地調査を軽視し、また専門家の意見に耳を傾けることはせず、会長とその取り巻きによって暴走中。その無謀な計画遂行の果てに破綻となればその責任は誰がとるのかと間い、インパール作戦の戦後総括と同様、責任の所在はうやむやにされてしまうはずだと先生は断言する。

 (無謀で無責任なインパール作戦では9万人の兵士が消耗品として駆り出され、死者は32,000人に上った。その3分の2は作戦中止後の飢餓・溺死・敵軍追走によるとされる。囚みに病傷者は4万人。同様に、国の無責任な原子力政策を前提として計画され原発2〜3基分のピ一ク電力が必要となるリニアでは、無責任の上に無責任を重ねた厄介者として、その破綻後は、国やJR東海の責任はうやむやにされまま、またもや巨額の血税が無駄に投げ捨てられ続けることになるのだろうか。日本の将来は今生きている私たちの肩に重くのしかかっている。)

以上

※()内は報告者森本の註・感想です。

この講演は、2018.11.30ストップ・リニア!訴訟第12回口頭弁論後の報告集会で開かれたものです。


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