多極化世界での国家戦略

 

森本 優

2017/5/25


 

 今、極東の地では、北朝鮮問題等で極度な緊張状態が現出している。このような 中で、今日本が取るべき方向を考え提案したい。

 戦争による解決では、米軍基地を抱える地域に特別悲劇的状況がもたらされるこ とは必定。

 この際、朝鮮半島と日本列島、さらに台湾・フィリッピン等は、米国・中国・ロ シアの緩衝地帯として、日本国憲法第9条の理念に倣い、永世中立地帯として立 つことを国連の場で世界に向けて宣言し、米・中・露をはじめとした関係諸国の 了承を取り付けるべき。

 北朝鮮にとっても、軍事的緊張を高めながら存在しようとするのでは、ひとたび 戦争となれば、国家消滅の危険性が極めて高くなるはず。韓国政府及び米・中・ 露等関係諸国間の話し合いの中で、朝鮮半島の平和的統一に舵を切るべき。

 中国・ロシアにとっても、緩衝地帯を設けてもらえれば、アメリカの脅威に直接 対峙しなくなるので、了解でき協力体勢を取りやすくなるはず。

 また、アメリカにとっても、「世界の警官」という役割が負担となってきている ため、当地での基地を縮小していく必要があり、そのため、日本の自衛隊にその 代りをやらせようとしているのだが、中・露と合意して緩衝地帯を当地に設ける なら、おのずと基地の役割は後退し、国内の問題に力を注ぐことができるはず。

 日本にとっても、アメリカ主導の、人権を無視した戦争のできる国づくりに邁進 する必要はなくなり、最低限の自衛のための装備のみを保有することで平和憲法 を順守することができるはず。

 ただ問題なのは、戦争に関連する事業・配当等で儲けようとする人々の存在。

 しかし、武器輸出等は国家主導の面が強く、上記のように国家間の話し合い・協 調によって、ある程度はコントロールは可能。人類に悲劇をもたらすのではな く、良識を働かせ、自覚的に経済活動とそれを支える技術開発をコントロールす べき。

 日本の現政権の政策は、日本列島をアメリカの盾となし、前大戦の沖縄の悲劇を 本土に拡大させ、国民に取り返しのつかない犠牲を強いることにもなるもの。

 政界・官界・経済界・マスコミ・学界、そして草の根等々において、独裁を育む 環境が作られている今の日本では、国内で政治を正すことは困難な状況。した がって、「左」・「右」、「保」・「革」を問わず、海外の良識派と連携して働 きかけ、米・中・露がせめぎ合うこの極東の地に緩衝地帯を設けて永世中立地帯 となすべき。

 そして、このような過程の中で、真に独立した国家として、日本を立て直す必要 があるのではないか。今ある大半の問題は、ここに起因しているのだから。

 

以上

 


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