「市民会議」並びに「検証委員会」の提案

 

甲府市自治基本条例策定の極私的経過報告その9

 

森本 優(2006/11/03)


H18.11.1

 

 またまた、お邪魔虫の森本です。

 削除項目・検討項目について、文書という形に残して再度提案します。年末の最後の見直し作業の時には是非設置する方向で検討していただければと思います。

 

提案の内容

 

一、 第7章の「住民参画」、第32条(市民意見提出制度)※の後に、第33条として「市民会議の設置」条項を挿入願います。

 

森本タタキ案(市民会議の設置)

第33条  市は、前条(市民意見提出制度)第1項の結果を踏まえ、市政課題を市民と共有するため更なる議論が必要と判断した場合には、市民と自由に意見を交換し議論し合える市民会議を開催します。

(2) 市民は、同様に市に対して市民会議の開催を請求することができます。

(3) 市民会議の内容及び実施手続き等に関し必要な事項は、別に条例で定めます。

 

理由

 第32条の意見提出制度のみでは、市政課題や問題を市民と共有すること(情報の共有ではない。為念。)が困難な場合があるため、市は必要に応じて、議員・行政職員等も含めた、市民一般に開かれた市民会議を開催して議論を深め、市民と問題を共有するよう努めるべきです。

 また、そのような議論の場を設けることではじめて、市民の参画権(第6条)も実質的に保障されるようになるものと考えます。

 

※ 第32条  市は、重要な条例や計画の策定等に当たり、事前に案を公表し、広く市民に意見を求め、これを考慮します。

(2) 市は、市民から提出された意見とこれに対する市の考え方を公表します。

(3) 市は、前2項に規定する市民意見の提出に関し必要な事項は、別に条例で定めます。

 

 

二、 第9章に、以下のとおりの「参画と協働の検証」条項をご検討願います。

 

森本タタキ案(検証委員会の設置)

第37条  市は、この条例の基本理念を実効あるものにするため、こうふの自治基本条例検証委員会(以下「検証委員会」といいます。)を置いて、参画と協働の実施状況を検証します。

(2) 市民は、検証委員会に対して検証を求め、又は意見を提出することができます。

(3) 検証委員会の組織及び運営等に関し必要な事項は、別に条例で定めます。

 

理由

 市民案の素案のように、検証の対象範囲を「この条例に規定する事項の実施状況」とするのは、あまりにも広範囲に及び困難だと思います。検証の対象範囲は、この条例の一番核となる部分、すなわち参画と協働に関するものに絞るべきです。

因みに、この基本条例の基本理念は、参画・協働による市民自治の拡充と福祉の向上だと考えています。

 ところで、市と市民との協働が進むことにより、確かに市民自治は拡充されてゆくことになるでしょう。しかし一方、一般市民は今後様々な民間団体や企業等の思惑に直接晒され、翻弄されることにもなりかねません。

 例えば、宗教団体の影響下にあるNPO等が宗教色を消して市と協働するようになった場合、協働事業を手段とし市の信用を利用して、個々の住民に直接接触し、裏で善良で騙されやすい住民を信者として囲い込んだり、詐欺的な物品販売やサービスの提供等をしたりするような場合も生じてくるかもしれません。また、企業群の影響下にあるNPO等が、企業群のビジネス戦略を実現してゆくためにこっそりと、都合の良い偏った情報のみを公の教育の場で注入し続けるといった事態も当然考えられます。

 したがって、このような場合、何が認められ何が認められないのか、はっきりと参画と協働の基準を設けてチェックしてゆく必要があると私は考えます。

 すなわち、市は、自治会・NPO等の市民と協働する場合、参画段階において、誰を協働の相手とするのかに関して、参画・協働の適格性(民主的組織運営・協働してゆく能力等)はあるのか、協働の内容(公益性・中立性・公平性等)及びそのあり方(例えば、市の信用を利用するため市の単独事業のような外観を有するものもある。)は妥当か、また、受益者の範囲は妥当か、等々のチェックをするはずなのですが、そういったチェック(検証)を、協働作業進行中の段階においても当然してゆくべきだと考えます。

 また、検証を進める中で、市民自治を推進するため市民との協働が相応しい事業であるのにそうしていないような場合や、その反対の場合にも、検証委員会から改善を求めることができるようにしておく必要があります。

 そして、以上のような検証の積み重ねが、新たな条例の制定やこの基本条例の見直しにつながる重要な資料や経験になってゆくはずなのです。

 以上の理由からも、検証委員会の設置は絶対必要であると私は考えています。

 最後に、参画・協働の基準項目として、「市は原則として、地域内の人材・資源を活用しているNPO等のコミュニティビジネスを育成し支援する方向で、協働の相手を選出するものとする。」との内容の項目も、是非ご検討いただけたらと思います。

 

以上です。ありがとうございました。

 


甲府市自治基本条例をつくる会会議録


目次

ホームページに戻る